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老人力を磨く。

ミスチルのニューアルバムが出てたので手に入れて聴いてます。

今回のタイトルと関係のないような話からの滑り出しですが、実は私の中ではかなり繋がっております(笑)

なんか今作の評価はあまり良いものを見かけなかったのですが、聴いてみたら私にとっては心地良く、同世代として共感する部分であったり、日常にあたらしい気付きを貰えたりしていて、なかなかに今作も味わい深い作品だなぁと感じられるものでした。重ねてきた30余年の年輪あってこそ力まずこういった趣きの作品をリリース出来るんだなぁきっと。

シングル曲やタイアップ曲が収録されておらず、それに相当するようなキャッチーな部分も無く、まるで着飾らず普段着で散歩に出掛けているようなイメージを感じるアルバムで、ここから先のミスチルがどんな進化を魅せていってくれるかに再度期待感が膨れ上がってます(笑)

さてさて。

演劇活動を何十年と続けている知り合いがいましてね。

その方がご自身で作られているひとり朗読劇の中で、今回のnoteのタイトルにもしている【老人力】というものをテーマにしたものがあるんです。

その朗読劇を聴いたのはもう随分前の事なのですが、何となくこの【老人力】についてnoteに残しておきたいと思い立ってこれを書いている訳です。書いているというのか打っているというのか。

話の内容すべてを覚えているわけではないのですが、この老人力という言葉が妙に刺さるものとしてじぶんの中に残ったのです。


さてこの【老人力】という言葉。

年を取っていく、衰えていく、オジサン化が進む、オバサン化が進む、身体が退化していく。

こうしたやもすればネガティブなイメージを持ちやすい(もちろんポジティブに捉えてみえる方もたくさんいらっしゃいますが)現象をポジティブなものに変換していくとすればどういう表現が相応しいだろうという考察から見出された答えのようなものとして劇中に登場してくるものなのですが、

この劇中の主人公も自身の人生が半ばを過ぎて来て、歳を重ねていく事への、またそれによる自身の変化や周りからの目や扱い、変わって行かざるを得ない生活環境などに対してネガティブなものを感じはじめて来たからこそ、

【それをポジティブに変えていけるなら】

という境地に至っているのではなかろうかと私は推測したわけなのです。

加えて私自身も歳を重ねて行く事に少なからずネガティブな感情を持っていて、50手前になった今間違いなくそのネガティブはじぶんの中にあり続けている、またそれをポジティブに変換したいと思っているという事実も、この劇中の主人公に共感を抱きじぶん自身を重ねる要因になっているようで。


そんな主人公が見出した、
【老人力を磨く】という捉え方。

これを私なりに解釈すると、

まず『力』と付くだけでもうすでにこの言葉自体がプラス要素の能力として伝わって来はじめます。

人間力とか、
表現力とか、
観察力とか、
洞察力とか。

このあたりの例をみても『力』が後につくだけでプラス要素の能力を表す言葉と捉えやすくなってくる。

それに輪をかけるように『磨く』という表現が続く事がさらにこの『老人力』というものを前向きで肯定的なものに引き立てる役割を果たしていて、

且つ、

今はまだ完成の領域ではない
この先も進化する可能性があり、
その必要性がある

といったような部分を前提条件に据える事にも繋がっているように思えるのです。

その前提条件を認識した上で、
【完成に向かっていく】という
確固たる意志を心の真ん中に持ち、老人力を磨く鍛錬の場である日常に臨む。

きょうも、明日も。

ここまで解釈を進めてみると、年をとるという至極あたり前で不変な現実に抗う事なく、その過程で起こり得るすべてをYESと肯定し受け入れて生き続けていく、成長し続けていくという生き様や覚悟さえこの【老人力を磨く】という言葉からは感じられてくるのです。

潔さとでもいいましょうか。

私が思う老人力とは、

じぶんの人生を完成に至らしめる為に、生きるものに平等に与えられる必要不可欠な能力

時間の経過と共にその能力は徐々に高まって行くが、精神性向上との連動を伴わずしてその能力がポジティブに発動されることはなく、双方を両輪で回さなければ人生は極まらず、完成には至らない。

まぁたいそう大袈裟に定義付けてみましたが(笑)、

こう考えてみればみる程、まだまだじぶんは発展途上の人間であると痛感せずには居られなくなるもので、

そうであるならば、この老人力を磨いていく=精神性向上を伴ったポジティブの創造、

ここを極めていこうという前向きさすらじぶんの中に芽生えてくるかような心持ちにもなるのです。

【完成】というものがじぶんという物語の最終話であり、自身最期の瞬間とするなら、残り時間をどのように使っていくのかがじぶんの中に割りとくっきりと見えて来ているようにも思えて来るのです。

冒頭で書かせて頂いたミスチルのニューアルバム。

勝手な解釈と重々承知の上で述べるのであれば、桜井さん自身がこの老人力を磨くという行為行動を無意識な中で追究し続けて来た現在地を指し示したもののように思えてなりません。

今作がいちばんいろんな事を考えさせてくれるアルバムかも知れません。

誰だってそんなに強くはなく、そしてすごくも特別でもなく、何時にでもポジティブでいられる程タフではないはず。失敗して転んで苦い想いをする時があったとしても、そこで一旦足が止まる事があっても今日は過ぎ明日はやって来ます。芸能界、アーティスト界という厳しい環境の中で長らく表現を続けて来た桜井さんにだって計り知れない程のネガティブはあったと思いますし、またそれから目を背ける事なく受け止め受け入れ自問自答を続けて来たからこそのポジティブや気付きをその楽曲を通じて伝え続けてくれているようにも感じます。

私の中では桜井さんもこの【老人力を磨く】を体現し続ける存在。

かくありたいものです。



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