見出し画像

【図解まとめ】『ドリルを売るには穴を売れ』を図解で分かりやすく要約

今回はマーケティングの入門書としてオススメの『ドリルを売るには穴を売れ』を図解で要約していきます。

「ドリルを売るには穴を売れ」は、マーケティングにおいて超重要な概念である【ベネフィット・STP・4P】を分かりやすく解説したマーケティングの入門書です。

「新人マーケターが廃れそうなレストランをマーケティングする」というストーリーと共に具体的に学べるので、社会人だけでなくマーケティングに興味のある大学生にもオススメです。

『ドリルを売るには穴を売れ』はこんな人にオススメ

以下のような人には是非読んで欲しい本になります。

●マーケティングの「マ」の字も知らないマーケティング初心者
●マーケティングの基本的な概念があやふやなので、もう一度基礎から勉強し直したい方
●他のマーケ本が難しくて挫折してしまった方

『ドリルを売るには穴を売れ』の目次

■序章 “マーケティング脳”を鍛える
■第1章 あなたは何を売っているのか?―ベネフィット
■第2章 誰があなたの商品を買ってくれるのか?―セグメンテーションとターゲット
■第3章 あなたの商品でなければならない理由をつくる―差別化
■第4章 どのように価値を届けるか?―4P
■第5章 強い戦略は美しい

『ドリルを売るには穴を売れ』の基本情報

スライド2

■著者情報佐藤義典(ストラテジー&タクティクス株式会社 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒業。NTTで営業やマーケティングを経験後、米ペンシルベニア大にてMBAを取得。その後、外資系メーカーにてマーケティング、営業、開発、製造などを統括。
外資系マーケティングエージェンシーでは、営業チームのヘッドやコンサルティングチームのヘッドなどを歴任。
現在は経営コンサルティング会社、ストラテジー&タクティクス株式会社の代表取締役社長として活躍中。

■どんな内容が書いてある本?
『ドリルを売るには穴を売れ』では、マーケターなら誰しもが知っておくべき4つの基礎的な理論、

①ベネフィット
②セグメンテーションとターゲティング(以下、S&T)
③差別化
④4P

を学ぶことができます。

もちろんこれ以外も知っておいたほうがいいですが、この基本を押さえておかないと次の応用・実践に進んでも、しっかりとした土台のないまま知識を積み上げていくことになってしまいます。

本の内容は実践的というより理論寄りですが、内容が具体的なのでかなり分かりやすいものになっています。

今回はこの4つの理論を順番に説明していきます。

【ベネフィット-1】マーケティングとは、顧客に価値を提供してお金をいただくこと

スライド4

マーケティングにおいて最も重要な考えが「ベネフィット」です。
ベネフィットとは顧客にとっての価値のことです。

この価値は商品のことではありません。
商品によって生まれる効果がベネフィット(価値)になります。

例えば、あなたが工具のドリルを売っているとしましょう。あなたが売っているものはドリルに違いないですが、顧客にとってはドリル自体ではなくドリルが開ける穴に価値があります。この穴が、顧客が欲しているベネフィットであり、ドリルは手段に過ぎません。

「マーケティング」と言うと難しく聞こえますが、本質的には顧客にとっての価値(=ベネフィット)を売り、その対価として顧客からお金をいただくことなのです。

【ベネフィット-2】マーケティングとは「顧客が払う価値>得られる価値」の不等号を維持・拡大すること

スライド5

顧客が「買う」という意思決定をするのは、顧客が得られる価値が顧客が払う対価より大きいと感じる時です。(得られる価値>払う価値

マーケティングとは図の左辺の「提供価値」を高める、もしくは右辺の「顧客が払う対価」を下げる活動全般を指します。

マーケティングとは顧客にとっての価値に関連するすべてのことであり、マーケターだけでなく、作る人などのすべてを含んだ全社員の仕事なのです。

【ベネフィット-3】顧客にとっての価値はベネフィットと呼ばれ、機能的ベネフィットと感情的ベネフィットに大別できる

スライド6

上述したように顧客にとっての価値はベネフィットと呼ばれます。
このベネフィットは機能的ベネフィットと感情的ベネフィットの2つに分けられます。

機能的ベネフィット…早い、うまい、便利などの物理的で計測しやすいベネフィット
情緒的ベネフィット…デザイン、憧れなど、商品の本来の価値とはあまり関係ないベネフィット

人気商品はこのどちらか、もしくは両方を高いレベルで満たしています。
例えば、ルイヴィトンのバッグは、「物を運ぶ」というバッグの機能的ベネフィットが根底にあり、その上で「イケてる私」という情緒的ベネフィットを顧客に提供しています。

そして、価値の源は人間の欲求です。(価値・ベネフィットと言うと聞こえはいいですが、要するに人間の欲求・欲望)
人間の欲求には、生存欲求・社会欲求・自己欲求の3つがあります。

【生存欲求】
生き続けたい、肉体的な快楽
(例:生きるためのお金が欲しい、美味しいものを食べたい)
【社会欲求】
他人との関係においてよく思われたい
(例:良いものを見せびらかしたい、ちやほやされたい)
【自己欲求】
他人とは無関係に自分の中で完結する
(例:もっと成長したい、自分の思う通りに生きたい)

人間はこのような欲求を満たすために、お金を払って何かを買うのです。

広く売れる商品はこの3欲求を同時に満たしていることが多いです。
例えば、人気のレストランは美味しいし、店の雰囲気が良くて他人を連れて行っても恥ずかしくないはずです。

【S&T-1】求めるベネフィットは顧客により異なるので、顧客を細分化して価値を提供する

スライド7

人によって求める価値は違うため、顧客を分けて対応する必要があります。

顧客を分けることを「セグメンテーション」、分けられた顧客のグループを「セグメント」と呼びます。

そしてその分けたセグメントの中から商品を売ろうと狙いをつけた顧客を「ターゲット」と呼びます。

ただし、分けることが目的ではないことに注意が必要です。たまに、取り敢えずセグメンテーションを切ろうとする方がいますが、顧客によって求めるベネフィットが違うため全員が求める価値は提供できない→だからセグメンテーションを切る、という思考の流れがあることを意識しましょう。

【S&T-2】セグメンテーションは人口統計的と心理的セグメンテーションの2つで使い分けが重要

スライド8

セグメンテーションの方法にはいくつか種類がありますが、よく使われるのが人口統計的セグメンテーションと心理的セグメンテーションです

人口統計的セグメンテーション
【概要】性・年齢・居住地域などの人口統計的な基準で個人顧客を分類する。性や年齢が消費行動や求めるベネフィットに与える影響が大きい、という考えに基づいた分類方法。
【メリット】MECEなセグメンテーションができる。
【デメリット】例えば、20代と30代で分ける時に、29歳と30歳が別にセグメントに分類されてしまうということや、F1(女性20~34歳)は20歳の女子大生と20歳の独身勤労女性と34歳の専業主婦が全く同じ扱いを受けることになってしまうということが起きてしまう。
心理的セグメンテーション
【概要】心理や行動、ライフスタイルの違いなどをベースにした分類方法。
【メリット】セグメンテーションの目的に適したやり方である。
【デメリット】心理に基づいて分類するので分類が難しい。

どちらのやり方もメリットとデメリットがあります。

理想的なのは人口統計的セグメンテーションと心理的セグメンテーションの両方をうまく活用することです。

性別や年齢はある程度まで心理や行動と相関します。
例えば、20代の男女は独身率・有識率が高いため、可処分所得も多くアクティブに行動します。また、40代〜50代は家庭や子供を持っているので、子供への投資が多い傾向にあります。

このように、性別や年齢といった人口統計的基準が、ライフスタイルの変化をある程度的確に表す指標となるのです。

ある性別や年齢層に共通するような心理、行動が分かれば、うまく人口統計的セグメンテーションと心理的セグメンテーションをつなげて解釈することができます。

【S&T-3】ターゲティングは市場規模・競合性・優位性・顧客必要性の4点で判断する

スライド9

セグメンテーションで分けられたセグメントの中からターゲットを選ぶ時は、

●市場規模(市場が十分に大きいか?)
●競合性(競争が激しくないか?)
●優位性(この市場で自社の強みが活きるか?)
●顧客必要性(顧客が切実にサービス・商品を欲しているか?)

の4点を基準に選びましょう。この4つの質問でYesとなるセグメントが魅力的なターゲットです。

【差別化-1】競合にない価値、高い価値を提供して自分を選んでもらうのが差別化

スライド10

マーケティングとは顧客にとっての価値を提供して対価をいただくですが、市場には競合が存在するため、顧客に買ってもらうためには競合ではなくあなたの商品を選んでもらう必要があります。

そのために差別化が必要です。
差別化とは、競合より高い価値を顧客に提供することです。

差別化の方法は手軽軸・商品軸・密着軸の3つに大別されます。

【手軽軸】手軽に済ませたいというベネフィットを求めている顧客を狙った差別化戦略。ある程度の品質のものを安く、便利に提供する。
【商品軸】とにかく良いものを求めている顧客を狙った差別化戦略。最高品質の製品やサービスという売り物を主とする。
【密着軸】顧客に密着することで差別化する。顧客に密着して徹底的に顧客のニーズに応える。

【差別化-2】選ぶ差別化軸によって全てが規定される

スライド11

長期的に3つの軸全てにおいてトップであることは不可能であるし、大企業であっても経営資源は有限なので、差別化軸は1つに絞ることになります。
(※ただし、ある軸に特化したとしても他の軸でも平均以上の価値を提供しなければならない。)

選ぶ差別化軸によってマーケティング、人事・組織など、経営の多くの要素が決まるので、この3つの差別化軸のうち、どの戦略を採用するかは非常に大きな決断になります。

例えば、手軽軸を採用するなら、狙うべきターゲットは「早い・安い・便利」を好む顧客となり、低価格で提供するために効率性が非常に重要になって、必然的に規模の経済が効く大量生産を志向することになります。

【4P-1】顧客に価値を提供して対価をもらうための具体的な手段が4P

スライド12

顧客に価値を提供し、その対価としてお金をもらうための具体的手段、価値を現実化するものが4Pです。
4PはProduct(製品・サービス)・Promotion(広告・販促)・Place(販路・チャンネル)・Price(価格)の頭文字です。

●Product(製品・サービス):どんな価値を売るのか?
マーケティングの中心に来るのがこの製品・サービスです。
中心に来るのは、顧客がこの製品・サービスを通して、価値を実現するからに他なりません。

「Product(製品・サービス)として何を売るか?」を決めることは難しく、かつ重要なテーマになります。

なぜなら、「何を売るか?」という問いは、「あなたがどんな顧客の、どのような価値を実現しようとしているのか?」という決める問いと同じであり、事業領域を決める重要な決断だからです。

例えば、あなたがカフェを開くとしましょう。売っているものはコーヒーかもしれませんが、もたらしている価値は優雅なひとときかもしれません。優雅なひとときを売るなら、落ち着いた内装にする必要があるでしょうし、営業時間は10時〜19時でも構いませんが休日にも営業する必要があるでしょう。

このように「何を売るか」を決めることで、ビジネスの多くの領域が決まってくるのです。

●Promotion(広告・販促):価値を伝える
製品サービスを売るためには、その存在がもたらすベネフィットを顧客に伝える必要があります。知らなければ売れないし、その商品を知っていても、価値が分からないければ売れないからです。

差別化は顧客に伝わって初めて有効になります。
良いものかどうかは実際に買って使ってみなければ分からないので、買ったことがない人には良いだろうと感じてもらうことが重要になってきます。

そのためには価値や差別化ポイントを伝えることが必要です。
この価値を伝えることが、Promotionなのです。

●Place(販路・チャネル):価値を届ける
4Pの3つ目が販路・チャネルです。
広告・販促はその価値を伝えるものですが、販路・チャンネルはその価値を実現する製品・サービスをお届けするものです。

簡単に言うと、「どこで売るのか」ということです。

具体的には、店舗、営業パーソン、代理店、自動販売機、通信販売などが販路・チャネルに該当します。

●Price(価格):対価を得る
4Pの4つ目が価格の設定です。
価格はお客様が売り手に支払う直接的な対価です。

どのような価格を設定することが最適なのでしょうか。

ここでも重要なのが顧客の価値です。
価格は価値に対する対価であるため、顧客にとっての価値が高ければ、価格が高くても払うし、価値が低ければいくら安くても買ってもらえません。

顧客はあくまでも価値の対価として、価格の高い安いを判断するということを念頭に価格を設定することが重要です。

【4P-2】上流から下流まで美しく整合するのが良いマーケティング

スライド13

「4つのP同士で一貫性がある」ことが優れた4Pの条件です。

4Pを別々のものとして考えてはいけません。
あくまで相互に連携したものであり、全体としてのセットなのである。

例えば、製品と価格を分けて考えてはいけません。「この製品が〇〇円だったら買う」というように、顧客は通常は製品と価格をセットにして購買の意思決定を行っていて、製品だけをみて顧客が買うか買わないかを決めることは少ないからである。

また、製品そのものが広告でもあります。例えば、野菜ジュースという製品のパッケージも広い意味では広告であり、店頭ではパッケージを比べて選ぶ商品決めることもあるでしょう。

このように、4Pをバラバラに考えるのではなく、一体化したものとして全体の一貫性を取ることが重要になってきます。

また、4Pの間での一貫性も重要ですが、さらに差別化戦略との一貫性も大切です。どの軸で差別化するかによって、4Pのあり方も大きく異なってきます

例えば、パソコンを例に出すと、iPhoneやMacを開発販売するアップルは商品軸で差別化して成功している企業です。
そのターゲットは、デザインを気にする先端層です。そのため、製品はデザイン性に優れていて、広告も商品説明というよりはメッセージ性の強いものになっています。販路はアップルストアと量販店ですが、安売りされず定価販売で売られていることが多いです。

例:アップルの差別化戦略と4P
顧客ターゲット:先端層・品質重視層
製品・サービス:最高品質・最先端技術
広告・販促:先端層を中心に
販路・チャネル:限定的
価格:高価で値引き率は少ない

このように、ターゲット顧客、ベネフィット、差別化戦略、4Pに一貫性があることが良いマーケティングの必要条件なのです。

(ただし、言うのは簡単ですが、これを実行するのはめちゃくちゃ難しいことです…)

スライド14

『ドリルを売るには穴を売れ』の図解要約は以上になります。

この本はこんな人が読むとたくさん学びや気づきがあると思います。

●マーケティングの「マ」の字も知らないマーケティング初心者
●マーケティングの基本的な概念があやふやなので、もう一度基礎から勉強し直したい方
●他のマーケ本が難しくて挫折してしまった方

気になった方はぜひ本書を手にとってみて下さい!

また、もし少しでも「いいな」「役に立ったな」と思いましたら、スキ・フォロー頂けると嬉しいです!(今後の図解の大きな励みになります!!!!!)

よろしければサポートお願いします!^ ^