お風呂のはなし

疲れたときとりあえず湯船に浸かるようにしている。
人間の体はとっても都合が良く出来ていて、体を温めるだけで自然と心の角度が上がる。なんだか明日も頑張れるかもという微かな希望が体全体を包んでくれるような気がするのは多分気のせい疲れすぎ。体が温まると、凝り固まった体が解きほぐされながら、血の巡りが加速していく。ぐん、ぐんと、血が赤である理由みたいに力強い。

お風呂に入るとき、なんだか音がないと寂しくて耐水性能を持つBluetoothスピーカーを持ち込む。お風呂場とスピーカーが掛け合わさると最高の環境だ。最近だと桑田佳祐の「なぎさホテル」をかけたり、Laura day romanceの「sweet vertigo」をかけたり。曲の雰囲気が違うだけなのに、体の奥にぐんと温かさが染み入っていくものもあれば、体全体を包んでくれるような曲もある。一度騙されたと思ってスピーカーを持ち込んで欲しい。

人様のお風呂事情ってあんまり知らないし、聞けない。
実家のお風呂事情が少し恥ずかしかったことをふと思い出した。
うちはバスタオルではなくていわゆるフェイスタオルですべてを完結させる家庭でなんだかそれが無性に恥ずかしかった。色もバラバラで、エディオンとかに行くと引換券でもらえるタオルをガンガン使う。シャンプーだってメリット一択で、ボディーソープはビオレだった。なんか嫌だった。なのに珪藻土マットはあって、統一感なさすぎだろと心の中でツッコんでいた。

大学生になっても実家の習慣は抜けなくて、基本フェイスタオルだったし、メリットだった。ボディーソープだけ安かったからナイーブ。友達が家に泊まりにきたとき、フェイスタオルしかないことが毎回恥ずかしかった。だからフェイスタオル2枚使っていいよなんてよく分からない言葉を友人に投げかけていた。そんな恥ずかしいなら変えればよかったじゃん。と今となっては思う。

社会人になってやっとタオルはバスタオルにしようと思って、無印のミニバスタオルを買った。デカいタオルって最高だ。紺色のタオルって最高だ。
シャンプーはAmazonのセールで買ったDoveにしたけど香りが結構好き。ボディーソープはあんまりこだわる理由が見つからなくて西友のいちばん安いやつにした。珪藻土マットも揃えたらもうお腹いっぱいだ。

じゃあ今の東京の風呂と、実家の風呂どっちが好きって言われると難しい。実家の風呂に浸かったあとってとてつもなく寝れるのだ。そこまで寝る!?ってくらい寝れる。実家パワー恐るべし。あんなにダサいのに。

あんなにダサくて好きではないのに恋しくなるのは、多分18年もいたから。アイデンティティーをまさしくそこで作り上げたから。家族全員からメリットの香りが漂っていたあのリビングが幸せという1つの具現化だったんだなんて18歳の自分には気づけなかった。振り返って気づくことばっかり。
それを言葉にして、また思い出して、その繰り返しなのかも。

おわり



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