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『優秀な人材』を採用しても、他の社員と同じレベルになる様にできている

 「社員20人なのに、1万人が応募する日本一学生が集まる会社」として有名な株式会社Legaseed代表の近藤さんは、自身の著書の中で、新卒採用について下記の様に語っています。

能力が低い、あるいは適性が低い人材を後 から現場で教育して育て上げる のは至難の業です。ほぼ不可能といってもよいかもしれ ません。

はじめから必要としている仕事に対応できる能力や適性のある人材を採用しなければなりません。

‘出展:社員20人なのに新卒採用に1万人が殺到 日本一学生が集まる中小企業の秘密


こういった先人たちの実例を見ると、「採用」に大きな重点を置く企業が多いことも頷けます。

しかし、実はここに多くの中小企業が見落している、凄く重要なポイントが隠れています。

それは、『採用した優秀な人材は、あなたの会社でも優秀さに見合うパフォーマンスを発揮できているか?』ということ。

私もこれまで様々な中小企業を見させて貰いましたが、高い費用をかけて優秀な人を採用しても、入社後「あれ?思ってたより…」となってしまうケースがほとんどなのです。

近藤さんも著書の中で、新卒採用プロジェクトの本質は「社員全体で優秀な新卒採用に取り組むことによる、体質改革にある」と記しています。

今回は、脳科学とある社会実験を例に、中小企業の中にある『採用神話』の破壊を試みていこうと思います。




人は環境に合わせた「人格」を作り使う

突然ですが、実は私たちは皆「多重人格」なんです。

…ん?

突飛もないと思うので、もう少しかみ砕いてお伝えすると、私たちの脳は環境や状況ごとに、複数の人格を作り、使い分ける分ける様にできているという特徴を持っています。

よく構造主義の説明で用いられる「スタンフォード監獄実験」などが分かりやすいのですが、

身近な例で言うと、皆さんも学生の時なんかに、複数の友達グループに所属していると、各グループ内で自分のキャラクター違っていたり、もしくは、いつも通りに立ち振舞えないグループがあった、なんて経験をしたことがあるのではないでしょうか?

更にイメージしやすい様に、ここで言う『人格』を定義すると、「思考や行動などの“出力”を決める関数」の様なものであり、

同じものを見聞きしても、職場と家では皆さんの思考や行動は無意識レベルと変わっているといった具合です。


そして、ここからがポイント!

この「人格」が私達の中で複数存在する理由は、

①人格は「記憶」の繋がりから形成される 
②レイヤー(環境・言語など)ごとに形成される

という特徴がある為であり、皆さんの仕事用の人格は、“職場環境で作られた記憶”によって形成されてしまうという点です。

 『人格 ≒ 思考や行動を決める関数』

であると考えたとき、職場でのパフォーマンスやモラルを決定するものとも言えます。(当然職場だけの人格ですべてが決まるものではありませんが)

つまり、いくら優秀な人材を採用したとしても、大抵の人材は、“その環境にあった行動や思考を行う”様になり、期待されたパフォーマンスを発揮できなくなってしまうのです。


余談ですが、この「人格が記憶から作られる」ことに関する有名な話としてよく挙がるのが『健忘症の人格に与える影響』

●新しい記憶を作ることができなくなる「前行性健忘」は人格に影響を与えない
●過去の記憶を思い出せなくなる「逆行性健忘」は人格を変えてしまう


腐ったリンゴの実験

オーストラリアのサウスウェールズ大学で組織行動学を研究するウィル・フェルプスが行った「腐ったリンゴの実験」をご存じでしょうか?

この実験は様々な組織に役者を潜入させ、職場内で

●性格が悪い人(攻撃的、反抗的)
●怠け者(労力を出し惜しむ)
●周りを暗くする人(愚痴や文句ばかり言っている)

を数か月に渡り演じて貰った際の、“他の人材への影響”を調べるというもの。


この統計実験から、実は下記のことがで分かっています。

●“暗く”振舞った場合は周囲に性質が「伝搬」
●“怠けて”振舞った場合は周囲に性質が「伝搬」 + 上司の前では「誤魔化す」


先の人格形成の例も含め、私たちは自分達の思っている以上に環境・組織体質の影響を受けている上、それが経営者やマネージャーからは隠されて見えない様にできているのです。


まとめ

不祥事に伴う業績不振に陥ったビッグモーター(同社ホームページより)

この記事を書こうと思ったのは、今何かと話題の某中古車販売店の旧社長が会見にて、

「1,000人辞めても1,000人採用できているのだから問題ない」

と発言したのを見たからです。


この発言を“恐ろしさ”を皆さんに感じて貰いたい理由は、新しく入った1,000人は「1,000人が辞めるような環境に合わせた人材になる」というところ。

その結果が皆さんご存じの通り、モラルやリテラシーの低下に繋がっていることは勿論、おそらく社員一人ひとりのパフォーマンスも低かったのではないでしょうか。

これをご覧の経営者の皆さんも、

「頭数を採用すれば会社が回る」
「優秀な人材を採用すれば、業績があがる」

といった誤った認識を改め、一度立ち止まって自身の会社の内側を見つけて貰えたらと思います。

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