好き好き 大好き! ⑰餃子

あぁ…。ついにこのお題の「好き好き…」を書く日を迎えました。「好き好き…」を書いてみようと思ったときにいくつかのテーマは思い浮かび、当然“大好きな食べ物である”餃子は候補の上位だったのですが、今日まで図らずも寝かせていました。ようやく餃子への想いに向き合う日を迎えたので、真剣に・そして大いに「餃子への愛」を綴ってみようと思います。

1.餃子で育った私
生まれたときから小さめだった私。小さいくせに5日も早く生まれたため、母乳やミルクを飲む力も弱かったそう。小さい故に仕方ないのですが、食事をするようになっても食が細く、友だちと食事をすることも大変だったことを自分でも覚えています。そんな私が唯一「時間をかけてでも食べたがった食べ物」が焼き餃子でした。祖母が言うには皮は麺と同じ材料だし、餃子の餡は野菜と肉を使っているので“これを食べてたら大丈夫”という発想…。たしかに餃子は完全食とも言えなくもないのです。一回の食事量も少なく、すぐお腹が空いてしまう私が、餃子の日だけは餃子が焼き上がるそばから出来立てをほおばっていました。他の物を食べるとお腹がすぐにいっぱいになってしまうので、私だけは本当に「餃子だけ」の夕食でした。成長するにつれて、さすがに“だけ”の食事は卒業しましたが、本当は今でも餃子を食べるときは“だけでいい…”と思います。人生最後の食事を選べるなら、私は迷わず“焼き餃子とハイボール”を選びます。

2.焼き餃子に還る
水餃子や蒸し餃子、揚餃子も好きですが、私にとっての餃子はやはり「焼き餃子」。今では羽付きとか鉄板棒餃子など、御当地餃子といった特徴的な焼き餃子もありますが、私が好きな焼き餃子は、いたってシンプルな焼き餃子。まず皮は薄め。(皮が厚すぎるとお腹にたまりやすく、お酒も進みにくくなるので)手作りの皮も美味しいと思うし、餃子は“皮を味わう物”とおっしゃる方も多いと思うのですが、私が好きな餃子は「皮が主張し過ぎない感じ」餃子の餡は野菜が多めが好きです。肉餃子もいいのですが、野菜多めの餃子の「飽きのこない味わい」が好きです。野菜の組み合わせ次第で味わいが変わる奥深さもいいところ。キャベツメインか、白菜メインか…ニラの割合を変えたり、生姜や長ネギ、にんにくなどのアクセント野菜の使い方によっても変わる味わい。正直、肉は使ってなくても私は大丈夫なくらい。「焼き餃子派」の私にとって、焼き油が多めの餃子でも野菜が多めの餃子ならもの足りなさを感じず、むしろバランスがいいくらいかもしれません。

 ところで餃子のタレといえば何ですか?酢醤油にラー油でしょうか?酢にこしょうも美味しいです。じつは私…本当は「何もつけたくない派」。焼き立ては何もつけなくても十分美味しいです。食べ進めて飽きたら、やっとタレをつけて食べます。おそらく少数派であろうタレとして、田楽味噌󠄀もじつは好きです。お酒を飲みながら餃子を食べるから、甘じょっぱい味を美味しく感じるのかもしれません。

3.思い出の餃子
もう15年くらい前の話になるのですが、近所に手作り餃子の小さな専門店がありました。ご夫婦が営むそのお店は大型スーパーの出口にあり、それなりにお客さんがついていました。わが家もそのスーパーがメインの買い物先だったので、2週間に一度くらいは餃子を買いに行っていました。息子が保育園に通っていた頃からのお付き合いだったので、息子の成長を見守っていただき、ご夫婦から幾度となく温かいことばをかけていただきました。本当に忙しくて晩ごはんのおかずを作ることが厳しかった日は焼き餃子を。少しゆとりがあるときは生餃子を買って自宅で焼いていただきました。やがて大型スーパーの閉店が決まり、餃子屋さんのあるエリアも閉鎖することになりお店とのつながりは途絶えてしまいました。ご自宅の近くでお店を続けていらっしゃることは調べたのですが、少し不便なところにあるため行けずにいます。ご夫婦も高齢になっていることを思うと、今はもうお店を続けているかもわかりません。忙しかった育児時代を、あの餃子が支えてくれたことは間違いありません。
餃子を買いに行くのは本当に忙しくて、夕食のメニューを考えるのも作ることも“今日はムリ…もうイヤ!”と思ったとき。餃子屋さんの奥さんに“今日は助けてください!”と顔を出すと、奥さんは決まって“あらぁ嬉しいわ〜。お仕事忙しかったのね。いつもがんばってるね。”と優しく迎えてくれました。買いに行ったときに餃子が切れてると“包めばあるから待てる?”と言っていろんな話をしたこと。息子を連れて帰り際に寄ると、息子の成長を喜んでくださったご主人。息子のニックネームとご主人も同じで、余計に息子を可愛がってくださったこと。「かけがえのない大切な思い出」がたくさん詰まっている特別な餃子。ご夫婦の優しさが詰まった大好きな味を噛みしめると新しい力が湧いてきました。思い出を振り返ると、あの餃子とご夫婦が本当に恋しいです。餃子もご夫婦も健在であることを願わずにはいられません。

4.餃子とのこれから
大好きな餃子なのに意外と「外食で餃子を食べていないこと」に気づきます。本格的な中華料理店の餃子は個数あたりのお値段が張るし、私の住んでいるあたりでは街中華が減っていて「餃子なしの店」もあるし、仕事柄お昼に外食で餃子を選べないことが外の餃子を食べる機会がないことにつながっています。それでも探せば餃子の専門店はあるようなので、少しずつ「外の餃子に出会う楽しみ」も追いかけてみたいと思います。
きっと外に飛び出して餃子を食べ歩くようになっても、私のいちばん好きな食べ物として、数多の食べ物の中で“私の帰れる食べ物は焼き餃子!”と胸をはって言えることは間違いありません。

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