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読書ノート 岩波書店「思想 2021.8 フロイト・ルネッサンスⅡ」


 ここでは、主に立木康介の論「〈物〉の秘密 フロイトのリアリティ論からラカンの『現実界』へ」を中心に読んでいく。

  • ラカン「精神分析家であること、それはごく単純に、人間的現実ほどわけのわからぬものはないという明白な事実に目を開くことにほかならない」


  •  物」に注目し、フロイトの「現実性」問題から出発してラカンの「現実界」創出に至る道程を正確に辿り直す。


  • 「快原理(一次過程)は知覚同一性を、現実原理(二次過程)は思考同一性を、それぞれ見出すべく機能する」(フロイト「夢判断」第七章)


  • 刺激量の拘束。記憶像が一気になだれ込まないようにあらかじめ装置の一角にひとつの貯蔵庫(これが「自我」を構成する)を設け、そこにエネルギーを拘束しておき、いざ緊張を放出すべきときには、その拘束エネルギーの一部を移動させる。二次過程とは、こうした一時停止と試行錯誤のプロセス。これをフロイトは「思考」と呼んだ。



  • わたしたちは「外界世界の深い主観化」のなかで生き、「現実の選ばれた諸断片」のみにかかわっているのである。人間にとっての「現実」は当人が接触しうるものとそうでないものに分裂する。

  • 「現実経験の分裂」現実の根源的欠損。

人間世界のわからなさ、いいかげんさ、不確定さが現前に現れてくる。それに耐えることができるかどうかを、たぶん、試されているのが人生なんでしょうね。

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