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バラの花束の記憶

あれがいつのことだったか正確には思い出せないが、思い出す家の光景から20代前半の頃だったと思う。

誕生日にバラの花束を貰った。

数十本の見事なピンクのバラだったと思う。

だったと思う。というのは私の記憶には花屋さんが届けてくれたことと、受け取りのサインを書いたこと、段ボールが白いタイルの玄関のすみに置かれていたことしかない。段ボールに入った状態で見事な花を見た記憶はあるのだけれど、そこから先が全く思い出せない。

確か差出人は当時の先輩(男性)だった。

今考えれば、私に好意があったのかもしれないし、なかったのかもしれないが、当時の私はあまりに「自分」にまっすぐに生きていたので、お礼だけ言って普通にスルーした気がする。いきなり家に花がきたことをスルー出来たのが今となってはすごいなと思う。自分の行動の意味が分からない。おそらく相手も当時そう思ったかもしれない。

私の感情はとても不安定で、一方的で、時々なくなる。こと好意にはとても敏く、とても鈍い。このケースは明らかに鈍かった。

その時期何故この人は休日のたびに先輩特権で私を呼び出すのかと真顔で考えていた記憶がある。具体的な顔はちょっと思い出せない。結構年上だった気もする。それから確か長崎のきれいな景色のあるところの生まれの人だった。仕事で使う方言を教えてもらったことだけは妙にはっきり覚えている。

バラを飾った記憶もないし、私の家に花瓶ぐらいはあったと思うけれど、当時のピンクコンプレックスの私がピンクを受け入れたかというのことも含めて何も先の記憶がない。

過去の人に謝る気はさらさらないが、花には少し謝りたい気持ちになって、中途半端な記憶をたどってみた。


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