お前が愛のスナイパーだな

金持ち親子に責められクピドは黙る。

今夜の舞踏会に出る王子をどうしても落としたい。金ならいくらでも出す。結婚できたらどんな地位にでもつけてやる

親子はあせっていた。しかしいくら金を積まれても無駄だ。クピドは言った。

わたしが仕えるのは大昔からアフロディテさまだけ。たまたま身をやつして人間界におりてますが、今は真面目に農業していますのであきらめてください

金持ち娘は業を煮やして天井裏に隠していたクピドの弓矢をとってクピドに押し付ける。クピドは彼らのリサーチ能力に驚く。

これで何人目やら。わたしは大昔アポロンと争ったときにもダフネを使って意趣返しをしましたけど、同じことをしてあげましょう

クピドはため息をつきながら、親子が持参してきた金塊に矢を放つ。途端に親子は王子のことを一切忘れ黄金の輝きをただ眺めて笑うだけの暗愚な人間になった。次にクピドは王子の周囲が愛の尊さがわからぬ人間ばかりであることに同情した。