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春の都

桜の蕾も顔を見せぬ新春の候

私は暖かな幸せに包まれるのを
良しとせず、あえて茨の道を歩みだした。

全てを飲み込む謎の穴倉より
意を決して這い出たのであった
人々はそれを炬燵と呼んだ。


屋敷中に響き渡るかの如く
生まれ持ったくぐもった聲
天賦の美声をもって宣言した。

「駕籠を表に回せ!
参勤交代じゃ、いざ都へ」

横柄な主人の態度にも
家人の怒号が飛び交うことはない

なぜなら、駕籠を走らせるのは
この家の主人であり、
奥方と姫は悠然と乗り込み
揺られていくだけなのだから

かくして一行は平時の身分を隠し、
旅の一座として諸国を回りながら
都へと向かう…


という妄想はさておき

時刻は
草木も眠る漆黒の夜
吹きすさぶ冷たい風を感じながら
「いきますか」
誰に問うわけでもなく
私は口元でつぶやき、車に乗り込んだ。

明け方には着いているだろうか
仮眠をとらず走ることになるだろう
都に着いたとて、気の休まる時間はない。
日の光が昇っている以上は何らかの
生産的活動を続けなければならない

若い時分はそれでも余裕があったが、
今の衰えたこの躰には辛すぎる仕打ちだ。

健康のためにもネタのためにも
途中のSAで休憩を挟もう。

何か面白い出来事があるかもしれない。
食事なんかも適宜挟もう。

ついでに奥方は娘の最近の生活態度にも
口を挟みたいところだろうが―

「〇〇といえばアレはどうだっけ?という普段は物知りな友人がなぜかそのジャンルにだけは疎くしょうがないなぁと幼馴染が思わずあんたは私がいないとほんっとに何も知らないんだからまいっちゃうわねぷんぷん(♪)そういえば何の話だっけ忘却すり替え誘発法」

という固有のユニークスキルで
幾度となく世界を救ってきた私が
本年度もその実力をいかんなく発揮し
魔王のいないこの世界を
平和に統治していこうと思う。


最終的によくわからない
新年の誓いとなってしまったが
2024のnoteも事実に即した内容で
皆様に楽しんでいただこうと思います。
本年度もよろしくお願いいたします。


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