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#0161【血塗られた理想主義(ロベスピエール、フランス革命)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週はフランス革命シリーズです。

今回は革命の理想に燃えたロベスピエールという人物です。革命初期段階にフランス国王が召集した三部会に平民出身として参加しました。彼は選挙を通して選ばれた平民代表です。

法律家として非常に名を馳せ、のちに革命政府が死刑判決を下すことになるルイ16世の前で学生時代から演説をする機会を得るなど、秀才として有名でした。

法律実務に携わるようになってからも非常に活躍し、庶民の味方として力を注ぎます。三部会が開かれることになると一躍政治の世界へと進みました。

若さゆえに革命の理想を追い求めるため、王制を保とうとする現実路線の少し年配の政治家たちとは馬が合いませんでした。

ちなみに、現在共産主義的発想・思想をもつものや自由主義的な発想をする人を左派。保守的思想を右派というのは、この議会のときに王党派が議会の右側に陣取り、共和制を求めた勢力が左側に陣取ったからです。

前回のフランス革命特集のときに特集したロラン夫人が事実上の女王として君臨したジロンド派は右側に陣取っていたわけです。

当初は、フランス以外のヨーロッパ各国との関係から、王制を存続させイギリスのような立憲君主制を目指す動きが強く出ていました。

革命によって王制が打倒されるようなことがおきれば、革命の波が自国に押し寄せることを嫌がる各国からの介入が大きくなることを恐れたからです。

これは、現代の難民問題にも近いものを感じます。

そんな中、1792年に第二次フランス革命とも言われる8月10日事件が起きた結果、フランス王室の権威は失墜、自然と擁護派は限られてくるようになり、ルイ16世は裁判の結果、一票差で死刑判決が下されました。

これ以降、共和制を推し進め、市民平等の理想に燃えるジャコバン派が民衆の後ろ盾を得て、勢力を持つことになりました。

当初から指導者として名をはせていたロベスピエールですが、彼には前回紹介したマラーなどの先輩・同輩たちがいました。1793年7月にマラーが暗殺されると、同輩たちを蹴散らして若手ホープとして実権を握っていきます。

ジャコバン派がこの世の春を迎えていたのは、わずか1年強でしたが、権力基盤を支えるために大量の血を流しました。

反革命分子というレッテルをはり、簡易的な裁判で次々とライバルとなりうる勢力をギロチン台へと送っていったのです。

混乱期にあったときにはロベスピエールの理想主義的で強権的な手法が民衆からも支持されていましたが、やがて政局が落ち着いてくると血なまぐさい状態に民衆からも支持が薄れていきました。

このままでは、ロベスピエールによって排除されると観念した政治家たちがクーデターを起こし、ロベスピエールたちは逮捕・拘束され、すぐにギロチン台の露と落ちました。

1794年7月、時にロベスピエール36歳の若い最期でした。

その後、ロベスピエールに代わって天下をとったバラスは汚職にまみれた政治をすることになります。理想主義とのギャップから王党派による巻き返しも起きてしまい、フランス全土は再び混迷の度合いを増していきます。

時代はやがて新たな英雄を求めるようになります。フランス革命の申し子ナポレオン。彼が表舞台へと登場する準備が着々と進んでいきます。

以上、本日の歴史小話でした。

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2
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