#0028【ガンジー(インド、20世紀前半】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

今週はイギリス植民地の指導者たちを特集します。初回はマハトマ(偉大なる魂)と尊称されるインド独立の父、ガンジーです。

彼はインドの裕福な家庭に生まれ、宗主国イギリスに留学をして弁護士資格を取ります。留学後インドに戻ったものの仕事がうまくいかず、同じイギリス植民地である南アフリカの弁護士事務所に移籍します。当時、ダイヤモンド鉱山や金山の発掘で労働力が不足していた南アには、インド人労働者が多く移住していました。

そこでガンジーは、自分の人生を決定づける体験をします。

イギリス領南アフリカでは、白人優位の政策が取られており、アジア人・アフリカ人は公然と差別されていました。ガンジーは鉄道に乗った際、一等車の切符を持っていたにもかかわらず乗車を拒否されて荷物もろとも放り出されてしまいました。

この体験がガンジーを人種差別政策への反対運動、インド系移民の法的権利の擁護活動へ駆り立てます。特にインド系移民の選挙権を剥奪する法律が制定されたことに対して反対運動をおこし、以後インド系移民への不当な差別を撤廃すべく南アフリカにおいて活動を行います。

1907年にアジア人登録法が成立し、インド人に対する身分証明書の常時携行と指紋押印の義務を生じさせました。ガンジーは、これに対抗してサティヤーグラハ(真実をつかむ)運動を開始し、法律への抵抗を呼びかけました。多くのインド系移民は身分証明書を燃やしてしまいます。法令違反を咎められたガンジーを含めたインド人で収容所が溢れかえる事態となり、7年後に南ア政府はこの法律の撤回をしました。撤回後、ガンジーはインドへと戻ります。

1914年に第一次世界大戦が勃発するとイギリス本国政府はインドに独立と引き換えに戦争協力を求めます。インドはそれに応じますが、第一次世界大戦が1918年に終結しても独立は果たされず、逆に1919年、ローラット法が成立します。

これはインド人の言論の自由を抑圧し、逮捕状無しでの拘束、裁判無しでの刑務所拘置を認める法律でした。ガンジーはローラット法に対してもサティヤーグラハ運動を開始し、インド全土での断食と祈祷を指導します。町はゴーストタウンと化しました。

ガンジーの運動は、イギリス政府への「非協力」を通じて直接的な影響力を保持するとともに「非暴力」によって国際世論に訴えかけ、「不服従」の姿勢で断固とした意思を表明することでした。

しかし、ガンジーの理念はときに暴徒化した民衆を抑えきれず、暴動・暴力事件が発生します。ガンジーは反英指導者としてイギリスに捕捉されて投獄されました。懲役6年の刑でしたが病気のため2年で釈放されます。

第二次世界大戦が勃発すると第一次世界大戦のときと同じようにイギリス本国政府はインドに独立を認めるといって協力を求めますが、何度も裏切られたガンジーは応じません。日本軍がインドの東隣ビルマ(現ミャンマー)にまで進出してくると、日本軍との連携を恐れたイギリス政府によりガンジーは再度拘束されます。ガンジーの妻も拘束されました。彼女は獄中死します。

第二次世界大戦後アトリー政権となったイギリスは植民地政策を撤回し、遂に植民地の独立を認めていきます。ガンジーの目標はイスラム教徒もヒンドゥー教徒も同一国家でのインド独立でしたが、その理想は果たせず、ヒンドゥー教徒はインド、イスラム教徒はパキスタンとして1947年に分離独立しました。

パキスタンとインドは現在に至るまで対立を続け、1998年にはお互いに核兵器保有宣言をします。両国の国境であるカシミール地方(カシミヤで有名)は、中国も絡み未だ紛争の中にあります。

分離独立の前後、宗教暴動がインド全土に起こりました。ガンジーは融和のための断食を実行します。高齢のガンジーの健康を危ぶんで両宗派の指導者はガンジー宅を訪れ、対立を止めることを約束します。ガンジーは食事を再開しました。

しかし、両宗派の過激派からは、このようなガンジーの存在が疎ましく思われていました。1948年1月にヒンドゥー過激派の青年によって、ガンジーは射殺されてしまいます。

ガンジーの遺体はインドで国葬に付されたのち、その遺灰はインドと南アフリカに撒かれました。

ガンジーの誕生日である10月2日は2007年6月の国連総会において「国際非暴力の日」とすることが決議されました。

以上、本日の歴史小話でした!

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