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#0134【神と救済条件を交渉するアブラハム(旧約聖書:ソドムのための執り成し)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今回と次回は「ソドム」にまつわる叙述をします。

なお、歴史小話の叙述順序では先に前回のイサクにまつわる話を進めました。
創世記では、今回のNo.134と次回のNo.135は、前回のNo.133【不合理の果てに(旧約聖書:イサクの献納)】の前に記載されています。

<>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。

<アブラハムは、客人(筆者注:神)を見送りにソドムという都市を見下ろす所まで来ました。
そこで、神はこう言いました。

「ソドムとゴモラの罪は非常に重いと訴える叫びが実に大きい。わたしはソドムとゴモラの住民の行跡が訴えどおりであるかを確かめようと思う。」

そこでアブラハムは進み出て言います。

「あなたは、正しい者と悪い者とを一緒に滅ぼすのですか。それが正義なのでしょうか。」

神は、アブラハムの話を聞くと、
「もしソドムの町に正しい者が50人いれば、その者たちのために、町全体を許そう。」

このあと、アブラハムが重ねて神に訴え続けます。(以下、アブラハムをアと表現)

ア:「もしかしたら、45人かも。」
神:「45人でも全員許そう。」
ア:「あるいは40人かも。」
神:「分かった。40人でも。」

(中略)

ア:「どうか怒らないでください。もう一度だけ言わせてください。10人しか正しい者がいないかもしれません。」
神:「その10人のために、わたしは都市を滅ぼすことはしない。」

こう言うと、神はその場から去っていきました。>

完全にバザーにおける値切りの交渉状態です。

しかし、アブラハムは神から極僅かしか正しい者がいなくても滅ぼすことはしないと約束させます。

人間が逆に神に交渉して、救済の条件を緩めさせるなど、さすが諸国民の父(アブラハム)です。

これは筆者の個人的な見解ですが、人間に100%の善人もいなければ100%の悪人もいないと思っています。

ここでの寓意は、ソドムとゴモラを人間個人に当てはめた場合、少しでも善良な部分があれば救済されるということだと理解しています。

神は誠に寛容であり、慈しみ深いという話だと思っています。

さて、神はこのように約束した上で、ソドムの状況を確認することにしました。ソドムの運命はどうなるのでしょうか。

以上、本日の歴史小話でした!

(続き:No.135【善悪二元論では語れない(旧約聖書:ソドムの滅亡)】)

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