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#0232【人間中心の古代ギリシア文化(世界史)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週は噛み砕いて解説する世界史シリーズです。

現代にも色濃く影響を残している古代ギリシア文化について取り上げます。

学生時代に歴史が好きだった方でも「文化史」となると、あまり得意ではなかったかもしれません。

出来事や人物には、前後関係や因果関係、流れが存在するため一度コツを掴むと理解が早く進むケースがあります。

「文化史」と単品として取り上げると下手すると単語の羅列、しかも世界史の場合は、人名がカタカナで馴染みがなく覚えづらいということもあります。

今日のポイントは、古代ギリシア文化が何をめざしたのかです。
その軸を押さえることによって、なぜ現代にまで影響を及ぼしているのか。
樹木の根っこと幹を押さえた上で、その枝葉として、ではどんな文学があったのか、演劇があったのか、彫刻があったのかという流れで理解していきます。

古代ギリシア文化は何を求めていたのか。

答えは人間です。人間はなぜ存在し、生きているのか。なぜ争うのか。そして人間のいるこの世界はどう成り立っているのか。

これが古代ギリシア人が追い求めたものなのです。

その題材として、人間の知性はどこからくるのか。そして、人間が動物と違うのはどんなところなのかを考えたのが、哲学であり、古代ギリシア哲学の三大巨人と言われているソクラテス・プラトン・アルキメデスなのです。

アルキメデスは、人間と動物の違いを理解するために動物の研究を進め、クジラが魚の仲間ではなく、人間と同じ哺乳類であることに気付きました。

彼がなぜ哲学者でありながら、自然科学も取り扱ったのかといえば、彼が知りたかった「人間」と「動物」の違いを明らかにするためです。

こういった観点で芸術に取り組むと、写実的な彫刻となって表れてきます。人間の美はどこにあるのかを削り出すのです。
両腕を失った形で発掘されていますが、ミロのヴィーナスもそういった文脈でとらえれば、あの時代になぜあそこまで写実的な彫刻が生まれたのかが、理解できると思います。

中世ヨーロッパのように芸術が聖書や宗教に囚われることなく、自由に「人間」を描き出していたのです。

そして、それは歴史=過去の人間の営みから人間の本性・本質を探る動きともなり、それを神話化することによって古代ギリシアの四大悲劇と言われる文学作品が誕生しました。

3000年の時を経て、現代の我々にも響いてくるのは、古代ギリシアの世界観から発出した文化が根差しているのは「人間」だからなのです。

現生人類の誕生から20万年。人間については、まだまだ分からないことが沢山あります。だからこそ、形而下の自然科学だけでなく、形而上の哲学や宗教・価値観といったものが重要になってくるのだと思います。

取っつきにくい文化史。少しは身近に感じて頂けたでしょうか。

以上、本日の歴史小話でした!

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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