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表紙イラスト『incu・be vol.42』-メイキング

若手研究者のための研究キャリア発見マガジン
『incu・be vol.42』(2018年秋号)
刊:リバネス出版
発行日:2018/09/01
デザイン: KIYO DESIGN

表紙イラストを担当させていただきました。


今回のお仕事は
デザイナーの清原一隆さん(KIYO DESIGN)のご紹介。
3〜4年ほど前に持ち込みをさせていただいたのがご縁のはじまりです。
この頃はとにかく営業しなきゃ!の勢いで、 東京装画賞のサイトからSPA会員の方の連絡先を調べて、手当たり次第に電話やメールをしていた気がする…苦笑
清原さんはそんな必死すぎる私(まったくの初対面)の申し出に、快く応じてくださったのでした。しかし本当に手当たり次第だったので
「う〜ん、僕のところには宮崎さんにご依頼できそうな案件はあまり来ないですね…(^^;)」
「…で、ですよね…(^^;;)」

みたいな会話をしてしまったような記憶が。

…ですよね!(3〜4年前の私ならなおさら)

「でもいつか一緒にお仕事できるといいですね」
と言ってくださり、その後も東京装画賞の授賞式などでお会いするたびに声をかけてくださっていたのでした。
そしてこのたび、ついにお仕事のご依頼が!
嬉しかったです〜(*´ ▽ `*)

以下、メイキング。


1:イメージのすり合わせ

今回のお仕事は、
理系大学生・大学院生向けの季刊誌の表紙イラスト。
先方様のご希望としては
・ストーリーのあるイメージイラストにしたい
・基本路線は明るいイメージ

とのことでした。
「物語性を感じる絵を…」と考えて私にご依頼くださったとは、これはまた嬉しいかぎり!
vol.42のストーリーイメージは以下の通り。

たくさんの本(研究資料)に囲まれた研究室の大きな窓を開けると、そこには世界の未来が拡がっている。若き研究者は、研究室の中で得た知識と研究で窓の外の世界に出て行くのだ。
背中には開発中のエアジェット(重力変換機)をつけて、ゴーグルをして、大空へ飛び立っていった。
まわりに積まれた本もジェットの重力影響を受けて、空に浮かんで飛んでいるようだ。
窓からは研究者仲間が手を振っている。
空から見る未来の世界は、なんて素敵な色であふれているのだろう。

なんだか壮大な感じですね!
また、過去のお仕事「Life meets Books」のタッチ、そこに登場する理系女史のような雰囲気で…というオーダーでした。


2:アイディアスケッチ

先方様のイメージはおおむね把握できたものの、この時は複数の案件を同時進行していてちょっと手一杯でした。予算かスケジュールにある程度余裕がないと特殊なシチュエーションに複数人物を配置しつつ背景もきっちり描くというのはなかなかしんどい。ということでこんなご提案をいたしました。

・複数人 + 背景 → メインとなる人物 + 簡単な背景
・窓を円にして宇宙ステーションぽい未来感を出す
・画面をナナメに傾けて浮遊感を出す
・カラーリングでちょっと不思議な印象に
・描き込み量はこちらで可能な程度に調整したい

ご依頼メールから4時間そこそこで描き殴ったものなので雑なのは大目に見てください(まずエアジェットとは何ぞや…と検索するところから始めた)

これへのフィードバックはこちら↓

・描き込み量は対応可能な範囲でOK
・背景の本棚のベース色を 群青色 に変更
・人物の顔が見えるように、ゴーグルは頭につけるor外す
・丸い窓の風景に未来感を出す

vol.42は「研究者の10年の軌跡」というテーマなので
窓の外の未来の世界に向かって羽ばたくイメージを伝えたい

これらを踏まえてラフを制作します。

3:ラフスケッチ

・人物のポーズ変更
 ゴーグルを上げて顔を見せ、窓の外へ飛び出すような体勢に
・窓の向こうの景色に未来感を出す
 リアルさより楽しさを優先、いわゆるレトロフューチャー
・ベースカラーを群青色、反対色の黄色と、アクセントにピンクでまとめる
 (窓の向こうを印象的にしたかったので群青色は暗め)

余談:作業BGMはCHEMISTRY meets m-flo『Now or Never』

果たしてエアジェットを作っているような研究室にフラスコの類があるのだろうか…という内なるツッコミにフタをしつつ、パッと見の楽しさとわかりやすさを追求したかんじです。
「未来感のある風景」をどう処理したものか迷ったのですが、一目で未来とわかる絵面となるとやっぱり昔のSFっぽい謎の建造物が楽しいかな?と。
あんまりパースとか気にせず平面的にぐいぐい作画しましたが、
流線型に伸びる道を一本入れるだけで奥行きと引力が出た気がします。

こちらでOKが出たので本番制作を開始。


4:完成

パッと見でラフとあんまり変わってないように思えるかもですが
散乱する紙に記された謎のグラフ、フラスコの目盛り、人物の輪郭など細部のブラッシュアップをしています。
ラフの時点でどれくらい描き込むかは案件によってまちまちですが、「これはちゃんと描かないと伝わらないな」というものはラフから本番と同じように描き込むこともあります。今回の場合、本棚や窓の外がそのタイプ。

なかなか自主的には描かないかんじのイラストで楽しかったです。
このノリは子供向けの科学雑誌やSF小説にも使えるのではないかしら。
(パステルカラーやビタミンカラーでまとめるとそれっぽくなりそう)

そんなご依頼もお待ちしております!


ちなみに今回は『この本を盗む者は』と同じくフルデジタル。やっぱりシャーペンの工程を省くとそれなりに時短・省エネができるようです。
そのぶん繊細さや柔らかさも減ってしまうかんじですが、今回のような案件だとそのほうがかえって馴染むような気がしますね。


『incu・be』は季刊誌なので
1年間で4回、継続してお仕事させていただく予定です。
次の号は12月ごろ。
今後もよろしくおねがいいたします!


サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!