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乳酸イコール疲労のイメージはなぜ?

乳酸と聞くといまだに疲労物質のイメージがあり、私自身人に説明するときによくわかっていなかったので資料、本を漁りまくってまとめてみました。


【乳酸の働きについて】
私たちが体を動かすときに、体では主にこの3つの代謝によって体を動かすエネルギーを作り、使っています。

①有酸素的代謝(有酸素系)
②無酸素的代謝(解糖系)←ここが乳酸ができる代謝と言われています。
③無酸素的代謝(ATP-CP系)

運動するときは、主に脂質と糖質をエネルギーとして使います。
軽めかつ短めの運動は脂質を主にエネルギーとして使っているのに対し、きつい(高負荷の筋トレ系)、または長時間の運動は糖質を主に使います。

私たちは、筋肉の中で筋グリコーゲン(筋肉の中の糖質)と酸素を使い、エネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)が作り出され、そのATPが分解されることによって生産されるエネルギーを利用しています。
筋肉は、ATPを分解した際のエネルギーを利用して筋収縮を行うことにより、身体を動かしたり運動を行ったりすることが可能になります。

【無酸素性作業閾値(AT値)】
AT値は、運動強さを増していくときに筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、血液中の乳酸が急激に増加し始める強度の値です。

【筋肉の疲労と関係があるのか】
「乳酸=疲労のもと」というのは、無酸素的代謝(乳酸を作る代謝)を使っているような高強度の運動をやっているから、結果的にそのようなイメージがついたようです。
このAT値とほぼ同じか少し低い運動強度で運動をすると、有酸素運動の範囲内ギリギリ上限でカラダを使っていることになり、乳酸を効率よく代謝して長時間運動できると言われています。

最近では、乳酸が多くつくられることで乳酸の生成過程で発生する水素イオンの影響により身体が若干、酸性に傾くことやエネルギー源である筋グリコーゲンの蓄えが少なくなることが、筋肉疲労の原因と言われています。
筋収縮は筋小胞体からカルシウムイオンが放出することで起こりますが、ATPやクレアチンリン酸(ATPの代わりに骨格筋ででき、速効のエネルギー源となる物質)が分解されてできるリン酸がカルシウムイオンの放出を阻害して筋収縮が行いにくくなることなども筋肉疲労の原因のひとつととして考えられています。

【心拍数からのAT値の判断方法】
{(220 – 年齢) – 安静時心拍数} × 0.75 + (安静時心拍数)
およそこの心拍数を境に有酸素運動と無酸素運動が切り替わりまので、これを目安に運動すると疲れにくくなると言われています。

ちなみに私は「152」でしたので、この心拍数付近で運動すれば、乳酸が効率よく代謝できて疲労が溜まりにくい有酸素運動。この心拍数を超えたまま運動すると乳酸が溜まりやすい無酸素運動と言うことになります。

※心拍数は、手首ではかれます。
指2本を親指の付け根の下あたりに置き、脈打つ場所を探します。
脈を確認したら、15秒間脈の数えます。それを4倍にすれば(一分間の)心拍数になります。

【筋肉の疲労を回復をするためには】
これらから、
①キツイかつ長時間の運動(「無酸素」系の運動)をおこなったら糖質を外から補う

筋肉のカルシウムイオンの働きは筋グリコーゲン(糖質)の枯渇により正常に作用しなくなります。

②電解質の飲み物や食事を意識して取る
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど入っているもの(スポーツドリンク)や野菜全般、果物、海藻、きのこ類などで体内の電解質を補い、スムーズな筋肉の収縮を助けます。

③筋肉に酸素を行き渡らせるようなエクササイズで筋肉の代謝を「無酸素」から「有酸素」の方向に持っていく
・ウォーキング、自転車エルゴメーター、水中運動などの軽度の有酸素運動
・ストレッチング
・入浴、交代浴(温かいお湯と冷たい水とに交互につけること)
・マッサージ
など

(④激しいスポーツ後、体が熱ぽっかったりしたらエネルギーが消費されやすい状態になっているため、アイシングで筋肉の温度を下げ、エネルギーの温存を図る方法もあるようです。)


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