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ノートルダムの鐘 観劇記録

1年と半年ぶりの劇団四季の観劇。
今年は観たいと思う演劇が豊作過ぎて、前回のアナ雪の観劇から他劇団の7作品を挟んでからの劇団四季ということで、かなり久しぶりの劇団四季であった。
元々、劇団四季のウィキッドの観劇をきっかけに演劇沼に浸かり始めたけれど、昨今の劇団四季以外の作品も知ることで、完全に首まで浸かるようになったなとしみじみ思う。
さて、改めて原点に立ち返ったような観劇だった「ノートルダムの鐘」を記録に残していく。

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キャスト

主人公であるカジモド演じる飯田達郎さん
2016年12月の初演から300回以上演られているとのことで、説得力のあるカジモドだった。
観ていて特に思ったのは、声や姿勢の作り方で雰囲気がすごく変わるということ。
カーテンコールの時には完全に役を脱ぎ捨てていて、今さっきまでいたはずのカジモドはいなくなっていた。
観劇を終えてから読んだインタビューで以下の発言を知り、納得。劇中での変化もスムーズだったけれど「腰を捻った姿勢にしわがれた声」これを演じ続けるのはかなり大変だったと思う。達郎さんお疲れ様でした。

今からは空想の中のカジモド”“今、また現実に戻った”とすぐ分かるよう、心がけています

https://news.allabout.co.jp/articles/o/57988/

道口瑞之さん演じるフロロー
こちらは完全にヤバい人でした。
愛する自分の弟が外聞の悪い輩を相手に恋に溺れ、挙げ句の果てに早逝。そんな様を目の前で見てたら、そりゃあ自分と託されてしまった甥っ子共々正しい道を歩めるように意固地になるのはわからなくもない。
だけど、エスメラルダに一目惚れしちゃった自分を許せず、葛藤の末に自らの行動を正当化し、メンヘラ殺人鬼と化すのは良い訳ない。
そんな役柄のフロローを演じるにあたって、エスメラルダのスカーフをつい嗅いじゃったり、遠目からエスメラルダのことをジットリとした視線で見つめちゃったりする道口さんは良い意味で完全に変質者のフロローだった。
道口さんのWikipediaを観ると悪役だけじゃない様々な役を演じてこられており、なおかつ演出スーパーバイザーをされていたこともあるようで納得。歌も良かったけれど、演技が強い人なんだと思う。

エスメラルダの山崎遥香さんは演技もダンスも歌もすごく良かった。
道口さんの演じるフロローはキャラクターに嫌悪感を覚えさせるんだけど(褒め言葉)、山崎さん演じるエスメラルダは自分の心に真っ直ぐ自由に生きてる感じが全身に表れていて、それが男女問わず好感を抱かせるキャラクターになってたのが凄く良かった。
外見について言うのはあんまりだけど、次に観劇した時に名前忘れてても気付けるように個人的にメモ。
フィギュアペアの三浦璃来選手に似てる方。

アンサンブルの方でも気になる方が2人いた。
1人は恐らく平良交一さん。白髪の方で貫禄のある雰囲気漂わしつつ歌う渋い声が最高だった。
もう1人の女性はお名前調べたけれど区別がつかずわからず仕舞い。ただ、ジェーンエアのグレース役をされていた折井理子さんを彷彿するお声で、力強さを感じる歌声だった。

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考察・感想


冒頭、舞台上でカジモドが作られていくシーン。
半背に膨らみを背負うことで背骨の歪みを表現し、指につけたインクで顔を汚し、醜さを表現する。
誤った解釈かもしれないけれど、カジモドの内面は外見と違って怪物ではないこと、外見は被り物でしかないことを表してるように感じた。
ただ、終演間際のエピローグは理解が追いつかなかったため講釈が欲しい。
エピローグではカジモドの周りのエスメラルダやフロロー含むキャストが、初めのカジモドと同じように顔を汚していく。それに目を奪われていた間に、気付いたらカジモドの顔の汚れは落ちていた。
あれはどのような意味を持たせているのだろうか。
はじめは、冒頭の逆で内面を表に示しているのはと考えた。外見が醜い怪物であっても心は綺麗なのがカジモドであり、他の人はその逆で外見は普通であったとしても本当は醜い心を持っている。
そんなことを表現しているのかとも考えてはみたけれど、全く納得いかない。
率直に言って、カジモドは純粋ではあったけれど、心は綺麗なんかじゃない。フロローを殺してる時点で完全にアウト。
あの舞台の中で1番綺麗なのはと言ったら、外見も内面もエスメラルダ一択だと思う。
長く考えてはみたけれど結論が出なかったから、このnoteを早く書き終えて、他の人の考察note巡りをしたいと思う。

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コワイヤーはやっぱり生で聴くと迫力が違う。YouTubeで聴いてた音源が如何に薄っぺらいことか。
コワイヤーの歌声から始まることで、観客を劇場からノートルダム大聖堂に一気に引き込んでくれる。

ただ、久しぶりに劇団四季の観劇をして1つ残念に思ったことがある。
スピーカーの音量だ。あれは大き過ぎる。

劇団四季の練習風景で、母音だけで台詞を読み上げるレッスンをしているのがTVで取り上げられてるのをよく観るが、あれだけ言葉の聴き取りやすさを意識して練習をしているのであれば、地声だけでもきちんと声が届くんじゃないかと思う。
もちろんマイクを通してスピーカーで流すことで、大聖堂の響きを想わせるエフェクトが付けられたりするのは分かる。でも、せっかく生の舞台を観劇出来るのだから、地声を楽しむためにもスピーカーの音量はもう少し下げて欲しい。

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フロローが歌う地獄の炎。最初は青白い感じの照明が使われていたから青い炎を意識した演出にしているのかと思ったけれど、歌の終盤だけフロローを赤いライトで照らす演出。
せっかく歌は凄いのに物足りないなと思ってしまった。でも、この後の演出のために控えめだったのかと理解。
その後にカジモドが起こす大聖堂の大火事。
舞台を全て覆い隠す赤幕をライトアップすることで、舞台一面を炎一色に見せる演出は見応えがあった。
先にあったフロローのシーンでの赤い炎の演出が控えめだったからこそ、火事の演出が印象強くなったと思う。

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その他、気になった点のみ列挙。
・瞬間移動かと思うレベルでの舞台下から2階への移動はどうやって可能としているのか?影武者を使っているのか?それとも舞台構造がポイントなのか気になる。
・首落ちたように見える幽霊は子供騙しだけど、違和感があるせいでそれなりに印象に残りやすい。
・家族観劇にも力入れてるイメージの劇団四季。子どもでも分かりやすい演出を心掛けているのだと思うけれど、恋愛関係を表すのにキスシーン多用するのってどうなんだろうか。宝塚みたくキスしてるように見せるくらいじゃダメなのか。
・殺陣まである
・フロローが落とされるシーンで、フロローが着ている白い衣装に見える重さのある物体を上から落とす演出良かった。

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余談

ディズニーのエスメラルダの吹き替えは、ピコを演じてた保坂知寿さんなのを知って驚き。Wikipediaを見てディズニーのノートルダムの鐘の日本語版制作スタッフが劇団四季だったことを知って納得。
カジモドの声優は石丸幹二さんってのも感動したけど、石丸さんはもう既に劇団四季を卒業された方のイメージのが強いな。
ディズニーアニメ版が出来てから10年経ってから劇団四季のミュージカルが開始しているから、卒業してても仕方ないけれど、アニメ版を演じたスタッフが舞台上で演じる姿を観れなかったのは少し残念。

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