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Hey Ocean!の『the Hurt of Happiness』は良いアルバムだ

この前ふいと思ったことなんだけど、
例えばヒップホップは時代の流れとともに流行の形を変えて
どんどんと「新しい」という基準を作ってる一方で、

ロックはそういう傾向で見られることはなく、
寧ろ「良いロックだ」って言われるときは「昔のロック」加減をうまく表現して褒められてるのを最近、某有名ロックバンドの新譜が出た時に見かけて思った。

今活躍しているthe 1975だって「ロックの救世主」的なポジションで見られてはいなくて、寧ろそういう言葉で語られる時は、ポストロックやガレージロックに多いなという印象。
即ち、ポップロックのジャンルにいるバンドはロックの未来として言われる未来は無さそうと思うわけで。

そう考えるとロックの復権が今後現れたとしても、ガレージロックとかポストロック界隈が盛り上がると思うので、あくまでもロックというジャンルの限定的な部分の一大ブームメントになるのかなと予想。
そして自分はと言うと寧ろ復権とか救世主とか、『一度は「死んだ」とみられるものが、見直されて日の目を見る』という形でロックを観察しようとは思わず、もっとおっぴろげにエンタメとして色々ロックを楽しんでいこうと思う。

まあ、あくまでも「流れについていく」という事が大事だとは思ってはいないので、自分が音楽をよりよく楽しめる為の視点や考えを維持、もしくは広げていきたいと思う。

そこまで本題と関係ない導入だけど、Hey Ocean!が去年2018年に出した「The Hurt of happiness」はとても良いポップロック作品だと思う。

Hey Ocean!

Hey Ocean!はカナダのヴァンクーバーで結成された3人組のバンドで、メンバーは 、Ashleigh Ball、David Beckingham、David Vertesiから成る。

ヴォーカルの一人のAshleighは名前の通り女性であり、このバンド以外にも、wiki先生によると声優の仕事にも就いており、出演歴をちょっと見てみると、子供向けのアニメがメインっぽくて、歌声を聴いてみると、確かに老若男女に受け入れられるようなハキハキとした朗らかな声。

Hey Ocean!はこの作品の前に2006年から2012年にかけてアルバムを3つ出している。この時期から考えると、ポップロックやfriendly firesなどの「踊れるロック」界隈を好きな人に見つかっているバンドなんだろうなって感じ。因みにまだ過去作は聴いていない。。。

the Hurt of Happiness

そこで本題の今作についてなんだけれども、結論を言うとかなり好きである。音楽的にはいわゆるポップロックだったりシンセポップというジャンルに属する音楽性であり、そこまで革新的というわけではない。だが曲のクオリティがかなり高い。

まず、一番好きだと思うところは音の分離感がとても綺麗に仕上がっているというところだ。これがデカい。

この曲のイントロから、ベース、ギター、ドラムと色々な音がそれぞれ一つ一つ綺麗に鳴っており、どの楽器がどの楽器の音を殺すという事は一切ない。そしてこのアルバム全編的にだいたいこんな感じで音の分離がとても綺麗であり、それぞれの楽器の音が喧嘩することなく聴くことができる。

このような効果によってアルバム全体的にとても爽やかな印象を与え、アルバムを通して中弛みすることなく、極めて風通しの良い、夏に相応しい作品だ。

そしてこのような音の分離感の良さは楽器だけでなくヴォーカル面にも非常に効いている。
このバンドはヴォーカルが二人いるツインヴォーカルを採用しており、一方は女性で一方で男性が歌っているのだが、これもまたとても爽やかである。

この曲は約7分あるアルバム史上最も長い曲であるが全体を通して爽やかであるので全く飽きがこない。
そしてサビを女性のアシュリーの高音が前に出ている一方で、もう一方のヴォーカルである、Davidがその女性ヴォーカルを一切邪魔することなく寧ろ低音コーラスで支えているのが、結果的にとても綺麗であり、これがまた7分近くあるこの曲を長すぎるという印象を与えずに済む効果があると思う。

そしてその逆も然りで、この曲は男性ヴォーカルがメインでサビでも低音ヴォイスが前に出ているのだが、今度は女性ヴォーカルの高音が、コーラスとして一切邪魔することなく支えている。

楽器だけでなく、この高音と低音を活かしたヴォーカルのバランスもアルバム自体のクオリティを高めていて、割と他のバンドでは聴けないサウンドに仕上がっている。

アルバムの流れ

この作品は全曲9曲約39分と比較的短い。展開はと言うと、前半はアップテンポなポップロック、中盤は先ほど挙げたthe Feels、そしてバラードと、ゆったりとし、後半は女性ヴォーカルと男性ヴォーカルがメインを入れ替わりながらメインヴォーカルを取っている。
ヴォーカルが二人いることもあって、アルバムを通して聴いても全く飽きが来なく、楽しんで聴くことができる作品だと思う。

そしてラストのto the seaは形を変えた「ビートルズのYesterday」的な曲で、とても綺麗な旋律のピアノバラードであり、終始爽やかという印象のこの作品を綺麗な形で終わらしている。

まとめ

この作品はとても気に入っており、ポップロックのアルバムの中でもトップレベルに素晴らしい作品だと思っている。
綺麗に分離された音、ヴォーカルの声、そして曲のクオリティも高く、各曲それぞれ個性があり、完成度が高い作品だと思うので、もし興味があったら聴いてほしい。

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