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覚えてない

「Hey Siri わたしのこと好き?」

「すみません よくわかりません」


あの子がぬいぐるみと話す声が聞こえなくなった午前2時。児童館で読んだ変な漫画の名前が思い出せないまま児童じゃなくなってしまったから悔しくて泣いてます。鉄棒握った後の手のひらの匂いを思い出して頭が痛くなる。走ってはいけなかった廊下を走る想像。使い切っていない交換ノートが手元に数冊。青春の虚構。


体育館の床がいつまでも冷たいままの記憶であることだけが頼りで、わたしの誇りだった。ありきたりな標語が毎年表彰される教室で唯一狂わなかったのがわたしかもしれないとか思っちゃって笑える。わたしのランドセルは茶色だった。


いつの間にか午前3時。


「Hey Siri わたしのこと好き?」

「すみません よくわかりません」

「わたしも」

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