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「転職したい、というより他社で通用するか知りたかった」という秀逸なキャッチフレーズに対して物申す

 転職の広告に題名通りのキャッチコピーが飛び込んできた。まず思ったのは「上手だな」と。多くの人が確かに、「あれ、このままで大丈夫か?私は社会人として特殊(特異)な環境にいて、今の知識はここでしか通用しないんじゃ無いだろうか」と思っているに違いない。その潜在的な不安を見事に言語化し、かつ適切に「そうそう。ちょっとポチっと押しちまうか!」と誘引している素晴らしい広報だと感じた(ベタ褒め)

 ただ、私の中で答えは出ている。
 答えは「他社による」。

 そもそも万能的に活躍できるスキルというのはほぼ無く、最終的にはどのスキルも人間を相手に使うものになるので、使えない時には使えないし、効く時には効く。
 どういうことか。
 私は経理であり、経理の代表的な知識と言えば簿記。これはどの会社でも使えると言っていいが、簿記を知るだけではあまり仕事にならないので、これを使って考えたり、説明したり。しかし、上司が朝からお腹の調子が悪く、イライラしていると何を説明しても「知らんがな、腹痛い」と言われ、もはやどうしようもない。スキル活きない。という身も蓋もない感じ。

 どのスキルも役立つことはあるが、役に立たないこともある。運とさえ断じてしまってもそこまで誤解はない。なので、他社に通用するかは他社や他者による、となる。

 だからもし貴方の転職を考える理由が「このままここにいても他社に通用する汎用的な知識が身につかない」ということであれば、なんてこたぁない。そんなことを考える必要は全くないと断言する。
 そもそも独自のなんか違○というか、社会的にどうなんみたいなことをやっていて、それで他社に通用するか、なんてのはお門違いの話で、そもそもそれは他社云々に関係なく、総合的なリスクの話になり、別途考えるべきことではある。
 そうではなく、貴方の今の業務に汎用性があるか、と言う話であるのなら、考えることなく、業務に邁進していい。数多の会社を見たジョブホッパーが保証する(何を保証してるんか分からんが)
 それでも転職が脳裏を掠めてしまうのであれば、それはスキルが身につくか知りたいのではなく、転職に刺激なり、何か別の理由を求めているはずで、それを「スキルが身につかないかも」というもっともらしい理由で無理くり正当化している可能性もある。

 転職理由は正直であればあるほどいい。でもスキルが身につくかは気にする必要がない。「その会社での経験年数」という最も手に入れることが難しいスキルが、勤めれば勤めるほど確実に身につくのだから。それこそが、最も活きるスキルで、転職者が喉から手が出るほど欲しがるものですよ。

 良い、スキル習得を。

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