How to make 他者コントロールー人格否定しない他者折衝のありかたについて―

1.はじめに

 最近ネットでは「女性はハラスメントについて、地位や容姿がいい男性より劣っている男性に対して被害者意識を感じやすい」という記事が議論を呼んでいる。

 お恥ずかしい話筆者は英語弱者のため、論文自体を精読はしていないし、この論文について賛否について論じるつもりはない。

 しかし、ツイッターにおけるこの議論を見た時、筆者はなんとなく「そのとおりかもしれない」と思うところがあった。

 なぜなら、人から支持を集めている人はうまく立ち回っている傾向が高いためだ。

 社会人の方は自身が接する顧客・客体を想像してほしい。

 もちろんすべてとは言わないが、すべてがうまくいかない人の方が圧倒的に声を張り上げたり、手をあげたりしがちではないか。



2.課題の分析

 そもそも「ハラスメント」という横文字の辞書的な意味を確認しよう。

ハラスメントの意味は以下のとおりである。

 ハラスメント【harassment】 の解説
嫌がらせ。いじめ。「セクシュアルハラスメント」「パワーハラスメント」   goo辞書より
 ハラスメント(Harassment)とはいろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』を言います。その種類は様々ですが、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。以下に一般的なハラスメントの定義をご紹介します。→外部サイト:ハラスメントの定義 https://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm

 相手を不快にさせ、尊厳を傷つけたり、脅威を与えることがハラスメントであり、それは相手側の認識によるものであるといえる。

 では逆に言えば「相手にハラスメントと認識させなければハラスメント」にはなりえない。

 ハラスメント認定される人は他人との関係構築が下手、言い換えると他人の立場に立ち、相手を説得させる行動をとることができていないのである。

 例えばハラスメントの例としてはパッと思いつくのは以下のようなものである。

 ・家庭内や職場で怒鳴る、人格を否定する

 ・相手との距離感を理解できずニチャァと性的な言行を取る

 ・学生では学内での地位格差による理不尽な圧力をかけられる

 あなたがこうしたハラスメントをした時の最大の問題は信用の崩壊である。一方的なコミュニテーションと加害は相手の心を閉ざしてしまい、対話の可能性を閉ざす。

 声を張り上げる怪獣ゴンザレス、誰にでもエロいことをしてしまう桃色お花畑ルン子、他人を下に見たいマウントへこへこ太郎は人間としての信用を失うため、対話を拒否されがちだ。

 そのため職場であれ家庭であれ一様にボロやガタが出始め、その不満によりさらにハラスメントの連鎖へと進みかねない。

 この対策に有効なのが、対話による説得である。次章では相手を動かす説得する対人折衝について、具体的な手法を明らかにしていく。


3.課題解決-ハラスメント認定されず他者を動かす方法について―

 では、「声を荒げずに、他人に思い通りに動いてもらう」にはどうしたらよいのだろうか。

 その具体的な方法は共通の目的の設定と方法の共有に尽きる。

 まず自分の目的を分かってもらうために客観的に説明した上で、その方法を共有する。ここでしてはいけないのは思い通りにならないからと言って相手の人格を否定してはいけない。

 人間、人格はそう簡単に治せるものではないし、人格を否定されると存在が否定されたような感覚に陥り、相手の耳を塞いでしまう。

 ただただ目的を共有し、手段を提示した上で、方法を一つ一つ受け入れさせるのである。

具体的には、7つのステップで次のように表すことができる。

 ①相手について共感を示し、状況を分析する。

ex.今君は今どういう状況にいるのか教えてほしい。~【傾聴】~それは大変だ。それってつまり(目的)で困っているっということだ。なぜなら(目的行為)が不足すると~だからだ。そうだろう?

 ②自分の目的について細分化して解説、展望を示す

 ここで自分の考えを段階的にわかりやすく示す必要がある

 ex. 私は(目的)をする必要があると考える。その理由は~だ。(社会情勢やデータを示し)これが必要であると考える。その(目的行為)をすると~のように状況が良くなる。

 ③②で話した目的について相手の口から復唱させる。

 ex.今話した話について、わかったかな。君の口から何を言ったか復唱してほしい。

 ④その方法論として、現在不足している相手の行動を提示する。

 ここで提示するのは相手ができる範疇の行動であり、情動や人格について要求してはならない。

 ex.復唱してくれたことだが、今の状況だと君の~という行動が不足する。これがないと~という状況に陥り不利益をこうむりかねない。

 ⑤具体的にどう行動すればいいか相手の行動を段階的に指示を出す。

 ex.では具体的にどう行動すればいいか。君は5つのステップで動く必要がある。例えば…

 ⑥相手に⑤の指示を復唱させる。

 ex.今言ったことを復唱してほしい。

 ⑦相手を認め、激励する。

 ex.確かに君は頑張っているが、~をすればもっと良くなる。私は君の味方だよ。頑張れ。

  これは筆者が今まであってきたマインドコントロールが上手い大学教授などが使う手法を分析したものだ。彼らは圧倒的に論述が上手い。皆さんの中にも先生方の要求で「これは理不尽では」と思いながらも言いくるめられた経験がある方がいるのではなかろうか。

 ポイントは①形式的にでも相手に理解を示すこと、②心の壁を取り払った上で行動を示すこと、③復唱させること、の3点である。

 もちろん世知辛い世の中でこれらの方法だけで言いたいこと全てが通るわけではない。しかし、自分の思いでどうにもならない他者を動かしたいのであれば、多少なりとて説得力のある発言をする必要がある。

 私は前職では高齢者ボランティアを起用して、働かせる仕事をしていた。そこでこれらのステップを意図して行ったところ、まず前半部分の共感だけで「いい人」認定され、比較的説得に応じて動いてもらえることが増えたように思う。

 しかし、他者は他人であるからして、思い通りにならないからと言って過度に怒ったり、悲しんだりしてはならない。矛盾しているが、他人の行動は自分のコントロール下にはなく制御不能である。

 コントロール可能な領域といえば、他者に説得し、動いてもらうように働きかけることという自分の行動である。それがどう転ぼうと、動かないより、目的を達成できる可能性は高まると考えたい。

 「~をしたいけど、この人こういう人だから不足する行動の提示はこう工夫しよう」
 「あー、ダメだったかしかたない」
 「やはり、思い通りになったかしめしめ」

 この程度のスタンスで、働きかけを行えば人生もっと生きやすくなると考える。


4.おわりに

 ハラスメントというのは相手の気持ちをマイナスに動かしてしまうことによって発生する。そしてそれは理解や状況認識の不一致により生じることが多い。

 状況→目的→方法の順で共有を図り、自分の意思を上手いこと貫ければ、相手を不快に感じさせることなく目的を達成することができるであろう。

 つまるところ「嫌だ」と思われたところで試合終了なのである。「どう自分から動かしてやる」か、ここが他人を説得し動いてもらうポイントである。

 筆者は今までの人生において、この論法に動かされることが多かった。上記の内容を心に留めた上で、逆に、面倒な仕事を振られた際には相手の論法に負けずに断れる人間になりたいと考えている…


5.参考文献

①厚生労働省HP:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

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