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《前編》【トランスジェンダーの想いはみんな一緒!?】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー #04

みなさん、こんにちは。
”ちがい”をたのしむ「ふむふむ」です。

今回は2023年10月1日(日)14:00~15:30に開催された『【トランスジェンダーの想いはみんな一緒!?】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー#04 』のアーカイブ(文字起こし)の《前編》を掲載します!

インタビュアーは【Yuko】、ゲストは【こうすけさん】【げんのすけさん】です。


幼少期の”ちがい”

【Yuko】
みなさんこんにちは。
本日の進行をさせていただく、Yukoと申します。
わたくしYukoは、「”ちがい”をたのしむ」をテーマに活動している「ふむふむ」というチームのメンバーです。

現代において、わたしたちは多様な価値観を持ち、さまざまな生き方をしています。
一説には、個性は720万通りもあると言われています!
その中で生じる人と人との”ちがい”に時には悩まされたり、ストレスを抱えたりしてしまうこともあるかと思います。
そこで、それらの”ちがい”をきちんと理解し、受け入れ、むしろ楽しんでしまおう!というコンセプトで「ふむふむ」では3つのサービスを提供しております。
 ① 体験型ワークショップ(WS)/講演 …学校や企業、地域対象
 ② 個性學セミナー/コーチング  …個別・小規模集団対象
 ➂ ウェビナー …無料で一斉配信実施中!
ウェビナーでは、あまり会う(関わる)機会がない職業やユニークな経歴・経験をお持ちの方にあれこれお伺いしています。

今回も、もしかしたらこれまであまりお会いする機会がなかったかもしれない、トランスジェンダーの方2名をゲストにお迎えして、おなじカテゴリーであるトランスジェンダーのなかにも”ちがい”があるのか、いろいろとお伺いしていきたいと思います!

ちなみに、トランスジェンダーとは、最近よく聞くLGBTQIA+のうちの「」に該当する方々で、生まれてきたときの身体の性別と自認する性別が一致しない方、例えば生まれてきたときの身体は男性だけれども、自分では女性であると認識をしており、身体と心の性が一致しないという方々のことをさします。(医学的診断名は「性同一性障害」)
今回のゲストは、生まれてきたときの身体は女性だけれど、性自認は男性というお二人です。
ではさっそくゲストの【こうすけさん】【げんのすけさん】をお呼びしましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。

【こうすけさん】【げんのすけさん】
こんにちは。よろしくお願いいたします。

【Yuko】
ではまず自己紹介からお願いします。

【こうすけさん】
兵庫県に住んでいて、今年36歳になります。
よろしくお願いします。

【げんのすけさん】
先ほどご紹介があった「ふむふむ」をつくりました、前田弦之介(げんのすけ)と申します。
出身は大阪で、現在は関西在住です。
よろしくお願いします。

【Yuko】
30歳代、関西在住、トランスジェンダー男性と共通点の多いお二人ですが、”ちがい”もたくさんあるようなので、詳しくお伺いしたいと思います。
では早速ですが、幼少期の頃のことから教えていただきたいと思います。
お二人は幼少期はどのような遊びをしたり、男女どちらのお友達と遊んでいたりしましたか? 

【こうすけさん】
あまりはっきりとした思い出はないですが、友達は男女ともに多かったですし、遊びの内容もどちらかに偏るということはありませんでした。
ただし、好きだった遊びはドッヂボールやサッカーなど、身体を動かす遊びが好きでした。
男の子だけ、女の子だけで遊ぶグループそれぞれの「橋渡し的」役割として大人数で遊んでいたような記憶があります。

【Yuko】
どちらが多いという訳ではなく、「橋渡し的」な存在だったのですね。
それはとても興味深いですね。
あえてどちらかに偏らないということを幼少期の頃から自然と実践されていたのですね。

【げんのすけさん】
僕も男女比率はあまり変わらなかったです。
ただし、遊びの内容はどちらかというと、男の子がするような遊びが多かったと思います。
例えば「ごっこ遊び」をするにしても、男の子とスーパーヒーローになるというようなごっこ遊びをすることが多かったですし、女の子と『セーラームーン』のごっこ遊びをするときも「タキシード仮面やってね」と頼まれることが多くて、僕自身もそちらのほうがやりやすかったです。
男性的な役割を演じることが多かった記憶がありますね。

【Yuko】
「タキシード仮面をやってね」って言われるんですね?

【げんのすけさん】
そうです。
僕は元々「ナミ」という名前だったのですが、「ナミちゃんはタキシード仮面だよね?」って言われていました。

【Yuko】
友達の間でも”セーラー○○”ではなく、「(ナミちゃんは)タキシード仮面のような役のほうがいい(好きだ)」と認知されていたということですね?

【げんのすけさん】
そうですね。

【Yuko】
ちなみに、子どもの頃になりたかった職業は何ですか?

【こうすけさん】
覚えている中では、最初はサッカー選手になりたかったです。
ずっとサッカーをしていて、家に帰ってからも姉たちとサッカーをしていました。

【Yuko】
お姉さんとも一緒にサッカーをしてたんですか?

【こうすけさん】
と言っても、一緒にボールを蹴りあうとか、あとは一人で壁に向かってボールを蹴るというような(ゲーム形式ではないが)サッカーボールに触れている時間は多かったです。
漠然と「サッカー選手になる」という夢を持っていたという感じです。

【Yuko】
ということは、お姉さんたちも身体を動かすことが好きで、日ごろから身体を動かす習慣や環境が整っていたということですね?

【こうすけさん】
そうですね。

【げんのすけ】
僕は、幼稚園の時に「なりたいものを絵に描きましょう」という時間がに画用紙いっぱいにブドウを描いていました。

【Yuko】
ん…?ブドウ…?

【げんのすけ】
はい。当時の先生も困惑していたのですが、ブドウが好きだったので、本当にブドウになりたいと思って一生懸命ブドウの絵を描きました。
これはちょっとシュールな回答になってしまいましたが、ちゃんとした夢としては、F1レーサーになりたかったです。
当時、男性が就くような職業というイメージを持っていたうえで、F1レーサーになりたいと思っていました。

【Yuko】
お二人とも幼少期は男女ともに遊んでいたし、夢も「サッカー選手」、「F1レーサー」と、今はそうではないかもしれませんが、当時はまだまだ男性がなるようなもの、というイメージのある夢を持っておられたのですね。


自分と周囲のあいだに感じた”ちがい”

【Yuko】
では、お二人とも幼少期に自分と周囲のあいだに”ちがい”を感じたご経験は、具体的にいつ頃、どのように感じたのか覚えておられますか?

【こうすけさん】
実は、幼稚園のころは”ちがい”をあまり感じていませんでした。
小学校に入った頃からランドセルの色も含めて男女に分けられることが多くなっていったのですが、決定的な出来事となったのは、あるとき男の子の友達と一緒に男子トイレで遊んでいたときに、めちゃくちゃ先生に怒られた記憶ですね。
あまり怒られる子どもではなかったので、「あ、ここには入ってはいけないんだ!」と強く印象付けられたのが最初の記憶です。

【Yuko】
こうすけさんご自身は、男子トイレに入ることに違和感を持っていなかったということですか?

【こうすけさん】
そうですね。
「入ってはいけない」とは思っていませんでした。
自分が《女性である》という自覚はありましたが、そういう理由で「分けなければならない」という意識がなかったです。

【Yuko】
「女の子はこっちに入っちゃいけない」とか、「女の子はこうしないといけない」というような感覚があまりなかったということですか?

【こうすけさん】
そうですね。
なかったと思います。

【Yuko】
ちなみに、先ほどランドセルという単語が出てきましたが、こうすけさんのランドセルの色は何色でしたか?

【こうすけさん】
赤色でした。
小学校のときは赤色がかっこいいと思っていたので、靴も赤色を買っていましたし、特に赤色が嫌だという感覚はなかったです。
むしろ、女・男というだけで赤・黒に分けられることに対して「何でだろう?」という疑問を持っていました

【Yuko】
色や場所ではなく、そもそも「分けられる」ということに対して疑問を持っておられたのですね。
では、一方の【げんのすけさん】は自分と周囲とのあいだの”ちがい”をいつ頃、どのように感じられましたか?

【げんのすけさん】

よく「いつから男の子になりたいと思っていたの?」と質問されることがあるのですが、僕は自分をずっと《男だ》と思っていました。
身体の性と心の性が一致している人と同様に、僕は自分を当たり前のように男だと思っていたので、むしろ性に対して特に意識をしていませんでした。
幼稚園で男女に分けられる機会があり、(自分は男だと思っていたので)男の子の列の方に行ったら、友達に「君は女の子だからあっちだよ」と言われてはじめて「えっ?」となった。
「男の子になりたい」というのではなく、「男ではなかったんだ…」と気づかされた衝撃がはしりました。
その時にはじめて違和感を覚えた記憶があります。

【Yuko】
こうすけさんは自分が女性だという認識はあったものの、そもそも男女に分けられることに対して違和感を持っており、男子トイレに入ったことを先生に怒られるという形で「これはダメなことなんだ」と気づかされたのですね。
一方のげんのすけさんは疑う余地なく自分は男性だと思っていたところ、友達によって「君は女の子だよ」と突き付けられたのですね。
内容は違えど、どちらも他者(第三者)によって性に対して気づかされるというご経験をお持ちなのですね。
特に何も考えずに生きてきた私にとってはどちらも驚きの話です…。

では、今の話とすこし重なるところはあるかもしれませんが、改めてご自身が性別違和を感じはじめたのはいつ頃からですか?

【げんのすけさん】
性別違和だと、やはり幼稚園が最初かなと思います。
ただ、小学生の低学年のときも《今は女なんだ》と思っていました。
《大人になる成長の過程で自分が思っている性別に変わっていく》と思っていました。
小学生の低学年のときも相変わらず男の子っぽかったので、友達からよく「ナミちゃんはほんまに女の子なん?」「お腹の中にチ○チ○忘れてきたんちゃうん?」という、トランスジェンダー界隈ではよくある会話が繰り広げられており、そんな会話を聞いていたからこそ《いつかは生えてくる》と思っていました。
小さいときはあまり男女差はないし、はたから見てもあまり女の子っぽくはなかったので、成長していく過程で男性になっていくのだと考えていました。

【こうすけさん】
性別違和を感じた「これ」という出来事はないのですが、僕は自分が男になっていくだろうとは感じておらず、男の子っぽい女の子たちや、それこそ先ほど言ったように男女関係なく一緒に遊んでいたこともあり、学校の中では男女に区別されてしまう機会が多いけれど、自分たちで遊んでいるときには分け隔てがなかったから、(男女のどちらかになるというよりは)このまま区別なく《男女の中間ぐらいでずっと生きていくんだろうな…》というイメージを持っていたし、性別のことをあまり考えずに生きていけたらいいなと思っていました。
《男になることも、女になることも想像ができなかった》

【Yuko】
げんのすけさんは《男になる》と思っていたし、こうすけさんは(男女の)《中間的な役割を担いながら生きていく》と思われていたのですね。
トランスジェンダーというカテゴリーだけで見るとお二人とも同じなのですが、幼少期からすでに性に対する思いや考え方には”ちがい”があったのですね。

今となってはお二人とも男性として社会生活を送っていらっしゃいますが、改めてご自身を《男性だ》と認識されたのはいつ頃のことですか?

【こうすけさん】
《男性だ》というか、自分が《女性ではない》という認識をしたのは、高校2年生ぐらいです。

【Yuko】
聞くところによると、こうすけさんは女子高に通っていらっしゃったそうですが、私の勝手な想像にはなりますが、ご自身が《女性ではない》とお感じになるということは、女性だらけの女子高には通いたくないと感じるのではないかと思うのですが、なぜ女子高に行こうと思われたのですか?

【こうすけさん】
中学校のときに好きだった先輩がその高校に行っていたという単純な理由がひとつ。
あとは、男女に分けられるのが嫌だったので、女子高に行けば分けられることはないと思ったのも理由のひとつです。
そして、小さい頃からずっと運動が好きだったが、男女の体格差や筋量の”ちがい”などが徐々に明らかになってきてすごく悔しかったので、女子高に通えば、その現実をまざまざと見せつけられることはないのかなと感じたこともあります。
さらに、小・中とずっと友達だった男子から告白されて、男性から恋愛対象に見られるのが嫌で、そこから逃れるという意味もあったと思います。

【げんのすけさん】
自分は《女でなくて正解だったな》と思ったのが高校のときです。
小学校の低学年のときは「成長の過程で男性になれるかも」と期待していたが、小学校の高学年で性教育があり、当時はまだ男女一緒に身体の発育の”ちがい”について勉強していた。
そのとき「自分の身体はこういう風になっていくのだ」と大人から改めて授業として教えられたので、それまで抱いていた期待は打ち砕かれました。
高校のときに自分は《女でなくて正解だったな》と思ったきっかけは、インターネットでした。
インターネットが普及しだして、自分の興味のあることを調べていたところ、とあるホームページに行きついて、そのページを運営している方がトランスジェンダーでした。その方はブログも書いていたのですが、僕が抱えているようなものと同じような悩みを書いていたし、その人が自分のことを「男性です」とブログに書いていたので、「あ…同じだ」と思いました。このとき初めてロールモデルに出逢いました。
あと、中学2年の時に金八先生のドラマがあり、上戸彩さんが性同一性障害の役を演じていて、世間的にもあのドラマで性同一性障害の認知度が上がったのかと思いますが、過激な演出のせいもあり、当時は「これは自分とは”ちがう”」と感じていました。
だから、「お前も上戸彩と一緒ちゃうん?」と中学の友達に言われることがあり、自分とは”ちがう”という思いがあったため、この頃はわざと《女の子らしく振る舞う》ということをしていました。

【Yuko】
私も金八先生見てました!
確かに、あのドラマで性同一性障害が認知されたという印象がありますが、あのドラマを見て「自分は”ちがう”」と感じ、あえて自分の意志に反しても《女の子らしく振る舞う》という選択をされたのですね。
私は何も考えずに見ていましたが、あのドラマをそんな風に見ていた方もいらっしゃるのですね…。初めて知りました。

ちなみに、同年代なのでこうすけさんも金八先生をご覧になっていましたか?

【こうすけさん】
はい。毎週見ていました。

【Yuko】
こうすけさんはあのドラマに対してご自身について何か感じることはありましたか?

【こうすけさん】
似たところがあったとしても、あまりしっくりくることはなかったですし、げんのすけさんが言っていたように演出が怖くて、「そんなんじゃない!」と思って見ていました。

【Yuko】
ドラマの世界なので派手な演出もあったと思いますが、お二人とも過激な演出だからこそ(現実の)ご自身とは”ちがう”と感じられたのですね。
げんのすけさんはドラマの世界観とご自身が”ちがう”ということをはっきりさせるために、自分の意志とは裏腹に女性らしさを演じるということまでされていたということですが、あのドラマはお二人にとってはむしろ”脅威”とも言えるような、自分からは遠ざけたい、敬遠したい類のものだったのですね。
そんな風にあのドラマをご覧になっていた人がいたということを初めて知りました。すごく驚きというか、衝撃を受けました。



さて!
二人のトランスジェンダー男性とのウェビナー《前編》いかがでしたでしょうか?
カテゴリーは同じ。
年代やお住まいも含めて共通点が多いお二人ですが、よくよく話を伺うと”ちがい”もたくさん見えてきました。
《前編》ではご自身の性別に違和をはっきりと感じた高校生頃までのお話を伺いました。
《後編》では、いよいよ戸籍上の性別を変更して現在に至るまで、その胸の内も含めてどんどんお伺いしていきます。
そして、さまざまな苦悩を乗り越えてこられたお二人ならではの”ちがい”をたのしむ方法とは?
当事者のだからこそ語れる、貴重なお話をまだまだ聞いちゃいます!
気になる続きは《後編》で!またお会いいたしましょう^^


ウェビナーを見てみたい!と思ってくださったそこのアナタ!
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