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《番外編》【トランスジェンダーの想いはみんな一緒!?】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー #04

みなさん、こんにちは。
”ちがい”をたのしむ「ふむふむ」です。
今回は2023年10月1日(日)14:00~15:30に開催された『【トランスジェンダーの想いはみんな一緒!?】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー#04 』の《番外編》です!
《前編》《後編》はコチラ ↓↓↓

《番外編》では、ウェビナー中にお話しできなかった内容や、アンケートでいただいたご質問にお答えしていきます。
さらに、【こうすけさん】、【げんのすけさん】のお二人に今回のウェビナーにご出演いただいた感想もいただきました^^
当事者だからこそ語れる、貴重なお話《番外編》スタートです!

インタビュアーは【Yuko】、ゲストは【こうすけさん】【げんのすけさん】です。


性別変更時のエピソードとそれぞれの想い

【Yuko】
お二人ともに「性別違和」を感じた時期や感じ方にはそれぞれ”ちがい”がありましたが、性自認が「男性だ」と思った時期は高校生で、初めてカミングアウトしたのも共に高校2年生とのことでした。
現在はお二人とも戸籍上の性別を男性に変更されますが、教えていただける範囲でどのような経緯で戸籍変更をされたのか、また変更できたときのお気持ちはどのようなものでしたか?

【こうすけさん】
ホルモン治療をはじめたのは20歳くらいでした。
当時は性別適合手術の必要性に対しては、自分の中ではふわっとしたものでしたし、自分自身がどこで満足するのかが不透明でした。
ただし、大学に入学したとき「このままでは生きていけない」と思いました。とうのも、大学で名前、戸籍、特に身体に関することで、すべての壁にぶつかったんです。
それで、大学を一年で中退して、一心不乱に手術費用を貯めました。
手術終了時の感想はいろいろなことから解放されて「やっと終わったな」というものでした。
ところが、戸籍上の性別変更は紙面上の手続きだけだったので「はい、わかりました」という感じであっさりしたものでした。
やはり身体的なものに対する比重が自分の中でも大きかったのではないかと思います。だからこそ、手術後はすぐに身体をを鍛えだしました。

性別を変更してよかったと思う点は、仕事上のことが多いです。例えば面接を受ける時も、性別に関する説明をする必要がなくなったという点です。
ただ、性別適合手術に向けてがむしゃらにお金を貯めて必死になっていた日々が終わり、「燃え尽きた」という感じは正直ありました。
性別が壁にならなくなったという意味で生きていく選択肢が広がったという安心感を得られた反面、これから先への不安感もありました。
別適合手術を終えたからと言って悩みがなくなるわけではなく、ひとまずの着地点に到達しただけであって、そこからまた新たな悩みが生じていくという感覚でした。
具体的に言うと、身体的な面でひとまず自分自身に対して満足できるところには到達したけれども、次は周囲との関わりをどうしていこうか…という問題に直面したかなと思います。

【げんのすけさん】
僕は20歳までに胸を切除して、名前を変更しました。ここまでは「マイナスを取り戻した」という感じでした。
その後、特に生きていく上で不自由を感じることはなかったため、性別適合手術をすることもなく、戸籍も女性のままで生活をしていました。
ところが、結婚するために男性籍である必要が出てきたので、タイへ単身渡航し、手術を経て男性籍に変更しました。
やっと自分が思う性別に戸籍を変更できたのですが、胸を取ったときや名前を変えたときの方が達成感はあったなと思います。
これで、さまざまな苦難を乗り越えてプラスになれるんだと思っていましたが、終わってみれば結局「マイナスがゼロになっただけだった」という徒労感だけが残ったと記憶しています。
性別適合手術を経ても、生物学的に完全に男性になったわけではないというところはやはり常につきまというという感じですね。

【Yuko】
そうなんですね…。
お二人ともに共通して言えるのは、性別適合出をして戸籍上の性別をご自身が思う性別、男性に変更できたからといって満足感や達成感が得られたわけではないということなのですね。
むしろ新たな問題に直面したり、期待値が高かった故の徒労感にさいなまれてしまったりというご経験をお伺いして、これまで私が抱いていたイメージと全くちがうなと感じました。
性別適合手術をして戸籍を変更できれば当事者は幸せに感じるだろうと思っていたし、「本当によかったね」とお祝いの言葉を述べてしまいそうなのですが、そうとも限らないということなのですね。
当事者ならではの貴重な経験や感想を教えていただき、ありがとうございました。



時間の都合上、ウェビナー当日にお話しいただくことができなかった《番外編》をご紹介しました。
ここからは、ウェビナー終了後のアンケートでいただいたご質問のお答えを掲載しますので、こちらも併せてご覧ください!


《アンケートでいただいたご質問&回答》

※いただいたご回答は原文ママで掲載させていただいております。

ご質問:
「違いをリスペクトし、楽しむ」旨の話があったが、差別主義者などリスペクト出来ない人に出会った時にどう対応するのか、または対応しないのかが気になった。

回答:
まず、差別には二通りのものがあると感じています。
ひとつは、「知らない」が故に、本人には傷つけるつもりがないけれども差別的な発言をしてしまうとうもの。
そしてもうひとつは、明らかに悪意を持った露骨な排他的思考から生じる差別。
差別的な言動があった場合に、上記二つのどちらであるかはその人とのそれまでの関わりや言動の傾向、空気感や感覚で掴めると思います。

このような人に出会った時、まず前者の場合は機会があれば「いろんな人がいる」ということを話してみます。
そして、その言動に対して嫌な思いをする人がいることもそれとなく伝えることで、その人自身に考えてもらうきっかけ作りをしてみようと試します。

一方、後者の場合は相手にしません。
そのような人とは自分から距離を置きます。
それがお互いのためでもあるし、何より自分自身の心を守るためにも、その方がいいと思うからです。
ただし、なぜその人がそのような思考になってしまったのかということは考えると思います。
それを僕自身がしっかり考えるということで、ひとつの経験として無駄にしないようにするためです。

実際に、過去に後者のような人に出会った経験がありますが、その時もその人とは距離を置きました。
ただし、そのまま何もせず放置することが良いとは思っていなかったので、当時親しかった友人に意見を求めたり、インターネットでいろいろ調べてみたりしました。
世の中にはそのような言動をとる人がいる、ということもまた事実かなと思うし、僕自身「性同一性障害」であるということは排他的な言動と向き合っていかなければならないこともあるのだと、ある種の覚悟というか、今の社会での自分の立ち位置のようなものを、俯瞰的に認識しておきたかったからです。
そして、現実から目を背けるのではなく、自分の経験をきっかけにして、実際に世の中でどのようなことが起きているのか、どのような考え方があるのかを知ることに多くの時間を使いました。
排他的な扱いを受ける、ということは辛い体験ではありましたが、ただ「辛いなぁ…」と終わらせるのは勿体ないし、再び同じようなケースに遭遇したときに同じだけ傷付かないようにするためにも、「考える」「学ぶ」「聞く」ということをとことん続けてきましたし、これからもそうやって生きていくと思います。


ウェビナー出演後~お二人のトランスジェンダー男性による感想~

【こうすけさん】
ふむふむを通して話す機会をいただけてありがとうございました!社会的に男性として生活するようになってからは『トランスジェンダーとしての私』に自分自身で焦点を当てることが少なくなったので、改めて振り返ることができて良かったです。
大前提に【人と人はちがう】とわかっていながらも、その【ちがうこと】を明らかにして知ることに戸惑う人は多いと思います。知らないことや理解できないことに拒否感を抱く人もいると思います。

トランスジェンダーの中であっても考え方や生き方は本当に多種多様で、私とげんのすけくんとの間にも多くのちがいがありました。今回は私自身もたくさんの【ちがい】に気づかされ、たくさん考えることができました。

ふむふむが、あえて『ここが同じだよ』ではなく『ここがちがうよ』という企画を立てていることに、感服します!

同じことも大事だけど、ちがうことでその人自身を尊重できることって沢山あるなと思います。
そんな大切なことに気づかせてもらえました。
ありがとうございました。


【げんのすけさん】
これまでは、自分が話を聞くという役回りが多かったですし、話す機会があっても、学校等で講演という形式で話すということが中心だったので、改めて自分のことを中心に話すというのは意外と今回が初めてでしたので、とっても斬新な経験でした。

自分の過去の体験について講演等では話すことが少なく、改めて自分の今までの経験に対してどう捉えているのか整理をするいい機会にもなりました。
その状況に置かれている当時と10年前の自分が当時を振り返ってどう思っていたか、そして今このような活動をしている自分が当時を振り返ってみると意外と捉え方に変化があったということも含めて、おもしろかったです。

いつもとちがった人との”ちがい”を知るという、いい経験になりました。
ありがとうございました。



ここまで《番外編》をご覧いただき、ありがとうございました。
今後もふむふむでは、普段あまり見聞きすることのない経歴やさまざまな価値観を持ったバラエティー豊かなゲストをお招きして、みなさまと一緒に世界を広げていきたいと考えています。
ウェビナーを通じて、みなさまと「なるほどー!」「そうなのかー!」をたくさん共有してきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします^^

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