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孤独という幸福

 ひとの孤独と幸せについて考えることが増えた。私はもう慣れてしまった孤独と、今まさに向き合うひとたちと話をして触発されたのだろう。あるいは、私も両親を失えば天涯孤独になるのだと身につまされているからなのかもしれない。

 人間は本質的にいつだってわかり合えない孤独なものであって、だからこそ誰かと一緒にいる、どこかに所属している、という幻想に縋ってなんとか淋しさをごまかしている。そう私は信じている。でも、幻想を捨てて孤独に帰れば、悲しみと引き換えにほんものの気持ちを見つけることだってある。

 いつまでもこのまま、がこの世に存在しないぶん、時折訪れる孤独によって私たちは自分を取り戻すのだろう。喜びの対価として悲しみがついてまわるように、孤独になってはじめて見えてくる世界もきっとある。そんな幸福を、悲しみをほんの一時だけでも癒やすように味わいたい。

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