つくし@ピアノ調律師の書斎

フリーランス16年目。埼玉のピアノ調律師です。 ピアノや仕事について言語化することで、…

つくし@ピアノ調律師の書斎

フリーランス16年目。埼玉のピアノ調律師です。 ピアノや仕事について言語化することで、言語化できない大切なものを見つけていきたい。 毎週水・日曜に更新。 同業者の妻とピアノが好きすぎて寝床にしてしまった文鳥と3人暮らし。 https://www.tukusi-piano.com

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  • ピアノ調律師同士で考えたい

    同業者の方と一緒に考えたいことや、おすすめのグッズなどを紹介しています。

  • デジタルをつかってピアノをもっと楽しく

    スマートデバイスをつかったピアノの練習方法や管理方法をまとめています。

  • お客さまと調律師のギャップを埋めたい

    ピアノって、調律って、本当はこうなんです。 ひとことで伝えるのは難しい「ギャップ」を解消する記事をまとめました。

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調律師がすすめる、ピアノの本

弾くだけじゃなくてピアノのことをもっと知りたい!と思ったときに、ピアノ関連の本はたくさんあってどこから手をつけて良いか難しいです(専門書は価格も決して安くないですしね) そんな方に向けて、まず最初の一歩としてここを押さえておけばピアノの全体像が見えやすい、おすすめの本を紹介します。 ピアノのことをもっと知りたい方向けの本青山一郎著「1冊でわかるピアノのすべて」 ピアノの歴史から音律のこと、構造から考えた弾き方のこと、調律のことなど色々な角度からピアノのことが書かれていま

    • 調律師には、音の出ない鍵盤は具体的に伝えたほうが良い理由

      ピアノを持ち主の方と調律師が協力して良くしていくために、ここは重要なので共有したいなと常々思っています。 調律の前に「ピアノの調子、どうでしょう?」と聞いたときの会話。 「あっ!どこかの音が出づらいことありました!どこだっけな〜?たぶんこのあたりです!」 よくある光景なんですが、実はこれが結構困る...と言うと語弊がありますかね。もったいないことになりがちです。 と言うのも、その日にすぐ同じように症状がハッキリと出てくれれば良いのですが... ピアノは部品が膨大で、

      • はじめての軽自動車は仕事にぴったりだった

        車にピアノ調律の工具を積んで、毎日いろいろな場所に出向いてます。 車で回る調律師、電車がメインの調律師、バイクで身軽に行く調律師。 人によっていろいろですが、エリア的にも僕の場合は車は必須な仕事道具です。そんな仕事用の車を新調して2年が経ちました。 いままではずっとホンダ派で、モビリオ→インサイト→FITハイブリッドと乗って来ましたが、今回はじめてのダイハツ。軽自動車もはじめましてです。 昨今ダイハツは色々ありましたが…無事生産も再開したようなので、結果として今までで

        • 準備から電源を切るまでが電子ピアノです

          最近ピアノ音源への興味が強くなった流れで、電子ピアノも以前よりおもしろく見ることができるようになりました。 先日、取引のある楽器屋さんでいろいろと弾かせてもらったんですが最近の電子ピアノは本当に高品質ですね。 エントリーモデルのものでもかなりしっかりとしたタッチと音なので、正直有名メーカーのものであればどれを選んでも満足できるだろうなと思います。 個人的には電子ピアノはとにかく楽しく弾けるものを選ぶのが良いと思っています。生のピアノに似ているとかそういったことよりも、弾

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          Notionは無限の可能性があるけど有限なところが良い

          ずっと気になっていたNotion(ノーション)と言うアプリ。 なんか色々できるとは聞いていたんですが、それゆえに取っ付きづらさもあって、気になりつつもスルーしてました。 でもさすがに最近かなりメジャーになってきているしなー、そろそろ使っておかないともったいないかなー、くらいの軽い気持ちで試しにいじってみました。 結果…これ、ものすごく便利です。そして簡単でした。 操作自体はものすごく簡単で、仕組みと言うか考え方に慣れるために少し触ってみる時間が必要と言う感じでしょうか

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          正義感を暴走させないように気をつけたい

          業界の良くないところをさらすようで恐縮なんですが、これ、お客さまにも誤解を生んでそうだなと思うので書いておきたいと思います。 調律の時にピアノの中を掃除するか?しないか?と言う問題。 ここはそれぞれの調律師の考え方がけっこう出る部分で、それ自体は当たり前だし、良いんです。 それぞれの考え方があるんですが...ピアノの内部にはホコリが溜まりやすくて、調律師によって対応は様々です。 この違いによって、たびたび良くないなと思うことが起こります。 1や2の考え方の調律師が、

          正義感を暴走させないように気をつけたい

          新しいピアノには「リリース直後のバグ」がつきもの

          「デバッグ」と言う作業、ご存知ですか? ※ちょうどこの投稿の数日後に詳しい動画が出ていました。わかりやすい! これ、新品のピアノの育て方に似てるなと思いました。 身近な「デバッグ」と言うと…やはりゲーム関連でしょうか。ほぼ完成したゲームを発売前に「デバッガー」と呼ばれる人たちがプレイしてみて、ゲームが正常に動くか、バグがないかを確かめます。 レースゲームで壁にぶつかった時すり抜けたりしないか。 格闘ゲームで特定の技を同時に出すとフリーズしないか。 RPGでアイテム

          新しいピアノには「リリース直後のバグ」がつきもの

          ピアノ調律師があらためて学ぶ「潤滑剤」

          ピアノが快適に弾けるために大切なのが内部の部品がスムーズに動いて正確に戻ること。そのために欠かせない「潤滑剤」 僕だけかもしれないですが、調律師としても「ここにはこれを使うもの」「使ってみた結果これが良かった」と言う指示や経験頼りで、潤滑剤の成分や特性には意外と無頓着なままだったりします。 これじゃいけないなと、潤滑剤について改めてしっかりと知りたいと思いました。そして調べるほどに潤滑の重要性と難しさ、そしてピアノと言うものの特異性が浮き彫りになりました。 潤滑を通して

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          あの曲のサビが自分だけ違う音程に聴こえてる

          多くの方がおそらく同じことをされていると思いますが、最近ドラゴンボールを読み返しています。 リアルタイム当時もちろん熱狂していましたが、小学生だったので意外と全巻通して読んでいなかったりします。子供のお小遣いで全部は買えないので、飛び飛びで持っている何冊かは何百回と読んでいるのに、他は友達の家で1回読んだだけとか。 それでもこんなに全てのシーンが懐かしくて、なのに今読んでも新鮮におもしろくてかっこいい。改めてすごい作品です。 それで今日の本題はそこではなくて、アニメ•ド

          あの曲のサビが自分だけ違う音程に聴こえてる

          いつかピアノで大きな事故が起こるんじゃないか...?

          グランドピアノの大きな屋根を支える棒 …の根元。 ここってかなり力がかかる場所なんですが、横から真鍮の小さいネジ3本で止まってるだけなんですよね(ヤマハの場合) 古いピアノで、このネジが止まっているように見えても実は中で折れてるケースにけっこう遭遇します。 もしなにかの拍子に根元から棒が外れて、そのタイミングで手や頭が屋根の下にあったら…これ、いつかどこかで大きな事故につながるんじゃないかとヒヤヒヤしています。 いままでニュースになるような事故は起こっていませんが、

          いつかピアノで大きな事故が起こるんじゃないか...?

          おもしろい手袋を見つけた

          この手袋、見た目はなんか...なんですが、ピアノの作業にものすごい便利でした。 同業者の方にはわかってもらえると思いますが、ピアノって細かい部品とか狭い隙間が多くて、指先に滑り止め欲しいけど手袋すると邪魔なんだよな〜と言う局面が結構あるのです。 手袋の腹の部分が空いてるこれだけで一気に作業しやすくなります。 素手よりも、普通の手袋をするよりも遥かに良い。 状況に応じて素手になれるそしてさらに良いのが指ごとに一時的に外して素手になれるところ。 指先で微妙な違いを感じる必

          おもしろい手袋を見つけた

          美しく仕事をしたい

          最近、ピアノのメンテナンスをするときの「視線」に気をつけています。 ピアノに使う工具に対しての視線です。 あるときピアノに向かって作業をしながらなんとなく自分の動きを俯瞰してみたときに「工具を手に取るときにちゃんと見てないな」と思いました。 ドライバー、掃除用具、調律工具、接着剤、ピアノのパーツ、薬品類、刃物、専用工具、ライト類…調律の作業はいろいろな工具をとっかえひっかえ使っていきます。 それが流れ作業的と言うか…使った工具をノールックで置き、次の工具に一瞥をくれて

          なにかを足すならポジティブな気持ちが理由じゃないと

          「このピアノに◯◯を取り付けたいんですが、これってどうですかね? 」 そんな相談を受けることがあります。 いわゆる改造にあたるようなオプションの後付け品はピアノにはそんなに多くはないですが、代表的なものだと「ピアノの消音装置」 他には、取り付けるとアップライトピアノがグランドピアノのタッチに近づくものだったり、真ん中の弱音ペダルの効き具合をグレードアップする製品だったり。どれも大掛かりな改造で、数十万円かかる高額な商品です。 もちろんそれぞれメリットとデメリットがある

          なにかを足すならポジティブな気持ちが理由じゃないと

          「自分に向いてる」からその仕事を選ぶの?

          年齢的なことなのか、フリーランスと言う働き方だからか、お客さま宅で進路や就職の相談を受けることが増えてきました。 音楽関係に進みたいと言う相談もあれば、大学か専門学校か、そもそもどんな仕事を選んだら良いかなど色々です。(本格的に調律師になりたいと言う相談はまだ無いです) もしかしたら一生を左右するかもしれないことなので、答えはかなり慎重になります。それこそ、もしピアノ調律師になりたいと相談されたら自分はなんて答えるんだろう?とか。 そんなこともあり「仕事選び」ということ

          「自分に向いてる」からその仕事を選ぶの?

          キャンプ用品はアウェイを「ホーム」にしてくれる

          最近、調律のときに使いたい便利な道具がどんどん増えていて、メインの工具カバン以外のサブバッグとして使っている大きめトートバッグがかなりカオスな状態に。 「なんか前より荷物増えました?」 ついにお客さまにもバレてしまい...さすがに作業性も見栄えも悪いのでそろそろ変えないとなあと考えていたら、良いのを見つけました。 薪やキャンプ道具を入れるコンテナボックスで、かなりの収納力です。 頑丈で形が崩れないのと、いろいろ吊り下げられるベルトが良い。 かっこいいモバイルバッテリ

          キャンプ用品はアウェイを「ホーム」にしてくれる

          調律をたくさんすればピアノが安定する、と言うわけじゃない

          ピアノは結構音が狂う楽器です。 ピアノ調律師の仕事はいわゆる「狂った音を合わせる」だけではありませんが、基本の作業であることは間違いないです。 でもその「音の狂い」にもいろいろあります。実はただ調律を繰り返せば良くなるわけではなく、適切なタイミングで調律することや、環境を整えたり、持ち主の方の協力が絶対に必要です。 今回はそのために絶対に共有しておきたいけど、意外と調律師の感覚に留まっていてひとことで説明するのが難しい「ピアノの音の狂いとは?」について言語化したいと思い

          調律をたくさんすればピアノが安定する、と言うわけじゃない