2.5 architects 森藤文華 + 葛沁芸

女性建築家2人によるユニット。建築、アート、デザインの分野で幅広く活動。製作活動の記録…

2.5 architects 森藤文華 + 葛沁芸

女性建築家2人によるユニット。建築、アート、デザインの分野で幅広く活動。製作活動の記録として「地図集」「青海三丁目 地先の肖像」を公開中。website >> https://25-architects.com/

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  • 青海三丁目 地先の肖像

    東京にある広大な埋立地・最終処分場となっている青海三丁目地先。「青海三丁目 地先の肖像」と題したアートプロジェクトを製作していく過程で書かれた、青海三丁目 地先へと宛てた/を経由する、森藤文華と葛沁芸とによる交信記録です。

  • 地図集

    今まで、建築設計や製作の一環として描いてきた地図作品をまとめました。異なる年月と場所を写した、手書き地図です。

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    「青海三丁目 地先の肖像 2」

    「青海三丁目 地先の肖像 2」 2.5 architects 著・編集・発行 A5サイズ・166ページ・全頁カラー印刷 私家版、110部限定 2.5 architectsによる、東京湾岸部の最終処分場である巨大な埋立地「青海三丁目地先」をテーマとしたアートプロジェクトの作品集です。 「青海三丁目 地先の肖像 1」の続編となっており、2020-2022年にかけて行った活動の記録として、ワークショップや展示、トークイベントなどの記録を中心としながら、引き続き行ってきたフィールドリサーチの記録も収録しています。さまざまな方々とさまざまな形で対話をしながら、埋立地についてのリサーチを深めています。 全冊作家2名のサイン入り、ナンバリング入りとなっています。 Intro. 「プロジェクトの始まり」  東京という都市について考えていた時に、地図の中の海の上に見知らぬ3km四方の土地があることに、そして、この広大な埋立地について、我々はほとんど何も知らないことに気づきました。この場所はかつて「青海三丁目地先」と呼ばれていたところで、今日も刻一刻と埋め立てられ生まれつつある東京のフロンティアでもあり、東京五輪の会場ともなる予定の場所でした。地質学者の方が言っていた言葉も頭をよぎりました。次のようなことです。「現代は奇跡的に海水面が安定している時代であるが故に、沿岸部や埋立地に都市が発達したが、またいつ海水面が変化するかわからない。」 「はじめての上陸」  そこへ初めて足を踏み入れたのは、2019年の夏、とても暑い日でした。現地へ向かうルートはバス一本のみ。トンネルをくぐると、そこは平たく風の強い、トレーラーの走る土地でした。バス停から道なりに進むと、ベットボトルの山、信号のまだない横断歩道、街路樹に盛り上げられたアスファルトが、次々と現れ、ついには歩道も無くなりました。横幅10mほどの広い道の脇には鉄くず、ガラス、廃棄物とともに、生い茂るクズやヨモギ、濃い緑がせめぎあ っていました。 海の森公園と名前のついた丘を登ると、芝生が目の前に広がり、遠くに風力タービンが緩く回っていました。歩いて初めてわかる大地の大きさに、息を切らせて横になると、風にのって草の匂いがします。草の下の大地は、生きている間出し続けたごみであり、この島の一角を自分も作ってしまったのだ、と強烈に実感しました。この島は東京という都市の裏返しでもあると、わかった瞬間でした。
    3,300円
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    「青海三丁目 地先の肖像 1」

    「青海三丁目 地先の肖像 1」 2.5 architects 著・編集・発行 A5サイズ・78ページ・全頁カラーオフセット印刷 私家版、110部限定 2.5 architectsによる、東京湾岸部の最終処分場である巨大な埋立地「青海三丁目地先」をテーマとしたアートプロジェクトの作品集です。 2019~2021年にかけて、現地をリサーチした際の写真と日記による記憶と記録のアーカイブとなっています。この地を訪れたことのない方も、移ろいやすい埋立地の風景を、楽しんでいただけると嬉しいです。 全冊作家2名のサイン入り、ナンバリング入りとなっています。 Introduction. この土地は、最終処分場として都市のゴミを一手に引き受けながら、オリンピックの会場となるはずの場所だった。一刻一刻姿を変えるこの場所で、どのような地霊(ゲニウス・ロキ)を見出すことができるだろうか。 地質学者によると、現代は奇跡的に海水面が安定している時代だという。沿岸部や埋立地に都市が発達したが、またいつ海水面が変化するかわからない。「青海三丁目地先」は、地球規模の視点から見れば刹那的な、しかし人間の視点から見れば多くの年月をかけて作り出した埋立地である。そこは都市の最前線であると同時に、最初に無くなる都市なのかもしれない。 Tokyo Biennale 2020/2021 公式サイト https://tb2020.jp/ https://tb2020.jp/project/the-portrait-of-aomi-3-chome-frontier/ ※ 本プロジェクトは東京ビエンナーレ2020/2021の一環として、セブンイレブン記念財団の助成を受けて制作された作品です。 #デジコン2023
    2,200円
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    ご祝儀袋 / モネの池

    ◆再×3入荷しました、お気に入り100超ありがとうございます◆ モネの池をイメージしたご祝儀袋です。 花々や植物や川の写真を重ね合わせ、幻想的なモネの池の雰囲気を作りました。 水引はパッと目をひくイエローグリーン。ゆったりとした絵画のような柄が華やかなお祝いに寄り添います。 結婚式、出産祝い、入学祝いなどのお祝い事に使えるカジュアルデザイン。 性別を問わずお使いいただけるデザインを目指しました。 サイズ: 約185 x 105 mm 素材:マット紙・両面カラー印刷    中袋、水引、「寿」短冊2枚付 ※「寿」短冊について 1枚は手押し金色スタンプ(かすれ等が出る場合がございますが味としてお楽しみください)、もう1枚はマットなカラー印刷。2枚組でおつけしますのでお好きな方をお使いください。 ※ 無地短冊・御祝短冊(黒文字)をご希望の方はコメント頂けましたら、対応させていただきます。 他作品多数御用意しております。 ↓新作のお知らせ。よろしかったらのぞいて行ってください♪ ・ご祝儀袋 / 夜明 https://minne.com/items/24155259 ・鉱物博物館のレターセット https://minne.com/items/22761945 ・爽やかゼリーとソーダのレトロ喫茶店セット https://minne.com/items/22759618 パステル、御祝儀袋、新緑、自然
    590円
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    「青海三丁目 地先の肖像 2」

    「青海三丁目 地先の肖像 2」 2.5 architects 著・編集・発行 A5サイズ・166ページ・全頁カラー印刷 私家版、110部限定 2.5 architectsによる、東京湾岸部の最終処分場である巨大な埋立地「青海三丁目地先」をテーマとしたアートプロジェクトの作品集です。 「青海三丁目 地先の肖像 1」の続編となっており、2020-2022年にかけて行った活動の記録として、ワークショップや展示、トークイベントなどの記録を中心としながら、引き続き行ってきたフィールドリサーチの記録も収録しています。さまざまな方々とさまざまな形で対話をしながら、埋立地についてのリサーチを深めています。 全冊作家2名のサイン入り、ナンバリング入りとなっています。 Intro. 「プロジェクトの始まり」  東京という都市について考えていた時に、地図の中の海の上に見知らぬ3km四方の土地があることに、そして、この広大な埋立地について、我々はほとんど何も知らないことに気づきました。この場所はかつて「青海三丁目地先」と呼ばれていたところで、今日も刻一刻と埋め立てられ生まれつつある東京のフロンティアでもあり、東京五輪の会場ともなる予定の場所でした。地質学者の方が言っていた言葉も頭をよぎりました。次のようなことです。「現代は奇跡的に海水面が安定している時代であるが故に、沿岸部や埋立地に都市が発達したが、またいつ海水面が変化するかわからない。」 「はじめての上陸」  そこへ初めて足を踏み入れたのは、2019年の夏、とても暑い日でした。現地へ向かうルートはバス一本のみ。トンネルをくぐると、そこは平たく風の強い、トレーラーの走る土地でした。バス停から道なりに進むと、ベットボトルの山、信号のまだない横断歩道、街路樹に盛り上げられたアスファルトが、次々と現れ、ついには歩道も無くなりました。横幅10mほどの広い道の脇には鉄くず、ガラス、廃棄物とともに、生い茂るクズやヨモギ、濃い緑がせめぎあ っていました。 海の森公園と名前のついた丘を登ると、芝生が目の前に広がり、遠くに風力タービンが緩く回っていました。歩いて初めてわかる大地の大きさに、息を切らせて横になると、風にのって草の匂いがします。草の下の大地は、生きている間出し続けたごみであり、この島の一角を自分も作ってしまったのだ、と強烈に実感しました。この島は東京という都市の裏返しでもあると、わかった瞬間でした。
    3,300円
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    「青海三丁目 地先の肖像 1」

    「青海三丁目 地先の肖像 1」 2.5 architects 著・編集・発行 A5サイズ・78ページ・全頁カラーオフセット印刷 私家版、110部限定 2.5 architectsによる、東京湾岸部の最終処分場である巨大な埋立地「青海三丁目地先」をテーマとしたアートプロジェクトの作品集です。 2019~2021年にかけて、現地をリサーチした際の写真と日記による記憶と記録のアーカイブとなっています。この地を訪れたことのない方も、移ろいやすい埋立地の風景を、楽しんでいただけると嬉しいです。 全冊作家2名のサイン入り、ナンバリング入りとなっています。 Introduction. この土地は、最終処分場として都市のゴミを一手に引き受けながら、オリンピックの会場となるはずの場所だった。一刻一刻姿を変えるこの場所で、どのような地霊(ゲニウス・ロキ)を見出すことができるだろうか。 地質学者によると、現代は奇跡的に海水面が安定している時代だという。沿岸部や埋立地に都市が発達したが、またいつ海水面が変化するかわからない。「青海三丁目地先」は、地球規模の視点から見れば刹那的な、しかし人間の視点から見れば多くの年月をかけて作り出した埋立地である。そこは都市の最前線であると同時に、最初に無くなる都市なのかもしれない。 Tokyo Biennale 2020/2021 公式サイト https://tb2020.jp/ https://tb2020.jp/project/the-portrait-of-aomi-3-chome-frontier/ ※ 本プロジェクトは東京ビエンナーレ2020/2021の一環として、セブンイレブン記念財団の助成を受けて制作された作品です。 #デジコン2023
    2,200円
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    ご祝儀袋 / モネの池

    ◆再×3入荷しました、お気に入り100超ありがとうございます◆ モネの池をイメージしたご祝儀袋です。 花々や植物や川の写真を重ね合わせ、幻想的なモネの池の雰囲気を作りました。 水引はパッと目をひくイエローグリーン。ゆったりとした絵画のような柄が華やかなお祝いに寄り添います。 結婚式、出産祝い、入学祝いなどのお祝い事に使えるカジュアルデザイン。 性別を問わずお使いいただけるデザインを目指しました。 サイズ: 約185 x 105 mm 素材:マット紙・両面カラー印刷    中袋、水引、「寿」短冊2枚付 ※「寿」短冊について 1枚は手押し金色スタンプ(かすれ等が出る場合がございますが味としてお楽しみください)、もう1枚はマットなカラー印刷。2枚組でおつけしますのでお好きな方をお使いください。 ※ 無地短冊・御祝短冊(黒文字)をご希望の方はコメント頂けましたら、対応させていただきます。 他作品多数御用意しております。 ↓新作のお知らせ。よろしかったらのぞいて行ってください♪ ・ご祝儀袋 / 夜明 https://minne.com/items/24155259 ・鉱物博物館のレターセット https://minne.com/items/22761945 ・爽やかゼリーとソーダのレトロ喫茶店セット https://minne.com/items/22759618 パステル、御祝儀袋、新緑、自然
    590円
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最近の記事

「青海三丁目地先 リサーチクラブ」のお知らせ

2024年春、演劇カンパニー・ヌトミックと建築家ユニット・2.5 architectsは、東京の埋立地をテーマとした演劇公演/展示作品を発表します。 舞台は、かつて「青海三丁目地先」と呼ばれていたゴミの最終処分場であり、東京湾のど真ん中に浮かぶ3km四方の巨大な人工島。 東京にありながらも私たちの日常から隔たったこの広大な埋立地は、一体どのような場所なのでしょうか? この土地を探り、また様々な視点から読み解くために、「青海三丁目地先 リサーチクラブ」を立ち上げます。 第1

    • 青海三丁目 地先の肖像「観測」

      2021.02.02 | 葛 知人に誘われて、私たちは中銀カプセルタワーの一室を借りることにした。この部屋はデザイナーによって手が入れられた後の部屋で、オリジナルの壁面収納やベッドなどはないが、思ったよりも広さを感じられる、見晴らしの良い部屋である。 ここを臨時のオフィスとして、「青海三丁目 地先の肖像」プロジェクトのことを考えたり、人を招いて見学してもらったりできると思って借りたが、実際のところ何をするでもないけれど、パンデミックで閉じ込められるのであれば、いっそ黒川紀

      • 青海三丁目 地先の肖像「2022年、動き続ける」

        2022.10.04 | 葛 2021年の年末に、初めて知り合ったアーティストたちと夕方から夜にかけての埋立地を巡った。東京ビエンナーレの後、久しぶりに訪れた中央防波堤の夕暮れは美しく、風は思ったよりも優しかった。 それから数ヶ月経った5月下旬、彼らの計画は藤倉麻子さんが主催する物流型展覧会「手前の崖のバンプール」として実現し、私も観覧してきた。Aokidさんが水上タクシーの上で港湾と海の動きなぞり、指し示している。海風が同乗者たちの服をはためかせる音がする。タクシーの中

        • 青海三丁目 地先の肖像「再び開かれる、か」

          2021.09.29 | 森藤 五輪が終わったあとの埋立地に立つ。 夜風は少し温度が下がり、次の季節への変化を感じさせた。 五輪直後だったがすでに景色は変化していた。 いつものようにテレポート側からトンネルを潜って島にはいってきたのだが最初の交差点を左折する際に見通しがよいことに気づく。 内側埋立地と外側埋立地の間に横たわる海水路(ボートとカヌーの大会会場)に面してそびえたっていた白壁が、消失していたのだ。 水が歩道から見えるようになっており、内側と外側を繋ぐ橋も徒歩でも

        「青海三丁目地先 リサーチクラブ」のお知らせ

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        • 青海三丁目 地先の肖像
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        記事

          青海三丁目 地先の肖像「それぞれの記憶」

          2021.07.06 | 森藤 「オランダを思い出す」 平たい土地と、コンテナと、広い道路が広がる外側埋立地で、その人は言った。 その風景がどことなく似ているのだと言う。 まだ都市的マテリアル、ランドマーク、そういったものが少ないこの場所で、コンテナヤードと平たい土地がもうすでに意識の中でどこかに接続する風景であることにはっとした。 私はオランダには訪れたことはないが、埋立地として発展し、大きな港を抱えながら都市とし形成されてきたロッテルダムは、類似した地霊を含んでいるだ

          青海三丁目 地先の肖像「それぞれの記憶」

          青海三丁目 地先の肖像「待ち焦がれた大地」

          2021.06.16 | 葛 緊急事態宣言の期間が延長されてしまった。 事前に環境局から、緊急事態宣言下では、バスツアーはできない可能性が高いとの連絡があったので、もうツアーができなくなる前提で代替案を準備していたところ、急遽「今回は緊急事態宣言下でもできる」との電話が入る。 我々は大慌てで再びバスツアーの準備をし直した。 紆余曲折を経て、ついに、やっと、ずっと入ることのできなかった、中央防波堤外側埋立地の中に、23区のゴミが現在進行形で埋め立てられている場所に、立ち

          青海三丁目 地先の肖像「待ち焦がれた大地」

          青海三丁目 地先の肖像「広大な庭」

          2021.05.30 | 葛 土曜日の昼下がりだったと思う。私たちは、庭師と舞台美術家と品川で落ち合ってから、青海三丁目地先へと向かった。 つい最近も埋立地に行ったばかりだったけれど、強風と雨に翻弄されたあの日とは違って晴れた気持ちの良い日だった。 2人のゲストを迎えての、プライベートな小さなツアー。まず中央防波堤外側埋立地へと向かう。 土日に来るのは初めてだったけれど、コンテナ車など物流トラックで混雑している平日の青海三丁目地先の様子とは、驚くほどに様相が違っていた

          青海三丁目 地先の肖像「広大な庭」

          青海三丁目 地先の肖像「語られること」

          2021.08.21 | 森藤 8月5日から2k540という山手線高架下のスペースで今回の展示が東京ビエンナーレのうちの1つの展示として始まった。 際して書きたいことはいろいろあるのだが、展示場での思いがけない話を記す。 展示会場に在廊すると、様々な方に巡り会える。 埋立地(夢の島)や沿岸部へ個人的体験をされた方が少なからずおり、その様子を聞くのが興味深い。 例えば、服飾の仕事をしていたという男性。沿岸部に事務所が多かったことから、仕事が終わると仕事仲間と海辺、すなわち

          青海三丁目 地先の肖像「語られること」

          青海三丁目 地先の肖像「分身を送り出す」

          2020.08.20 | 森藤 夏に打ち合わせを終えた後、カフェで飲み物を頼むと、ビニールで包まれたお手拭きがついてきた。 封を開けたそれをしばし弄る。 箸の紙袋や紙ナプキン、そういったものを店で食事中についつい折ったり、ねじったり、小さく切り裂いたりしてしまう。私の癖の一つだ。 その日は細長いビニールを中程で縛って、先を切り裂いて、人型が出来上がっていた。 この子はこれからゴミ箱に入った後、私たちがまだ踏み入れられていない中央防波堤外側に旅に出るのか、と思った。 現代の

          青海三丁目 地先の肖像「分身を送り出す」

          青海三丁目 地先の肖像「木はいつか、森となる」

          2020.08.01 | 森藤 夏の初め、出身高校から学校で生徒へ向けて講演をしないか、と声をかけていただいた。 講演自体はキャリアの紹介を基軸にしたものではあったが、取り組んでいて身近なゴミ問題と絡めて青海三丁目地先を紹介することにした。 この頃は、中高生の居場所を作るNPO法人ともワークショップを企画していて、10代にも実感ができる参加の仕方や伝え方を考えていた時期でもあった。 その場所に行けるわけでもない数十分で何ができるのか。 私たちが緊急事態宣言を受けながら制作

          青海三丁目 地先の肖像「木はいつか、森となる」

          青海三丁目 地先の肖像「土壌を煮詰める」

          2021.05.21 | 森藤 梅雨宣言は出ていないもの、憂鬱な空模様が増えた5月の下旬、私たちは再度青海の地先へ降り立っていた。 風は強く、視界の中を髪が跳ね回る。 今回は私の中では目的地があり、数週間待ちに待った上陸だった。 前回の4月の訪問の際、長く広い一本道の脇にふと見つけた桑の木に会いにきたのである。 ちょうど、実が色づく頃だ、と。 その場所に近づくにつれ、ポツポツと降り出した雨は、普段は聞こえるダンプカーの走る音や金属音を飲み込んで、埋立地全体を緩く覆い隠し

          青海三丁目 地先の肖像「土壌を煮詰める」

          青海三丁目 地先の肖像「白壁と夢の島」

          2021.04.22 | 葛 ほぼ半年ぶりに、青海三丁目地先へと向かうこととなった。昼下がりに北品川にて集合し、車を借りて青海へと向かって走らせた。 五輪の準備がいよいよ進んでいるらしく、東京都のウェブサイトには道路の封鎖状況が掲載されている。その内容によると、どうやら中央防波堤内側埋立地のかなりの部分が封鎖されているようで、特に歩道が歩行禁止となっていて、私たちは現地の状況を確認するために、急いで今回の視察を計画した。 いつものように、まず中央合同庁舎へと向かう。最上

          青海三丁目 地先の肖像「白壁と夢の島」

          青海三丁目 地先の肖像「見慣れぬ夜景」

          2020.09.18 | 葛 東京テレポート駅のロータリーにて待ち合わせた。森藤は別プロジェクトの設営が終わってから車で来て、私をピックアップして、2人は春から長らく訪れていない土地へと向かった。 日が暮れてゆく前に上陸したかったけれど、あっという間に日は暮れてしまった。 車で島に入るのはこれが初めて、新しくできたばかりのいくつかの道路、橋、トンネルを通過するのも初めて。 この冒険に私たちは大変ワクワクしていた。 私も森藤も、車で中央防波堤埋立地に行ったのは初めてだ

          青海三丁目 地先の肖像「見慣れぬ夜景」

          青海三丁目 地先の肖像「テスト・ワークショップ」

          2020.08.23 | 葛 とある暑い日の午後、東京ビエンナーレ事務局の方々に市ヶ谷の事務所までご足労いただき、私たちの描き続けた地図を使った、テスト・ワークショップをさせていただいた。 新型コロナウイルスの流行を踏まえて、少人数でできる形でのいくつかのワークショップを計画し、試行させてもらった。ここでは特に、フィールド・ツアーを疑似体験してもらったワークショップと、我々が描いたように、地図を描いてもらったワークショップについて、記したい。 我々は、テーブルに載るサイ

          青海三丁目 地先の肖像「テスト・ワークショップ」

          青海三丁目 地先の肖像「3mの地図」

          2020.07 | 葛 中央防波堤の外側をツアーすることも、人を集めてワークショップをすることもできない今、東京ビエンナーレの開催もどうなるかわからないけれど、我々にできることとしては、とにもかくにも、青海三丁目地先の地図を描いてみることなのではないか、と思った。 思い立ってすぐ1、2日かけてgoogleの衛星写真をひたすらにスクリーンショットした。中央防波堤の外側も含めると膨大な画像の量。今までに描いたことのない広大な3km x 3kmのエリア。まずは中央防波堤内側を、

          青海三丁目 地先の肖像「3mの地図」

          青海三丁目 地先の肖像「岡本信治郎の「銀ヤンマ」と日野啓三の『夢の島』」

          2020.08 | 葛 7月の終わりに差し掛かった頃、再開して間もない東京都現代美術館に「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展を観に滑り込みで訪れた。異様なほどの賑わいを通り抜けて、吹き抜けの大きな気積を堪能しつつ、常設展の方にも足を延ばした。 オラファー・エリアソン展からもいくつか得るものがあったが、埋立地の地図を黙々と描き続けていた私の目に飛び込んできた「銀ヤンマ」に、心を奪われてしまった。 「越中島」といくつかの「埋立地」。蛍光オレンジと蛍光グリーンの明

          青海三丁目 地先の肖像「岡本信治郎の「銀ヤンマ」と日野啓三の『夢の島』」