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トレーニングセッションにおいて重要な「文脈力」

こんにちは、2nd GYMです。

トレーナーの視点から、流れるようなスムーズなトレーニングとして、帰るときにはお互い満足感があって爽快感をともないスッキリと完結するセッションはどんなときかを考えていきます。

飽きさせないこと

トレーニングそのものの流れとしては『初心者でもわかる自重トレーニングの流れ』に簡易なものですが書きました。ウォーミングアップを行ってからメイントレーニングを行い、最後に疲労軽減・回復促進のためのストレッチングでクールダウンという流れが一般的かと思います。

パーソナルトレーニングだと、相手のニーズを汲み取りながらできることが大きく、メイントレーニングの最中にコンディショニング要素を挟んだり、都度瞬間ごとに動作や種目を修正し、改善、強度変更できるというところも強みだと思います。その人の体のバランスや柔軟性、癖だからこそ効果的なアプローチを追求して継続していくと筋力も高まり行う種目や動作はアップデートされていきます。無論、トレーニング実施者は自身の体・動作に集中しなければならず「飽きる」暇がありません。

2nd GYMの会員さまのお話を聞くと、前のジムを辞めた理由は「飽きるから。でもトレーナーさんがほんとに人がいいから辞めるきっかけを作るのが大変だった。」と、トレーナーにとって耳の痛い話を聞きます。

もちろん「力を出し切る」ことで一定の満足感は得られると思いますが、いつもと同じ種目で同じやり方で闇雲にガシガシとトレーニングするだけでは、いい意味で中毒性を得て自走できてしまえば別だしトレーニングはそういうものだと言われたらそれまでですが、目的はわかっていてもほとんどの人はそれだけでは精神的に疲弊し継続できません。

褒めること

間違っていないというのは重要だけれど完全に正しければいいというわけではないし、そこには楽しさがなければ続けられません。実施者にとって必要な身体要素をトレーニングしていく過程で、できる種目もあればできない種目もあります。難易度が高くなるほど、「決まった!」ときの感動は大きくそれが結果として「褒める」行為につながります。

「褒める」というと上から目線で、打算的だと思われるかもしれませんが、トレーニングの現場では重要です。私などはキャラに合わなかったりするのですが、多少大袈裟にでも褒めることが実施者のモチベーションを喚起してくれるものだとわかっています。あまりにわざとらしいのは自分自身苦しいのですが、できないと思っていた動作ができたり、フォームが美しかったりすると自然と感情がこみ上げてつい言葉や表情に出てきてくれるのはありがたいことです。

実施者の立場でも、これが正しいのか、間違っているのか、さらにこの腰の使い方でいいのか、この部位が引きつってる感じがするのは間違っていないのか、かかとに体重が乗ってお尻でバランスをとるこの感覚でいのか...。
このやり方で何パーセントきっちりできているのか、本人はなんとなくその姿勢、動作をつくってはいるものの内在する細かい感覚を顕在化してそれらが間違っていないことを認めてもらうために「褒められる」ことはイメージと実態をつなぎ、納得感とモチベーションアップに役立ちます。

顕在化すること

では何が良かったのか、どう良かったのか、逆に何がうまくできなかったのか。それが簡潔に、細かい解像度で伝わるほどお互いの爽快感や充実感と集中力が高まります。スポーツをしていた人は「フロー状態」として、ランナーズハイのように気持ちと集中力が昂っていくあの感覚に近づきます。

「フロー」というのは、ハンガリー出身の心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱する「集中して何かに取り組み、あっという間に時間が過ぎてしまった」その時の感覚のことで、フローに入ることによって人は充実感や楽しさ、生きることの幸せを感じることができる。としています。フローの特徴として、チクセントミハイは次の7つをあげています。

①高度に集中し、没頭している
②現実離れした忘我の感覚がある
③目標が明確で、何をどうすべきか心得ている
④タスクの難易度が適度で、やれる自信がある
⑤平静な心。心配事がなく、成長を実感できている
⑥時間の感覚を忘れる
⑦活動自体が報酬になる内発的動機が原動力

2nd GYMではインターバル中や種目の合間に「あえて」気持ちを落ち着けてトレーニングには関係のないような談話することも多いです。それは呼吸を整えるだけでなく、焦って適格な次への動作ができなくなることを防ぎ、上のようなフロー状態を無意識に作ろうとしているのかもしれません。

つなげること

トレーナーが指導する内容や毎回のセッションには、クライアントの目的とニーズに沿ってどんな方向性でどこにたどり着くかというロジックを組み立てています。それを一つ一つ紐解いて、前の脈略から相手にわかるようにつなげていくこと、それはすなわち文脈力です。

「わかる」とは、文脈です。限られたトレーニングセッションの時間の中で、実際に動く時間を除いていかに相手の欲望やモヤモヤとした潜在意識を先回りしてキャッチボールができるかが質の高いトレーニングにつながっていくものだと思っています。もはや文脈もなくてもわかり合える関係性が、ひとつの信頼関係であり、そのような関係性をひとつでも多く作っていくことが大事だと考えています。

文脈がつながっていくと、流れが自然になりトレーニングを終えたあとの爽快感やスッキリ感が持続していき、次へのトレーニングのモチベーションになり、またそれを継続することで自ずと結果も人もついてくるんじゃないかなと思っています。

大学時代に論文を作る際に修士の先輩から「流れが大事だよ」と教えてもらったことは、今も役に立っています。

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