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移住して変わった接客の話

インドネシアで店頭に立つようになって半年。
ありがたいことに何度もご来店してくださるお客様も増えた。

そのなかには、日本人のお客様も結構いらっしゃる。
インドネシアとはいえ、在住の日本人の方も決して少なくない。

そんな日本人のお客様とのファーストコンタクトはいつも決まっている。

私「いらっしゃいませ!こんにちは!」
お客様「わっ、日本語上手ですね…あれ?日本人の方?」

ほぼ、9割方このやりとりをしている。
同じアジア圏だから、インドネシアも日本人もそんなに顔変わらないのだと思う。多分。きっと。

さて、ここから本題。
このやりとりをすると、私の顔は笑顔のような苦笑いのような表情になるが、その後お客様とのコミュニケーションすごくとりやすくなる。

接客、あるいは営業を経験したことのある方は分かるかもしれないが、お客様に商品を買ってもらうための第一関門は、お客様との距離を最初にどれだけ縮められるかだと思う。
つまり、会話の「つかみ」の部分が大切という、当たり前といえば当たり前の話なのだけれど。
この「つかみ」の部分を、世の中の接客営業のスペシャリストたちは日夜研究している。

日本で接客をしているとき、私が勤めていた店舗は商業施設の一角にあったので、「今日はお買い物ですか?」とか「今月はいちごの○○という品種が旬で~」といった言葉を駆使してコミュニケーションを取っていた。
それでも、「つかみ」として上手く成立した割合は5~6割。

今、私は9割の日本人のお客様と、楽しくコミュニケーションをとって接客業をすることができている。
「日本人なの?」という切り口から出身地やら現地の話やら店の話やら、正直いくら話しても尽きない。

石油が出ない土地で石油を売ればそれは貴重なものになる。
同様に、日本人の店員が少ない土地で日本人の店員をやれば、当然、珍しいものになる。
なにより、同じ国の仲間という安心感がある(日本にいたときはあまり感じられなかったが、今はとても強く感じる)。
だから、日本人のお客様は店頭に立つ酔狂な日本人店員に、すこしだけ距離を縮めてくれるのだと思う。

ただ海を渡るだけで、自分の接客がこんなに変わるとは思っていなかった。


これ、接客の話だけじゃないと思う。

自分が今いる場所からちょっと動くと、自分の経験やスキルの価値は全然変わる。

前述の石油の話ではないけれど、
自分が当たり前だと思っていることが、他の人からは当たり前ではなかったり。
その場所では「当然できること」でも、他の場所では「当然できることではない」かもしれない。

スキルだけじゃない。
私はただ日本人であるという点だけで、日本にいるときとは異なる価値を見出されている。
言い方悪いけど、その点に関して何か努力したわけではない。
ただ、日本人という自分の個性が強く活かせる場所に移ったというだけだ。

もし、今いる場所が「なにか違う」と感じたら、ちょっと他の場所に行ってみてもいいかもしれない。
その場所にいたままでは分からなかったことが分かるかもしれない。

もっとも、海外に行け、とまでは言わないが
自分が強いマイノリティーで居続けられる場所を探すことは、逃げじゃないだろう。戦略的前進だ。


しかしまあ、いい加減日本人のお客様だけじゃなくて、現地のお客様とも楽しくコミュニケーションをとれるようにしなければ…

でも日本語喋るの楽しいんだよなあ~

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