パラレルワールドの深淵を垣間見た話。

どうしても解決したい問題を抱えた主人公。
過去の世界へ戻れると言われる禁呪を使い、見事問題を解決。
ハッピーエンドを迎えて流れるスタッフロール。
エンディング後、病室で植物状態となった主人公を見下ろし、医者がつぶやく。
「これで何人目だ、禁呪に手を出して廃人になるやつは」

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過去に戻ってやり直す系の話って、
主人公が過去で問題を解決するとその問題自体が発生しなくなるから、
過去に行く動機も生まれないわけで、
その矛盾を解決するために、
戻ってやり直した先は別の世界線なのだ、という説。

この二つ目の世界線が
仮に過去改変を行った時に元の世界から分岐して生まれたものだとすると、
そこには救われた二つ目の世界Bと、救われなかった元の世界Aが残るよね。
ってことには薄々気がついていたんですが。

世界Bが過去改変に際して突然派生したもので、世界Aからは観測できないのであれば、
なんかそれってタイムリープに失敗して廃人になった主人公の妄想と変わりないよね…。

っていうのをお話にすると、最初の段落みたいな感じになるかな、と。

世界Aを救うために過去に旅立った勇者が世界Aに帰ってくることはないので、
最初に別れたチェスターは永遠にクレスを待ってるし、
最初のロウおじいちゃんはもう孫と再会できないんだな…。

みたいな。
ストーリーは主人公目線で進むから、
あまり考えちゃいけない部分なのかもしれませんが。

一応チェスターについては補足があった記憶があって(ソースは忘れた)。
確か、旅立つ時には「マナの枯渇を防いで魔法が使えるようにする」目的で過去に飛んだけど、戻って来てみたら「失われたインデグニションの魔法を復活させる」ために過去に行ったという風に目的がすり替わっていた。
クレスも「あれ、そうだったっけ?」とは思いつつも、大きな違和感はなく話が進むから、もともと世界線が二つあって世界Aのクレスが世界Bに戻り、世界Bのクレスが世界Aに来ていれば、可哀想なチェスターは存在しないことになる。はずだ。

で、たぶんそれってそんな重要な問題じゃないよねってなった時点で、
世界Aと世界Bは統合されるんじゃないでしょうか。

だってそんな無限に増えられちゃ困るだろ。
パラレルワールドはいずれ統合されますってDQの中の人もおっしゃっていたらしいし。

最初からいろんな世界線があって、
過去へ戻るという現象は共通だけど、それぞれの世界の状況に応じて適切な理由が選ばれて、尚且つそれらがぐっちゃになっても大きな齟齬にはならない、みたいな。

でも、このパターンは、ぽんっと過去に飛んで、またぽんっと戻ってくる場合には平和的に解決ができそうだけど、DQ11みたいな帰ってこないパターンは解決できんのよな…。
誰か最初のロウおじいちゃんを助けてあげてほしい。

パラレルワールドが発生せずに上書きされていく場合だと、
最初の問題にぶち当たってしまうしね。
まあ、DQ11に限っていうと、問題はそこじゃない気もするけど。

それから、過去改変といえばセワシくん。
彼本人はのび太くんとしずかちゃんの子孫で、
だけどセワシくんがドラえもんを過去へ連れていかないと、
のび太くんはジャイ子と結婚する未来だからセワシくんは生まれないじゃんよ、っていう矛盾。

これはもしかしたら、ジャイ子の本名が「剛田しずか」だとしたら解決するのかもしれんな、と思った。
名前が被ってて紛らわしいからジャイ子の本名はストーリー上呼ばれないし、
セワシくんが先祖のおばあちゃんの名前は「しずか」だって認識してても嘘じゃない。
まあ戸籍を遡れば別人だってわかるんだろうけど、ひいばあちゃんの旧姓なんて普通知らんよな。

別パターン。
安倍晴明の母親、葛の葉さんが果たして人間だったのか狐だったのかの話。
現代の私たちの認識では、安倍晴明だって人間だから母親も人間だろうけど、
すごい力を持った陰陽師だったからそんな伝説が生まれたんだろうね、って思うところだけど、仮にこれが「平安時代には人間との間に子供を作れる「キツネ」と呼ばれる人外が存在したけどどこかで絶滅した世界線」が存在して、その違いがもう誰にも重要視されなくなったから世界線が統合されたけど、微かな違和感が伝説となって人々の間に浸透している、みたいな結果を残しているとしたら面白いよね。

今私たちが生きている世界も、いくつかの違う過去を持った世界が収束してできている、という考え方。

最初の寸劇に戻るけど、主人公目線で大団円を迎えてからの病室オチより、
次々廃人を生み出す禁呪の謎を解明する捜査官を主人公にした方が面白いかもしれない。
違法な魔術の使用を取り締まる捜査官、どうして使うと廃人確定な禁呪の犠牲者が絶えないのか調査してほしいと言われて、よくよく調べると被害者はみんな問題を抱えていて、過去を変えたいと願っていて、過去に戻れる禁呪の都市伝説に行き着いて。
で、捜査官本人もトラブルに見舞われ、禁呪に手を出すか葛藤する、みたいな。

あ、あと、過去を変えるのは最終手段だけど世界を救うにはこれしかない!みたいな状況で、あとちょっと持ちこたえてくれたら研究が進んで別の手段もある。持ちこたえられるか?的な時に新たな敵が出現して攻撃してくる。しかしそいつらは実は過去改変して救われた世界線の住人で、ここで持ちこたえられてしまうと自分達は死んでしまうから、なんとしてでも過去改変させようと襲ってくる、みたいなのは設定として面白いなって。世界線戦争。もしかしたらもうあるかもしれない。

スパイダーバースの設定から派生した考察的なやつ。
と、その話を思い出しながら一人で追記したやつ。

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