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早期退職募集で会社の体質は好転しない

今増えてきている「早期退職募集」、会社が募集する方ですが、会社はいろいろと良い波及効果を期待して行うみたいですね。
「でもそう上手くはいかないと思うよ」という話を今回はしたいと思います。

「早期退職」に会社が期待すること

まず早期退職によってどういうことが起きるのか考えてみましょう。

①余剰人員を減らして事業収益を上げる
➁空いたポストに若手を投入し、昇進の機会を増やす
③組織全体の若返りを図る
④スキルの高い社員だけを残して、会社を精鋭集団化する

いずれもうまくはいきません。
なぜなのかを説明しますね。

収益性アップは一瞬だけ

①:固定費が減りますから一瞬収益性は向上します。
ですが仕事量は減りませんから残業が増えたり分業体制が維持できなくなり、すぐに生産性が落ちます。
仕組みを工夫することも考えられますが、余剰人員を生むような風土の会社に少ない人員で仕事を回す工夫がすぐにできるとは考えにくいです。
結果として利益率は同じで売り上げが減る、つまり事業が縮小していきます。
リストラとは自分の体を食べて食いつなぐことと同じなのです。

人材活用できなければ昇進もムダ

➁:辞めてもらいたいようなおじさんを上のポストに就けたのは誰でしょうか?
そうした会社は人材の活かし方が上手くありません。
「おじさんより若い人の方が能力があるから、そういう人に上に立ってもらえばよい結果が表れるだろう」というのは全く根拠のない楽天的なファンタジーです。
全てが憶測や決めつけで成り立った期待に過ぎません。
そうした考えの経営層が牛耳る会社ではこの先生き残れないでしょう。
新たに役職に就いた若手も早々に「おじさん化」するのは目に見えています。

若手はおじさん予備軍

③:➁と同じような決めつけですが、これはもはや全ての若い人が優秀であるかのようなヤバい妄想です。
年寄り社長が若手社員に囲まれて嬉しそうに鼻の下を延ばしている写真ってありますよね。
若い衆に囲まれていると元気がもらえるのか、自分も若いと錯覚するのか、とにかく醜悪な絵ヅラです。
単純な説明をしましょう。
おじさん社員もかつては若手でした。
若手をおじさん化させる風土ではいくら若手ばかりにしてもその活力は長続きしません。

優秀なおじさんが消え、若手は成長しない

④:ダメ社員をクビにするならまだしも、早期退職という名の自主退社ではできる方の人から辞めていく可能性が高いです。
特に日本型企業のように「組織の中で育成する」式の環境では、ある程度社歴がある方が仕事ができる可能性が高いのではないでしょうか?
そうした人を現場でうまく使わずに変に昇進させるからせっかくのスキルが生かされないのです。
逆にそうしたスキルが失われ、今までより忙しくなった仕事の中で若手社員は精鋭集団に成長できるでしょうか?

会社の体質を変えるには、まず今いる社員全員を活かし切ることから

経営難からどうしても必要に迫られているなら人員整理も仕方ないでしょう。
ですが経営者にも何らかの責任は問われなければなりません。
もしそこまで追い詰められているのでなければまず今の社員の中でくすぶっている人を最大限に活用することを経営者は考えるべきです。
「不必要な社員はクビにすればいい」と考える経営者には社員がついてきません。

「欧米ではもっとシビアだ」と言う人もいるでしょうが、それは労使関係の中でギブ&テイクがしっかりと確立されているからだと思います。
日本の働き方では経営者も社員も「何を求められ」「どう応えていけば良いか」が不明確ですし、仕事内容も評価メジャーも、何なら経営者の力量すらもあやふやなのです。
ならばまず「ちゃんとやる」ということから始めねばなりませんし、まず企業トップから変わらねばなりません。

安易に社員を減らすなどは下策中の下策であって、やったところでおそらくうまくはいきません。

でも「早期退職」はありがたい?

とか何とか言って、私は早期退職に乗った人間です。
「え?早期退職はダメなんじゃないの?」
それは会社にとっての話。社員側にとってはまた話が違います。

早期退職募集なんかした時点でその会社に人材活用など期待できないかもしれません。
その辺はその会社にいる人なら空気でわかりますよね。
私は会社に見切りを付けました。
自分の人生をムダにはしたくなかったですからね。
それに退職金も割り増しが出るし。

「割り増し分だけでは一生は食えないよ」とか言う人もいましたが、まあ一生会社に飼われる運命の人ですね。
だって一生分お金をくれるなら全員辞めちゃいますよ。
辞める人は辞めれる人だっていうことです。
辞めたいと思っているのなら普段から準備くらいしましょうよ。

というわけで、早期退職募集なんかしてもうまくいかないばかりかムダに経費を使うだけですよ、というお話でした。

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