苦手こそものの上手なれ

私は普段から、自分がうまくいかないと感じることと継続出来ること、の関係性についてよく考える。端的に言えば、得意よりも適度に苦手という認識があるものの方が辞めずに続けられるのではないか、という仮説だ。

常日頃私が行なっている仕事は、他者とのコミュニケーションが前提となっているが、小さな頃から非常に内向的でシャイな性格で、その根本的な部分は今でも変わっていない。一方で、1人で何か1つの事に熱中する傾向が非常に強い子供だった。その部分に関しても基本的には変わっていない。この性質を現在の仕事に当てはめれば、接客に関しては不利、苦手で、酒の知識や技術を身に付ける事に関しては有利、得意となるのかも知れないが、もちろん話はそんなに単純では無い。

私は20歳以降、どこかで意識的に “敢えて自分が元来持っている性質の逆を追求する”ように生きてきた様に思う。そうした方が面白そうだというのもそうだが、人生を壮大な実験の場というように軽く捉えられるようになったのも大きい。

そうして気付くと10年以上続けてきた、また続いてきた今の仕事だが、現在でも他者とのコミュニケーションが苦手という認識があるし、また怖さもある。ただ、そこには常に進歩の可能がある。単純に続ける事が善、だとは思わないし、この先辞めるタイミングが来ればいつでも躊躇なく辞められる自分で居たい、とも思っているが、きっと今の仕事は自分にとって、 “うまくいく事とうまくいかない事のバランス”が丁度良いのだと思う。

よく科学的な学説などで、 “我々人類は〇〇なので、××した方がいい”といった事が語られるが、科学というのはあくまで現時点で出た仮説、であって決してそれが真実とは限らない、という事を忘れずにいたい。冒頭の仮説は、自らの体験と、これからの生き方を通じて “自論”になる。日々それを試していく。

#エッセイ #店主 #得意なことと苦手なこと

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