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映画「鯨のレストラン」を観て

神戸元町商店街にある小さな映画館で、「鯨」をテーマにしたドキュメンタリー映画「鯨のレストラン」を見ました。この映画は2023年11月3日まで限定上映されています。知人に映画の事を教えてもらい、昔、給食などで食べた鯨料理や肝油ドロップの事を思い出し懐かしくなり、この映画を見てみることにしました。さらに知人から鯨についてのいろいろな本やサイトも教わり、鯨についてもっと知りたいと思いました。

この映画は「一之谷」という鯨専門店の大将とその家族、鯨料理を食べる人々、鯨と関わる専門家や団体など、さまざまな視点からの「鯨」にまつわる物語が描かれています。

まず、大将の生き様とご家族との関係が感動的です。大将は鯨料理への情熱と技術がすばらしく、鯨を自在に使いこなしパスタやらーめんなどの麺類にも取り入れています。その料理を食べる映画監督や著述家などのインタビューも興味深いです。彼らは鯨料理のおいしさや意義を語りますが、同時に海外でのいじめや差別の実態も明かします。鯨を食べる文化は日本の伝統であり誇りであるという一方で、世界の批判や圧力に直面するという葛藤があります。

次に、震災の時の避難所生活にもたらされた恵の食としての鯨と捕鯨会社のお話が印象的です。震災で被災した地域には鯨肉が配られ長い列が出来たそうです。このお話はぜひ映画でご覧いただければと思います。

この映画を通して、国際的な規制や反捕鯨団体の妨害、日本の食文化の伝承や資源保護などと捕鯨の関係について深く考えさせられました。その背景には、鯨が持つ環境的な価値や鯨に繁殖力があるという事実があります。映画では、大学の先生方や海外の条約や組織の事務局の方々が語る専門的なデータや情報を知ることができます。

この映画を見て、私は「鯨」を食の面からとらえた時、今の日本を取り巻く社会課題との深いつながりに改めて驚かされました。今後の食料問題という点で考えると、今「昆虫食」や「代替肉」「ビーガン食」等が話題に上る事が多いのですが、鯨は食料問題の対策として検討するべき食材だと思います。

また家庭科の教材としても、鯨というほとんどの子供たちが口にした事がない食材を扱うからこその授業展開が可能かとも思いました。
食糧問題の解決策としての食材の探究などに取り組ませる事で日本の食文化の歴史や栄養価の事、フードロス問題(ほとんど全てが使える事)など多様な面からのアプローチが期待できるからです。
授業だけなく米粉のバンズに鯨の竜田揚げをはさみ、フィリングやソースを各班で考えさせる調理実習なども面白いかもしれません。

この映画は「鯨」に関する知識や感動だけでなく、自分自身や社会と向き合うきっかけを与えてくれます。私はこの映画を見てよかったと思いますし、ぜひ多くの人に見てほしいと思います。この映画は期間限定で上映されていますので、お早めにご覧ください。

映画の公式HPはこちらです。

最後に少しでも鯨について興味をお持ちになっていただけた方は、鯨の栄養や料理等については、こちらのサイトが参考になります。

https://www.kujira-town.jp/know-nutrition/

捕鯨問題などについてはこちらの記事が参考になりました。

https://globe.asahi.com/article/12860012

お読みいただきありがとうございました。(終わり)