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かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう

弱い自分が嫌いで。
虚勢を張る自分が嫌いで。
プライドばかり高くて、負けを認めない自分が嫌いで。
仲間の成功を、心から祝福できない自分が嫌いで。

嫁と古書市に行った。
嫁は、『超人ロック』に興奮していた。
僕は、子供の頃に250円ぐらいで買った『キン肉マン熱闘スペシャル』に5000円の値がついていたことにショックを受けた。

早川義夫さんの本が目についた。

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表紙の女性と犬のいい表情に惹かれて、買った。
嫁は、『超人ロック』が連載されていた古い古い『少年キング』を買うかどうかで、ずーっと迷っていた。
(結局買わなかった)

もちろん僕は、世代的に早川義夫さんのことはあまり知らない。
「ジャックス」という伝説的なバンドのフロントマンだったこと。
その「ジャックス」を若くして解散し、その後は長いこと本屋さんをしていたこと。
そして、結構おじさんになってから、突然本屋さんを辞めてまた歌い出したこと。
僕が知っているのはこれぐらいだ。
曲も、『サルビアの花』ぐらいしか知らない。

僕は、仕事の休憩時間に本を読む。
休憩室で、コーヒーを飲みながら読む。
いつものように、この本を読み出した。

この早川義夫という人は、どうしてこんなに自分の弱さをさらけ出せるんだろう。
どうしてこんなに、かっこつけず、強がりもせず、生のままの自分でいられるんだろう。

涙が出そうになった。
いや、出た。
「今日は花粉がよう飛んでんな」
とか言いながら、涙を拭いた。
事実、花粉症だし。

歌が生まれそうだった。自分の弱さを歌にしたかった。自分の醜さを歌にしたかった。自分のかっこ悪さを歌にしたかった。それしか歌にするものはない。

どうか僕も、何も飾らず、生のままの自分で生きていけますように。


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