コロナ禍での日本の繊維アパレル生産能力

2019年12月頃から、中国武漢より広がりを始めた新型コロナウィルス、2月頃からは日本で感染者が出始め、6月現在では落ち着いてきたものの、まだまだ油断はできない状況下にあります。

東洋経済onlineより
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/


今回のコロナ禍において繊維業界で露呈したものがあります。
それは販売力の低下でもなくマンネリ化した展示会でもなく、
『国内生産力の低下』だと感じました。
その理由として、大まかに下記の2つの要素で国内繊維アパレルが製造されている事にあります。

1.縫製、染色、加工などの製造の大半が中国または東南アジア
2.生地、付属品などの製造が中国生産依存

そして国内の町工場の職人さんの減少として

3.日本の縫製や染色、加工、を請けおう職人不足と高齢化

が上げられます。
ざっくり3つの要因が日本の繊維製品製造の生産能力を落としている原因かと思われます。

このコロナ禍において百貨店も休業し路面店も休業、SS展示会もAW展示会も流れてしまいました。しかし物を作る流れとしては滞ったわけでなく2021年のサンプルなどを生産していたりします。

しかし、材料不足や資材不足で生産できない事や加工できない状況がチラホラ見受けられ中国からの資材待ちなど、中国依存が酷い状況であると感じます。

【1.縫製などの製造が中国または東南アジア】

 この課題については、原価を如何に安価にする為に大手商社を筆頭とし中国を皮切りに東南アジア方面へ(インドネシア・ベトナム・フィリピン・タイなど)生産拠点を移してきました。
 安価で大量に消費する日用品などならこの生産方法は良いと思います。
ですが高級品や、ある程度付加価値のある物まで中国、東アジア方面に生産を依存しすぎ、今まで各地域や原産国で感じられた『Made in ○○』の面白さや味わいが消え、
 価格が低くても高くても真っ平らで面白みのないブランドタグが付いた量産品になってしまっています。
 ものつくりとは、地域の特色や技術、文化、歴史、アイデンティティなどが盛り込まれて面白みのある物ができるとか感じます。

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※繊研新聞より
最新版!【アパレル業界・基礎講座】どこからアパレルを輸入している? 海外生産編2020年03月02日更新


2.生地、付属品などの製造が中国生産依存

 先ほどの1.同様で、安価で大量に作る事を目的とし中国および東南アジアに工場を移し生地や付属を生産し始めました。
 しかしこの過程もただ単価を考えただけの工場移転なので、真っ平らで味わいもない生地や付属、オーダーされた物をオートメーション的に生産するだけの拠点になっています。
 日本製の生地なら『キメが細かい生地ができる』やフランス製の付属レースなら『手あみで風合い豊か』などが見えない面白みのない量産品になっています。
 そしてこのような有事の際は、必要な時に必要なものを安く生産できるシステムであるサプライチェーンは機能しなくなり、生産に遅れや生産不能の状況に陥る結果となっています。


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※繊研新聞より
最新版!【アパレル業界・基礎講座】どこからアパレルを輸入している? 海外生産編2020年03月02日更新


3.日本の縫製や染色、加工、を請け負う人の不足と高齢化

 上記の2つの要因により、日本の繊維産地のものつくりに従事する職人や人間が淘汰され後継者も育てられなく、高齢化が進み、日本のものつくり産業は疲弊し良い物を作りたくても作れない状況になってきています。
 技術衰退をすれば、それまで培ってきた物はなくなり継承されなければノウハウも基礎的な勉強もままならず育たない悲惨な状況です。
 本来、日本は各地でとても良い地域独特のものつくりをしていました。ローカルだからこそ魅力が詰まって、良いものが出来ていたのだと感じます。


【アフターコロナで思うこと】
 コロナ禍において様々な日本の欠点が露呈したと思います。
平時の場合はあまり気にしない事でも有事になった時にその国の弱さが出てくると思います。
 日本は本来『ものつくりの国』であり『資源国家』ではない為、ものつくりをベースに力をつけてきました。
 しかしながら現在は人件費や製造費の削減を理由に中国や東南アジアへの生産がシフトしてしまった為、国内の生産能力は落ち本当に付加価値のあるものも作れなくなってきているのが現状です。
 サプライチェーンを使い各国の安価な国に部品を委託する怖さも露呈しました。その例が『マスク』です。
 中国へ投資している日本の医療企業のマスク生産技術を勝手に使いマスクを製造させ、中国国内のマスクを確保し日本へは『マスク外交』手段として日本企業の技術を逆に使われてしまいました。

このような状況を踏まえアフターコロナは、ローカライズに目を向けるべきだろうと感じます。
確かに安価なものは魅力があるかもしれませんが、全てを海外生産にし国力が低下してしまっては元も子もないと思います。







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