非属の才能

和をもって属さず。群れずにつながれ 『非属の才能』 #150

「自分にはあふれるほどの才能がある!」と思いますか?

わたしはそんな風に思ったことがありません……。人より秀でているものなんてなにもない、と思う。おまけに協調性もないので団体行動が苦手です。

そのおかげか、あまり人と自分を比べて苦しむことはなかったかなと思います。「人と一緒のこと」ができない自分には落ち込んだけど、「集団」の中で立ち位置を考えたり、人の意見に従ったりするよりはひとりでいたいから。

コーチングトレーナーの勉強をしている時は、なぜわたしはそちらを選ぶんだろう?ということを、よく考えました。結局それは、自己不信が原因だなぁということに気がつき、もっと自分への信頼をつくるための行動が必要なんだと分かりました。

ひとりでいることが不安。他人と同じじゃないと不安。逆に、人とつながることが不安。

そんな方は、山田玲司さんの『非属の才能』を読んでみてください。

山田玲司さんは『Bバージン』『ゼブラーマン』などで知られる漫画家です。

漫画家として多くの「才能のカタマリ」のような人たちと会う中で、才能とは何かを探ってきたという山田さん。その結果、「才能は“どこにも属せない感覚”の中にある」という結論に達します。そんな“非属の才能”を持っているのはこんな人です。

・「空気が読めない奴」と言われたことのあるあなた
・まわりから浮いているあなた
・「こんな世の中おかしい」と感じているあなた
・本当は行列なんかに並びたくないと思っているあなた
・のけ者になったことのあるあなた

爆笑問題の太田光、オノ・ヨーコ、よしもとばなな、五味太郎、荒俣宏にさかなクン。

みんな、自分の中の“どこにも属せない感覚”を大切にし、“みんなと同じ”という安心の中に逃げ込まなかった人たちです。

あぁ、クラスにひとりはいそうな変わり者のこと?

変わり者ではありますが、ちょっと違うんですよね。「変わっている部分」が他人に喜びを与えたり、利益をもたらしたりしているかどうか。そこが、得する変人と損する変人の分かれ道だそう。そして損する変人は、さまざまな病を持っていたりするようです。

<損する変人の病>
・自分病1:「私は変わってるんです」病
・自分病2:「自分はいつも正しい」病
・自分病3:「メジャーだからダメ」病
・自分病4:「俺は偉い」病

一方の得する変人の特徴として挙げられているのは、聞き上手なことや押しつけがましくないことです。

彼らは自分の“非属の才能”を、人に分かりやすくエンタメ化して伝える力があるんですね。そんな態度を山田さんはこう呼びます。

和をもって属さず。群れずにつながる。


本には、

・“非属の才能”とは
・持っているのはどんな人?
・自分の中の“非属の才能”を育てるためには

といったことが紹介されています。新書なので薄いし、読みやすいと思います。

この本に出会って、わたしはとても楽になりました。自分の中に“非属の才能”を発見できたから、だったらいいんですけど、そうではなく、ひとりが悪いこととは考えなくなったから。もう少し「つながる」ことに興味を持てるといいなー、くらいにはなれました。

価値観は自分の中に育むもの。それを人に伝える努力は怠らないようにしたい。

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12月5日に開催された牧野圭太さん(@MAKINO1121)主催の「NOVUS」で、牧野さんが影響を受けた本として『非属の才能』が紹介されていました。未読の方の参考になれば幸いです。

ゲストスピーカーの塩谷さん(@ciotan)が挙げていた本はスーザン・ケイン『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』です。


もし、読書があまり苦痛でなく、こうした「自分を認める力をくれる本」を読んでみたいという方におすすめなのはこちら。

・岸見一郎、古賀史健著『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』
・岸見一郎、古賀史健著『幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』
・坪田信貴著『才能の正体』
・長江貴士著『書店員X - 「常識」に殺されない生き方』
・長江貴士著『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんて マジ絶望』

古賀さんの『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』は、いまキラキラの豪華装丁版が出ています。めっちゃほしい。

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