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御用地遺跡 土偶 43:水神ノ杜の椎ノ木

安城市新田町(しんでんちょう) 市杵島姫神社(いちきしまひめじんじゃ)の社頭は南側に位置しており、表参道だけのために境内から延長された敷地に石造大鳥居が設けられていました。

●後頭部結髪土偶

1MAP市杵島姫神社

1新田町 市杵島姫神社大鳥居

大鳥居の形式は両部鳥居で、鳥居に掲げられた社頭額には「市杵島姫社」とある。
三段の石段で上げられた土壇上に石畳の表参道が大鳥居をくぐり、ほぼ真北に向かって一直線に延びている。
大鳥居の奥に見える玉垣までは40mあまり。
玉垣のすぐ奥にはニノ鳥居。
鳥居の奥には社叢を割って瓦屋根が陽光を反射している。

玉垣の手前は一般道が横切っており、車はみんな、その玉垣沿いに駐車している。
小生もその木陰に愛車を入れて表参道に上がった。
表参道は玉垣前の一般道には下る傾斜で降りており、一般道から表参道に上がる場所で1段、玉垣内に上がる場所で2段の石段が設けられている。

2新田町 市杵島姫神社二ノ鳥居

ニノ鳥居は石造明神鳥居で、玉垣内に建てられた旧い社号標には「市杵嶋姫神社」とある。

石段を上がってニノ鳥居をくぐるとすぐ、表参道の右脇に楠の古木が幹を伸ばしていたが、その根が露出し、根と根が絡み合って融合し、すごいことになっていた。

3楠根

その根には白藍色(しらあいいろ)のペンキがぶち撒かれたように地衣類が繁殖しており、幹にはすね毛のようにシシランが繁殖している。
この楠の裏面に回ってみると、以下のような有様になっていた。

3B楠シシラン

陽の当たる側には地衣類、日陰の側にはシシランと明快だ。
これまで様々な楠の古木を見てきたが、こんなに全面にシシランが繁殖している例は初めてだ。

この楠の全景を撮影していると、表参道の反対側の少し離れた場所にも巨木が枝葉を広げており、注連縄が巻かれ、立て札が立っていた。

4夫婦ご神木

何だろうと、その立て札を見に行くと、樹種は「椎の木」で「夫婦ご神木」と命名されていた。
神社ではよく見かけるもので、下記写真のように2本の樹木が融合したものだ。

5夫婦ご神木幹

確かに上記写真の左右の樹木とも椎の木だが、現代では樹種は異なる。
右がスダジイ、左がツブラジイだと思われる。
このスダジイの方の表皮が異形で、以下のようになっていた。

6スダジイ樹皮

これで1本のスダジイの幹である。

頭上を見上げると、下記写真のように枝分かれと言うよりも、幹が分れていた。
その幹の中には平気で90度以上折れ曲がっているものがある。

7スダジイ幹

カーブしているので、折れ曲がっていると言う表現は適切ではないが。
枝も下記写真のように、まだ観ていないのだが、煉󠄁獄千寿郎に突っ込んだ猗窩座の腕のようになっている。

8スダジイ枝

上記写真の幹から奥に延びている細い枝はツブラジイの枝で、表皮の荒さがまるで異なっている。
スダジイは縄文人のための樹木と言っていい側面があるが、『庭木図鑑 植木ペディア』の情報を抜粋すると、以下のように紹介されている。

別名:シイ/ナガジイ/イタジイ

・福島県及び新潟県(佐渡)以西の日本全国に分布するブナ科の常緑広葉樹。一般的にはシイタケがなる木として、または食べられるドングリがなる木として知られ、古代から重要な食糧とされた。

・シイノキという木はなく、関東地方で単にシイノキという場合は本種を指し、関西ではツブラジイを指すのが一般的。沖縄では本種をイタジイと呼ぶ。自生は海辺の山野に多く、屋久島や済州島(韓国)にも見られる。

・スダジイは幹や枝が分岐しやすく、冒頭の画像のようにブロッコリー状の樹形になる。いわゆる「鎮守の森」を形成する代表的な樹種であり、地方では寺社に、都市部では「お屋敷」や学校等に広く植えられる。スダジイが一本あるだけで大きな森があるように見え、アオダイショウなどの住処になっていることもある。

 ・できはじめの実(ドングリ)は、全体がスッポリと殻に包まれており、ドングリそのものは見えない。ドングリは開花から一年半もの月日を経て翌年の秋にようやく熟し、自然に殻が割れて顔を出す。スダジイのドングリは生でも食べられるが、カヤの実のように火で炙ると香味が増して美味しい。

スダジイの「スダ」の由来はシタダミ(巻貝)の「シタ」から転化したものとする説があるが、菅田将暉の「菅田」は芸名であり、「菅田」は通常「すがた・ すげだ・ かんた・ かんだ・すげた」と読むのが一般的だ。

境内の入り口で樹木に圧倒され、少し参道を進むと、右手に檜の林があった。

9ヒノキ林

全ての檜が表参道の方に傾斜している。
これは空間の空いている方に幹を伸ばす習性によるものだが、それなら右側の檜は反対方向に伸びた方が良さそうなものなのだが、総じて表参道の方に向かっている。
ただ、写真右端の一本だけが途中で気づいたらしく、途中から方向修正して、現在は垂直方向に向かっている。
この檜の林は社殿の補修材を育てているのだと思われる。
この檜の林の奥に巨石を組み合わせた塚のようなものがあった。


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スダジイは小生の記事では、以下の3つの記事にも登場しています。

・https://note.com/38rashi/n/ned67621b4f8e
・https://note.com/38rashi/n/n2bbb9d155d3f
・https://note.com/38rashi/n/nd6efcc5ae642

奇怪で派手な外観を持ち、バエる樹木ですが、実用的にはシイタケ栽培の温床と薪にするくらいしか使い道の無い樹木なのです。

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