たべものコンサル日記R5:事業承継 はいつから始めるか?どんな難しい点があるか詳しくていねいに説明します!
■事業承継「準備開始」は、
経営者が何歳になったら 着手すべきか?
関与の経験上ベストは、
●50歳を超えたら構想を練り、
●55歳を超えたら事業承継ロードマップを始めるべき
そうすると数年後には代表者の後見の立場に安心して立てます。
そう!まだまだ相当がんばれる年齢から始めないと、
限界まで経営者を続けると、
●抑え込まれた後継者が育ち、実務能力は生まれても、経営者能力は
育たないことになります。
また、
●後継者が引継ぎするまでの年数が短い場合は、経営者としてのスキルも
未熟な場合が多く、業績の悪化を招くようになりやすいと思います。
私の経験では、
後継者が素直に、まじめにコツコツと努力するタイプであれば、
立派な後継者になるには5年~7年位かかります。(協調型後継者候補)
*55歳から後継者養成に入れば、ゴールは60歳~62歳です。
そして、さらに、
社長の席を譲ってからの新社長態勢を安定させ、
見届けるのに2~5年の時間を要します。
55歳から始めたら完成度100%計算で65歳完結の事業承継ストーリーです。
<事業承継で出会った事案の例>
1,親子の反発
70代の社長と後継のために他社を辞めて帰ってきた長男さん。
世代間の見解の相違でなかなかまとまりません。理解しあえていません。
2,兄弟姉妹間の人間関係がぎくしゃく
兄弟姉妹で、お互いに足の引っ張り合いをしていれば、
誰が代表者になってもうまくゆきません。
社会的地位も名誉も、不動産などの財産も、会社の借金もすべて
利害得失の対象になります。
3,代表者の長期入院による経営離脱
名目上の経営者はいますが、指示命令、結論を出してくれる司令塔は
事実上いないことになります。
4,代表者の急死
後継者の方はある日突然に代表者になるわけです。
覚悟も定かでなく、経営者のコツの受け継ぎもされないまま、
いきなり後継者として社長のイスに座るわけです。
周囲の年長の部下とのコミュニケーションにも悩みますし、
統率の取れない飾りだけの様な代表者にさせられてしまう
こともあります。
また、好き勝手にやって従業員が雇用の不安を覚えることも
中には出てきます。
経営者が55歳を超えたら、
次期経営体制の構想を練って、
完了まで「『10年計画』で進める!
ことが事業承継の勝利の道だとご提案します!
■事業承継の障害となる事柄とは?
1,経営者が高齢化しすぎている会社の問題点
65歳~75歳のゾーンの高齢経営者の方の共通点を列記してみます。
いずれも後継者の方から見ると、重荷が増えることばかりですが実態です。
●旧態依然のビジネスモデルでの経営
昭和~平成と連綿と続いてきた競争が少なく経営しやすかった時代の
ノウハウで会社の仕組みができており、あらゆる点でブラッシュアップ
が必要とされます。
●店舗、社屋が老朽化
新築から30年前後になれば「オンボロ」家屋です。
ぎりぎり黒字の会社が本社を新築して斜陽になった例は、
数多くあります。
なぜなら、本社社屋は「お金を生まない」投資だからです。
1階とかに何らかの生産工場が入れば別です。
●従業員の平均年齢が高い
50歳以上の中高齢者従業員が多く、アナログ的であり、
給与も高く、あらゆる環境の変化を嫌う保守性があります。
一方で、経営者に対する「忠誠心」は意外と高いのです。
●社内の「デジタルノウハウ化」がされていないか又は限定的
一部の部署ではスペシャリストが養成されていても、
成長に不可欠な仕組みや考え方が、未成熟の状態で多く見受けられる
場合が多くあれば、導入や改革に時間もコストがかかります。
ひとつには、現経営者の方がパソコンを駆使されている人かどうかで、
その会社組織がアナログノウハウ型かデジタルノウハウ型かがわかります。
●計数管理能力がぜい弱
経費バランスに対してチェック能力がなく、したがって危機感もない。
試算表が当月末で必要書類を準備に入り税理士さんに提出して、
翌20日~25日で試算表が出来上がることが毎月スムーズにできていない
事例が多いのです。
融資の際には、決算書の2~3期分や、直近の試算表(2か月前、3か月前)は、必ず必要になります。
できていない、作成中の場合は、「低レベル機能の会社」とみられても
仕方ないことになります。
経営の責任感は強くても、「計数管理」は最大の対外信用力なので
しっかり頑張らないといけないことなのです。
2,会社の借金が多い
一般的には、年商に対する負債額(借入金など)の50%あたり迄が
事業承継に際しても、過重な苦労を背負わなくてもいい限度ではないかと
思います。
年商と同額とか、年商の80%の負債額がある会社は、経営者ご自身が
言われるように、銀行の為に売上して、返済している実感に変わります。
これを軽減するためには、
本業の事業の収益性を引上げる改革をする、収益性の良い新事業を新たに
始めるなどの経営改革手段が必要です。
3,事業の将来性が見通せていない
今経営しているすべての事業の「将来性」が”不確実なまま”で、
関係者のだれもが、新しいビジネスモデルへの脱皮を提案出来てなく、
方向性も取るべき手段も見えていない会社の状態です。
多少お金はかかりますが、専門の事業査定機関に依頼して
分析していただく方が良いと思います。
4,小さな事業が多くて事業仕分けが必要
経営者自身や社内の親族から見ると、傘下の事業はいくつかに
分類されます。
●年商も大きく貢献度が大きいが、思い入れは中程度の事業
●思い入れが大きいが、事業規模が小さく捨てがたい事業
●慣習的に経営している一部門ですが、事業規模が小さく可もなく
不可もない事業
●どこかで見切りをつけて、売却するか、事業部ごと独立させて
子会社化したい事業
などです。
事業承継は傘下の事業の仕訳と拾捨選択が必要です
5,融資枠がいっぱい
企業経営にとって、
融資金は事業を前進させるための車にとってガソリンの役目です。
これが融資枠90%とか、100%の場合は、
金融機関信用度ゼロの後継者が個人でいくら頑張っても、追いつかない
問題になります。
事業承継期間の後半数年間は、
経営者と後継者が金融機関担当者とコミュニケーションが取れる間柄
になるようにしておくべきです。
(*事業承継用融資もあります、支援機関も専門会社もあります)
6,社内勤務経験が浅く現場力に弱い
特に「20代社長」が就任されるときは、社内の年長者の人脈が
数年間は「壁になる」ケースがあると思います。
仕事のスキルは長けていても、人間の心の機微や人間関係の構築の
ノウハウはまだ身についていないから、
「人」で苦労することになります。
事業承継は、計画的に代表者、後継者、従業員
税理士、弁護士、金融機関などの
チームで進める最大の重要事業です
(了)
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