今年2024年の私は、あと2月余りで年齢が75歳の後期高齢者になります。世間的には60歳や65歳で定年であり、木の箱の別荘に収まるまでの長い期間を何かしながら過ごすわけです。

私は幸いなことに自営業者です。一時15年間くらいは法人にしていましたが、それすらも仕事のための冠、単なるツールでした。独立自営であるために、ある程度の能力が維持されて、ミッションを完結する強い意志があればいくつまでというリミットはありません。

75歳を前にまた人生で4度目くらいの仕事の増加感を意識しています。

弁当店の経営者は頑張る期間を決めていた

その弁当の会社は大分県の北部の街にあります。税理士さんの紹介で再会した経営者の方と、弁当店の改革と業績向上を行う契約をしました。（もう６～7年前のことです）

こんな狭い場所で毎日300食以上を生産している。本当に悲惨なくらいに不便な製造現場を3000万円かけて弁当工場に変えて、400食、500食、600食と伸ばしました。おせちオードブルも100オーダーを超えるまでに。

リニューアルオープン時に、その経営者の方は、「2年間がんばります」といった言葉を私は「完全黒字になるまでがんばります」と受け取っていました。しかし彼は、オープンから2年半くらいでがんばる気は半減しました。

理由は毎月200万円くらいの赤字が、10万円台～20万円台の赤字に落ち着いたからです。私は、採算分岐点を超えても、銀行返済金や消費税、法定福利費の会社負担分を支払えば赤字になる、キャッシュフロー分岐点売上の水面直下の会社だからこそ、もうひと頑張りして水面に顔を出す＝完全黒字経営を達成するまでがんばりましょうと何度も伝えた。

病気を得て多額の保険金が出た。経営者保険なので収支は黒字化。銀行返済はきちんとできるので、融資は500万円はいつでも出る。1年後には同額でる。まるで銀行は金銭の売人。会社は融資金の麻薬中毒患者。これも反対でした。

この方から経営者であっても、がんばる期間を決める人がいる。お金に苦労しなくなったらがんばる気がないというのを学び解約方向にかじを切った。

ちゃんと聞きちゃんと判断するが１ｍｍも行動しない和食レストランの経営者がいた

この会社とは都合5年間くらい系絵役をしていました。紹介していただいた銀行の支店長さんから「よろしくお願いします」（面倒見てくれ）と頼まれた企業でした。

何ごとにもアクションを起こさない経営者。（唯一メニューの原価計算とメニュー開発と価格改定には熱心でした）銀行融資のたびに、同じような内容の社内改革案（業績向上案）を何度出したでしょうか。最後は銀行さんも見向きもしなくなりました。・・・何も変わらないから毎回同じ改革案を出さざるを得ない会社でした。

この方が苦手なことは、「社内改革」の事案。しくみを変える。従業員の説得や配置の変更、教育などがあります。中には古参の社員さんの解雇もあります。こういうことにはことごとく逃げる体質の方でした。

それでも億単位の年商の会社でしたから、主力店舗の食材原価率が１％、2％下がるたびに、利益は増えてゆきました。

社長から会長になり半年余り過ぎて契約終了。お世話にもなりましたが、銀行融資にも助力した会社でした。この方が最後に言った言葉は、「何で自分は行動ができないのかわからん」と。もう知らん。・・・

経営者の方ごとに、大きな長所と大きな短所があるということを学びました。

ガン細胞にも負けず事業拡大をがんばる焼肉店の経営者がいた

私の長い友人の方です。私のコンサル人生で最も長期にお付き合いしてきた無二の親友ともいえる方です。10数年前にがん細胞を発見して手術。生きるエネルギーに満ちたその方は会社を大きくしました。35年前は1億円にも満たなかった年商は、今は10数店舗で年商は数十億円規模です。

60歳で定年→65歳で定年→70歳で定年→75歳で定年となるのかどうか。ここ数年は元気さもあり、彼の定年は先延ばしです。

この経営者の方は、好きな商売はがんばって当たり前という考えだと思います。仕事の愚痴は45年間一度も聞いたことがありません。先日も「他利＝人のために尽くす」。具体的には、従業員とお客さまのためにがんばり通すという意気込みが強く感じられました。私に「本当にそう思っている」と念を押していました。

社長業が彼の人格を高めたのだと思います。従業員さんもお客さまもあってこそ、今の会社が成り立っているわけですから。そのことを良く自覚されていました。

人の上に立つからこそ人の3倍がんばって当たり前と思う経営者の立場ですが、なかなかがんばって見せる経営者の方は意外と少ない。

それもれっきとした事実です。若い人ほど知っておいて欲しい。

（了）