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インドは危険?日本は安全?「危険」「安全」の定義を再度考えてみる

週末はインドで最大級のお祭りDiwaliの日であった。

ディワリ【Diwali】は、ヒンドゥー教の新年を祝うお祭りだ。光の祭りとも呼ばれており、今日は家の近所でも爆竹が災害級に鳴らされていて、うるさいぐらい。(煙もすごい)

確か、爆竹は大気汚染を抑えるために禁止されたんじゃなかったっけな・・・。メトロの飲食禁止でも思うけど、「禁止」ってどういう意味だったっけ?と、インドにいると思う事が時々ある笑



この週末は知人とご飯を食べに行ってきた。

この知人はインドで5年、以上、その前はシンガポールや他の国にもいた事があり、合計で海外生活20年近くになり、日本に戻る気はなさそうだ。

私もインドに来て知らないうちに10年目になったが、両親が元気な限りは海外で外貨を稼ぎたいと思う。



インドに女性が一人でいると、「え、インド?大丈夫?あんな危ない国で女性一人なんて。。」と聞かれることがある。実は私もインドに来るまではそう思っていた。

私がインドに来たのは2014年だが、その少し前の2012年にインドでは残酷な暴行事件が起こったため、「インドは女性が一人では歩けない国」と言うイメージが刷り込まれた。

どこに住んでいたとしても、危険を避けるための注意は必要である。

インドであれば、
暗い場所は歩かない、
(可能であれば)目的地まで車で移動する、
知らない人からもらった飲み物や食べ物は口にしない、などだろうか。

私は交通費節約の為にメトロで移動しているが、駐在や出張でインドに来る場合は、訓練の行き届いた運転手付きの車で移動し、不用意に外に出ない様にしていれば、まず問題は無いと思われる。

インドは確かにカオスな国で、タクシー代をぼったくられたとか、誤った道を教えられたなど、小さなトラブルは日常茶飯事だ。しかし、白昼から銃を突き付けられたりする様な事はさすがになく、その点からは「安全」と言ってもいいのじゃないかと思う。



最近、日本に一時帰国で戻っていたその知人は、ぼそりと「日本ってさ、コンビニで堂々と成人向けの本を置いてあるじゃない。あれやだよね~」と言う。

そう、日本は「安全」と言われるのだが、どうにもこうにも「性犯罪」と「いたずら」の境界線が甘い様な気がして、女性にとっては必ずしも安全な国じゃない様な気がしている。未だ多くの人が「女性にとって危険な国」と思っているインドと比べても。



ちょっとここで比べてみようと思う。

成人向けの本、コンテンツ

当然インドにもある、と思う笑

自分で探した事がないので、あやふやな記憶ではあるが、少なくとも日本の様に、堂々とコンビニでファッション誌の隣に成人向けの本を置いてある事はない。

本だけではなくデジタルコンテンツも存在するだろうが、日本語のページを見ていると突然出てくる、成人向けの広告は見たことない。(私が注意を払っていない事もあるのかもしれないが。。。)

本当かどうかは分からないが、昔、同僚から「インドでは画像を含めた成人向けの本の出版が禁止」だと聞いた事がある。

だから、官能小説を読んでいたというオチだったのだが笑

さすがにスマホ一人一台の時代になったので、デジタルコンテンツは溢れているのだろうと思うけれども、日本の様に不用意に子供の目に触れる様な状態は許されていない様に思える。



公共交通機関

私はメトロとタクシーしか乗った事がないので、その二つの話になる。

インドのメトロは、厳しい?セキュリテイチェックを通らないと乗車できないが、これも男女別に分かれている。当然、身体検査をする係も男女別である。

また、メトロの一番前の車両は女性専用者になっている。

男性との接触を避けるため(痴漢対策と言うよりは、単純にくっつきたくない)、そして、ニオイ問題もあって、私もよく利用させてもらっている。まあ、ニオイ問題は個人の問題なので、女性専用車に乗ったからと言って完全に避けることはできないが笑

インドのメトロではきっちり男女分けられていて、性犯罪(特に痴漢)が発生しない様に対策がなされている様に思える。男女共用の車両でも、はっきり言って女性が強い笑


また、インドではUberなどのタクシーを気軽に活用できるが(安価なので)、こちらも過去に事件があったらしく、改善策が適用されている。

タクシーを利用中にしばらく同じ場所で動かないと、アプリが「大丈夫?」と聞いてくれる。必要ならアプリのボタンを押して助けを呼ぶ事ができるし、社内にもブザーが設置されており、緊急時にはこれを押して助けを呼べる。

まあ、車が動かないのは多くの場合ガソリンスタンドに寄っているか、渋滞に巻き込まれているかがほとんどなのだが。。。

タクシーの運転手は男性である事が多く、暗くなる程、徒歩やオートを避けてタクシーを利用する女性も増えるだろうと思うので、Uberも対策は講じている。

バスのセキュリティ対策は聞いた事はないので分からない。



病院

治療の為に、女性患者が服を脱ぐ必要があったり、触診が必要な場合に、医者が男性の場合は、必ず女性の看護師が立ち会う事になっている様だ。

私も痔の治療に行った時は、お医者さんは男性だったので診察の時は女性が必ず立ち会っていた。



オフィス、パーティーや飲み会

これが、最も日本のあいまいさが発揮されてしまう場所なのかと思う。

私が働いた事のあるインドの会社では、毎年ハラスメントの研修の受講が必須だった。ハラスメントの研修を受けないと、給与にも反映される会社もあるらしい。(当然減らされる)

ハラスメント委員会が設置されており直通のホットラインやメールアドレスがあり、必要ならば誰でも報告ができる様になっている。

その為なのか、私はインドで仕事の場で(ハラスメントでは)不快な思いをした事はない。みんな気を使っているので、絶対に近づかないし、不用意に触る様な事はしない。

ただし、今の若い子は、挨拶でハグをしたり、肩を組んだり、握手するので、親しい仲であればそのようなふれあいはある。

会社のパーティーも同様で、近しい仲であれば触れる事はあるだろうが、そうじゃなければ、触られることはないし、近づいてすら来ない。



余談だが、インド人は男性同士でも(友情の証で)手をつなぐ。それもがっちりと恋人繋ぎしている事も多い。

これを知らない日本人男性は、インド人男性から突然手を繋がれてものすごいびっくりすることがたまにあるようだ笑

日本人は極端に接触を避ける文化なので、知らなかったら、そりゃ驚くだろうと思うが、その場を想像するとつい笑ってしまう。



一方、日本人が集まる場所、特に飲み会は要注意だ。

なぜかと言うと「下ネタは冗談」「悪意が無ければちょっと触っても大丈夫」さらには「無意識」と、意識の低い人が未だに一定数存在するからだ。そういう人に限って、地位も年齢も高くて注意されにくい事が多いのか、改善が遅い様な気がしている。

過去にも何度かnoteに書いているが、日本人が集まる飲み会の場では、面白くもない下ネタを聞かされる事がある。全然笑えないのでやめてもらいたい。

下ネタ自体を否定するつもりは無いのだが、初対面の人間が集まる場ではふさわしい話題ではない。どうしてもしたければ、親しくて楽しめる者同士だけで話せばいいのに、と思う。



ある知人は、日本から来た上司の危機感が低すぎて叱った事があるそうだ。

それは知人と同僚(インド人男性)と上司(日本人男性)がランチか何かで一緒にいた時のこと。

上司はスマホを同僚に見せながら、知人には(冗談で)「XXさん(知人)には怪しいヤツだから見せられないよ~笑」と言ったらしい。

それは単なる冗談で、仕事関係の書類かメールを見せただけだったらしいのだが、この上司は後でこっそり・きっちり釘を刺された笑

知人(つまり上司も同僚も)は某大企業に勤めているので、従業員の言動、特にハラスメントになりえる事には非常に厳しい。今回はインド人の同僚は何もしなかったらしいが、もしホットラインなどに報告されでもしていたら、上司は悪くすればクビが飛んだかもしれないのだ。

え・・・そんな事で?

と、思うかもしれないが、海外ではそれぐらい厳しく線引きがされている。「これくらい」と思っているうちは、まだ遅れているのだろうと思う。

ダメなものはダメなのだ。



日本のニュースやSNSを見ていて残念に思うのは、痴漢や盗撮や覗きを、犯罪と認識されず「これくらい」「ちょっとしたいたずら」と思う風潮がまだ残っていて、たとえ逮捕されても非常に軽い罰で終わってしまう事だ。

そして、それが子供が目にするようなアニメや漫画にも反映されていて、子供達は「これはちょっとしたいたずらなんだ」と誤った認識を持ってしまいそうな気がしている。

成人向けのコンテンツとそれ以外のコンテンツの線引きも甘く、知らない間に子供に望ましくないコンテンツを見せてしまっている様で心配になる。

「じゃあインドはどうなの?」と聞かれたら、確かに改善の余地はまだあると思う。

未成年が被害者で残酷な事件も多くある。それでも、一定数の人間は良識あると思うし、社会も女性を守るための法律やシステムを整備しようと努力しているのが見て取れる。

何より女性が強い。黙っていない。

「世界で最も安全な国、日本」は本当に安全かな?と、時々考えてしまうのだ。

(注:あくまで私の経験を述べているので、当てはまらない場合もあるかもしれませんので、そこはご注意下さい。)


過去の経験を書いたnoteはこちら



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