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クリスマスにほしいもの

山崎まどかさんの『乙女日和』という著書には、1年を、乙女として味わい愉しみ尽くす術がすべて書かれていたので、乙女として、実践し記録していこうと思います。
(この本に出会ってから、年中暇なしになってしまいました)

さて、『乙女日和』のクリスマスの頁を開くと、クリスマスに欲しいものが箇条書きにされていました。
一般人のリストとは全く別次元の、乙女による欲しいものリストに、私は驚愕しました。

ここでは、乙女をしっかり特別化するために、一般人と乙女とを線引して書かせていただきます。

まず、一般人のリストとはどういうものか。
一般人による所謂ウィッシュリストの具体例は、インスタグラムやYouTubeで見られます。
一般人が書くゆえの、実に現実的な箇条書きになっています。
ウィッシュリストに関しては3キロ痩せるだとか、なるべく湯船に浸かるとか、貯金をいくらするだとか……他人に公開するよりも、たった今その項目に向かって何か行動したほうが良いのにな、なんて内心思えてしまうことの箇条書きです。
地続きの欲しいものリストも然り。
こちらも各SNSや、アマゾンや楽天ルームなどで欲しいものを公開している一般人も多くいらっしゃいます。
化粧品や装飾品の場合はまだしも、生活感丸出しの掃除用具なんかを「欲しい!」と公開する様にどことなく漂うさもしさは、見て見ぬふりできるものではありません。

では、乙女による欲しいものリストとはどんなものか。それは現実とファンタジーを織り交ぜた、しっかりと欲張りな、真の欲しいものリストのこと。
一般人が書き出していたのは、購入するものリスト。単なる買い物メモです。
それなら、わざわざリスト化せずに個人的にメモしておけばいいだけなので、それを書き出しましてや公開するのは、全く持って意味がなくつまらないと思うのです。

リスト化して、”欲しいもの”とするのなら、思いっきり欲張って心から欲しいものに手を伸ばすのが、乙女。

そこに遠慮やリアリティはないのです。
クリスマスなんてファンタジーの最中においてなら、なおさらに。
物欲は生命力に直結しているので、乙女が強いのも、それ故なのかもしれません。

例えば、『乙女日和』のクリスマスに欲しいもの
のリストは、みすず書房のブロンテ姉妹全集から始まり、黒い仔猫で終わります。
シルクの靴下、アラジンのストーブ、天体望遠鏡、と現実的寄りなものも勿論ありつつ、更にアンディー・ウォーホールが描いた靴、ハートの女王が作ったパイ、秘密の花園、デヴィッド・ニーヴンのエスコート、完璧な冬の虹、ニューヨークのカフェ・サバスキーにある黄色いソファ……と、非現実的でファンタジーな欲しいものを織り交ぜた完璧さ。

これはほんの一部で、他にもかなり欲張りに、これでもかと書き上げてありました。

これを見て、自分はなんてつまらない人間だったのだろう、と思い至り、クリスマスに欲しいものを、ここいらでちゃんと書きました。
ちゃんと、です。
クリスマスに祈るべきものを、ちゃんとです。

そもそもクリスマスプレゼントに直結しているサンタ自体が、概念としてスーパーミラクルファンタジーなのだから、あまりにも現実的なものをくれというのも逆に失礼だと思ったのです。
そんなの、自分で買えば良いんですから。

そして私も、凝り固まった脳みそをホットココアでやわやわにしながら、真の、クリスマスに欲しいものリストを書きました。

現実的なトムフォードのロストチェリーに始まり、オズの魔法使いのドロシーが履いていた靴、魔法のランプ、ギリシャへの航空券(往復ファーストクラス)、白馬、五条悟のエスコート……と筆が止まりませんでした。
そしてこのワクワクと楽しさといったら!
枠を外したところにある欲しいものも全て、欲しいは欲しいでいいんだよとキラキラの光で照らしてあげてこそのクリスマスです。
それが実際に手に入るのかどうかは、この際、このワクワクと比べたらどっちでもいいことなのかも。
それに、手に入らない可能性はゼロではないでしょう?という魔法の可能性を1ヶ月もしくはそれ以上の期間、街や、テレビやラジオ、あらゆる画面の中でクリスマスというきらめきが十分に教えてくれます。

究極、想像力を使えば何でもできますからね。
想像力は、乙女が最も秀でた強みなので。