せみころん

散文的な何かを置きます。主に評論や思考の断片など。創作はpixiv、プログラミングや数…

せみころん

散文的な何かを置きます。主に評論や思考の断片など。創作はpixiv、プログラミングや数式が必要なのはqiitaで。

マガジン

  • いいたい放題

    世間の話題にいっちょかみ

最近の記事

日本円は安全なのか?

最近円安が進んでいて、「円って暴落したりしない?」って気になるので、基礎情報をまとめました。なお、私見としては円の信認は保てるが円安は相当期間続くと思います。1ドル180円に備えよ! 観点1:ストックに関連する数字 <対外資産> 日本は高度成長時代の遺産があり、400兆円相当を対外純資産として保有し、30年以上連続で世界一の対外純資産国です。さらに、この資産自体が大量の運用益を生み続けています。この事実は円を信認する材料になります。 <円発行量> 日本政府が発行した国債

    • BitFlyerのBTC送金手数料が高いのでウォレットアプリUnstoppableを導入しました

      わたしは BitFlyer にビットコインを持っています。ときおりBTCを支払いに利用するのですが、その際の送金手数料がべらぼうに高いことが不満でした。そこで iOS/Android 上で動作する Unstoppable というアプリでウォレットを作ったところ、送金手数料を10円程度にまで下げることができました。 何が問題だったか?BitFlyerはセキュリティもばっちりでBTC/JPYの交換レートも悪くないのだけれど、ウォレットとして使うにはあまりに使い勝手が悪いのです。

      • 眠り姫問題まとめ

        眠り姫問題 について交通整理 なぜ1/3で決着とならないのか?コイントスを3000回やると大体質問は4500回されることになる。姫が「コインは表」と回答すると正解となるのは1500回だから正答率は1500/4500=1/3となる。同様に「コインは裏」の正答率は2/3となる。以上をもってコインが表だった確率は1/3であると決着してはいけないのだろうか? たしかに上記のような検証手順を受け入れるならば、コインが表だった確率は1/3となろう。しかしその検証手順自体を拒否しうる立

        • 『ナイン・ストーリーズ』と9つの感想

          J.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』を読んだ感想を書きます。レビューではないので、未読の人には全く意味が分からないと思います。ご了承ください。 バナナフィッシュ日和 シビルは純粋無垢な子供ではない。嫉妬もするし考えなしで媚びをうる。ミュリエル夫人はシーモアをそれほど真剣にみないで旅行を楽しむばかり。ビーチは享楽的・世俗的で戦争の面影をみつけることさえできない。一方、シーモアは過ぎ去った戦争に捕らわれ傷ついたまま、世界から疎外されている。きっと彼は六人を殺したのだろう

        日本円は安全なのか?

        マガジン

        • いいたい放題
          5本

        記事

          処理水海洋放出とケーキ分割問題

          福島原発の処理水を放出したいという政府の思惑があるようだ。有識者は安全性を強調するのだが風評被害を懸念する人も多いし、本当に安全だと断言できるかに疑念をもつひともいる。 「実は危険物質が含まれているのではないか?」という疑念を払しょくする方法は実はカンタンだ。つまり、処理水を東京湾に放出するだけでよい。 もし仮に処理水に危険物質が含まれており、そのことを知っているならば、東京電力も東京都も政府も絶対に東京湾に放出するという決定はしないはず。もし仮に処理水に危険物質を含む可

          処理水海洋放出とケーキ分割問題

          『フラニーとズーイ』考察

          先日サリンジャー『フラニーとズーイ』を読んで大変感銘をうけ、何度かよみなおしていくうちにいくつか考察じみたものをしはじめましたので公開します。読んで1週間で3周程度して、村上訳で読み、気になったところだけ原文をちら見しました。テキストをそのまま読んだ考察です。他作との関連やサリンジャー自身の状況は一切勘案していませんし、それは私にはできません。考察は『ズーイ』の方に偏っています。 ■ペンキと光がしめすもの 「部屋の壁を塗り替える」は「精神的危機を乗り越える」ことの隠喩となっ

          『フラニーとズーイ』考察

          永井先生の独我論

          永井均『<子ども>のための哲学』を読んで彼の独我論がそれなりに私の興味を引いたのでメモを残しておくのもよいかと思ってこの記事を書きました。本来なら私なりの批評や感想等を加えるべきなのでしょうが、それはこれっぽっちも含まれていません。悪しからず。ただ、理解度の確認のため自分の言葉で書きなおしているので間違えたことを言っているかもしれません。 Step0. 認識論的独我論アリス「私だけが存在するの。他人とか太陽とかそういった諸々の物事は私の心の中にしか存在しないのよ。いわゆる認

          永井先生の独我論

          踏ん張るちから

          ノースフェースと石油業界がバトルというギズモードの記事が面白い。 「石油関連会社からのノベルティ作成依頼を、アウトドアブランドが依頼主の環境破壊を理由に拒絶したのだが、石油関連団体は意趣返しとして、石油由来の化繊の顧客であることを理由にアウトドアブランドを表彰した」というニュースに対し、メディアは、そのような現状を石油業界の長年のロビー活動の結果だと啓蒙する。入れ子になったポジショントーク。 化繊を使えば地球温暖化の観点からいい顔をされないし、毛皮を使えば動物権利の観点か

          踏ん張るちから

          性質に名前をつける

          言語の主要な役割は、記号列と世界の間の対応関係を定めることといえる。「太陽は赤い」や「太陽は青い」という文は、実在する太陽の色についての事実命題と対応関係にある。この命題が成立する時には真であるといい、成立しない時には偽であるという。したがって「太陽は赤い」は真な文で、「太陽は青い」は偽な文である。このような真偽の判断ができる前提として、文と命題の対応関係が了解されている。 さて、文を飽和した表現とみなすなら、不飽和な表現というのもある。例えば「Xは水に浮く」という表現は、

          性質に名前をつける

          共通テスト 数学IAを解いてみて

          センター試験の名称が変わり共通テストになったということで、暇だったこともあり数学IAをガチで解いてみました。昔受験した時は2回に1回は100点を取れていた記憶があるのですが、今回は70点しかとれませんでした…… 量が多い昔受験した時(十数年も前ですが……)も思っていたのですが、難しいというより量が多いです。70分で解くにはかなりボリュームがあり、最後までたどり着きませんでした。余弦定理と条件付き確率の公式を忘れてその場で導出するという無意味な時間を取られたのが痛かったです。

          共通テスト 数学IAを解いてみて

          クレタ人と不完全性定理

          世の中正直者と嘘つきしかいないとしよう。そしてアテネ人は正直者でクレタ人は嘘つきであるとしよう。さて「私はアテネ人でない」という人がいた場合、彼は正直者であるがアテネ人ではない。同様に「私はクレタ人だ」という人がいた場合、彼女は嘘つきであるがクレタ人ではない。 ある発言には、1.正直者の発言である2.うそつきの発言である3.アテネ人の発言である4.クレタ人の発言である という4つの性質の成立・非成立を議論できる。明らかなように(1と2)および(3と4)はそれぞれ同時に成立し

          クレタ人と不完全性定理

          KKPokerにBTC入金してみた

          スマホやタブレットでできるリアルマネー・オンラインポーカーのアプリに「KKPoker」というのがあります。ビットコインが余ってたので、入金してみた時の体験を共有します。同じような人に参考になれば幸いです。 手順1:Web上でアカウント作成KKPokerには、クラブという単位があり、プレイヤはどこか一つに加入する必要があります。「ひゃっほう」さんという有名な日本人プレイヤの作成したクラブは、無料でのトーナメントを頻繁に開くなど特典が多いらしいです。彼のTwitterやNote

          KKPokerにBTC入金してみた

          とことんモンティホール

          モンティホール問題を定期的に考えているのでまとめ 基本解 モンティホール問題は、上の決定木(英語版Wikipediaより抜粋)がわかりやすい。挑戦者が選択を変更すると67%の確率で車を当てることができる(注:挑戦者が選ぶドアをDoor1と名付けている) 懐疑への論駁上記解法とは別の論証を使って誤った解を主張する人に論駁してみよう。 「Door1と残ったドアのどちらかに入っているのだから50%:50%じゃないの?だったら選択変更してもしなくてもよいのでは?」 「あなた

          とことんモンティホール

          ラクダ相続問題を完全解剖

          有名で面白い寓話があります。 数理的な部分に絞って記述するとこんな感じです。 【問題】 父の遺産はラクダ17頭。三人の息子がそれぞれ1/2, 1/3, 1/9を受け取る権利がある。どう分配する? 【回答】 17は中途半端なので1頭隣人から借りてきて18頭にして 遺言どおり9頭,6頭,2頭をそれぞれが相続。残りの1頭は借りた隣人に返却してめでたし。 寓話の詳細はGoogleで「ラクダ 遺言 分配」で検索するとよいです。この記事では数理的、論理的に何がどうなっているのかを検討

          ラクダ相続問題を完全解剖

          ドコモ口座不正出金に思う

          ドコモ口座経由で地銀の口座から不正に預金が引き出されるという現在進行形のセキュリティインシデントがある: 事件の全貌はこれから明らかになるであろうが、上記の記事をみるに、ドコモ口座の開設の基準の緩さと地銀のオンライン認証システムの緩さの組み合わせが攻撃成功の要因と考えてよさそうだ。 現代社会のシステムはもはやそれ単体で機能を発揮するものではなく、相互のシステムの連携が必要不可欠なものとなっている。各システムはそれぞれの前提に基づいて設計されているが、各システム間でその前提

          ドコモ口座不正出金に思う

          レジ袋の大きさを誰が選ぶか?

          レジ袋が有料化され業務フローが変わった。これまでは店員がレジ袋配布の決定権を握っていた。無料だったから。今ではその決定権は客にある。有料だから。 慣れない客は 店員に決定権を委ねる。曰く「商品が収納できるサイズの袋を下さい」。これは従来の業務フローの再現ではない。なぜなら店員の選択で客の金銭負担が変わるから。店員が適切でない選択をした場合、客は過失とみなす恐れもありトラブルとになりうる。まとめブログで話題になった: この不幸なやり取りに暗澹たる思いがする。客も店員も不幸に

          レジ袋の大きさを誰が選ぶか?