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YETTO & カンノアキオ「good driver -Summer Damn’23-」を野暮ったいくらい言葉を尽くして説明①

ラッパーのYETTO君とのコラボ楽曲「good driver -Summer Damn’23-」が2023年8月29日より配信リリース、31日から告知を開始しました。


この楽曲のリリースに際し、ニュースサイト・indiegrabさんで詳細が掲載されていますので、是非ご覧ください。


で、この楽曲に関してはどうしても自分自身の言葉でいろいろ語りたい、というか言葉でこの曲を埋め尽くしたい(私のラップがそうであったように)思いがあり、ここではタイトル通り、私の目線で「野暮ったいくらい言葉を尽くして説明」したいと思います。てなわけで久々のnote更新でございます。お付き合いください。

そもそもこの「good driver」という楽曲プロジェクトは、YETTO君とMONJU N CHIEやmizunotabibitoで活躍するラッパー・KTY君のコラボレーション作品で、2020年から21年にかけてコロナ禍の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を政府や東京都が要請したタイミングで毎回リリックを変えてリリースしていました。それらをまとめたアルバムもリリースしています。

コロナ禍以前からデリバリー業を行っていた私からすると、このプロジェクトはすごく羨ましかった。そして「やられた~」とも思いました。あと「俺もやりて~」って思っていました。政府の要請がコロコロ出るたびに新曲がリリースできる仕組みは発明ですし、「皮肉が利いてるな~」とも思いました。国の状況は悪化の一途であればあるほど、自分たちの楽曲はリリースできるという仕組みは今もすごいなと思っています。

で、時は経ち、今年の7月半ば。YETTO君から「サブワークとしてデリバリーを再開したんですが、いろいろ最悪なのでgood driverでラップしませんか?」とのお誘いが。やったー!やった、やったー!!やりたかったー!っていうわけで速攻で「やる!やる!」と返答して「good driver」の2023年夏バージョンをやることになりました。今から考えると7月半ばにお誘いがあって、8月末までにはリリースできてるから、めちゃくちゃハイスピードでしたね。

このお誘いがあった途端に「絶対ロングバースでやる」と決めていました。そのときYETTO君には「おそらくロングバースになっちゃうかも~(苦笑)」と半分冗談っぽく返答したんですが、ちゃんとガチガチのロングバースを送りつけてやりました…(ごめんね!)

で、なんでロングバースをやろうと思ったか。サブスクで音楽が聴かれる前提でラッパー2人の楽曲を作ろうとすると「イントロ→ラッパーA16小節→サビ→ラッパーB16小節→サビ→アウトロ」が妥当かなと思います。おそらく3分もないでしょう。ラストにサビを繰り返して3分尺の楽曲にする手もあります。どっちにしろ聴きやすいかたちにはなるかと思います。で、そうしたくなかったんですよね。

この曲は労働賛歌ではありません。労働哀歌です。いや、労働愚痴歌かもしれません。YETTO君が出だしで「これは労働(Road)サイドのRoad(労働)ブルース」と歌っていますが、労働のブルースです。労働についてのブルースが「聴きやすくてどうする?」っていうことなんです。「サブスクサイズに合わせてやるもんか」って秒で思いました。この曲は聴き心地が悪くてナンボなんです。「ちゃんと言葉で汚してやる」という思いが沸き立ち、トラックをもらった途端に16小節書いていました。そこからYETTO君のイメージの擦り合わせを行い、今回録音した64小節というロングバースになりました。ちなみに32小節は書き直してるので、約100小節はこの曲は書きましたね。しかもそれが1週間以内で。溜まっていたんだなぁ…。

これはただの愚痴なんですけど、Uberの配達金額がほぼ一律で300円なんですよ。それでどう生活しろって言うんですか。無理無理無理無理~。それでWoltは昨年秋ごろから配達金額が半減したんですよ。いやいやいやいや~。これで私は本当に生活がヤバくなりました。で、今もヤバいです。せっかくの場なので言いますけど、もう私を土日に誘わないでくれて結構ですからね。週末は稼ぎ時なんで。文字通り「自転車操業」なんですが、毎日毎日働かなくてはならない。で、全然稼げない。稼げなくなった。そりゃ100小節書けるっつーの。

話を楽曲に戻します。私が64小節書いてしまったので「構成をどうするか?」っていう話になるんですが、これは不思議とYETTO君と私で意見が一致しました。「最後にサビで綺麗に終わらせるんじゃなくて、YETTO君の言葉で終わろう」と。それで構成は「イントロ→YETTO16小節→サビ→カンノ64小節→サビ→YETTO16小節→アウトロ」という流れになりました。計5:22のラップ楽曲って今はそんなにないと思います。サビがキャッチーなメロディなので、むしろそれで終わらせないでYETTO君の「夏のおかしさがたくさん人を殺す」という強烈な言葉で締めくくることが、この楽曲の労働哀歌、労働愚痴歌っぷりなのだと思います。っていうか"締めくくらない"っていうことなんです。

だって配達やってると、1日に救急車や消防車やパトカーのサイレンを10回以上は聞くんですよ。で、昼過ぎとかになると本当に暑さで死にそうになるんですから。あと今年の夏はなんだかメンタルに響いてしまうニュースも多かったんですよね。正直、身も心も結構持ってかれてたんですよ。そんななかで飯を持ってこさせる客がインターフォンから出ないこともあるんですよ。何度もマンションのエントランスの番号を押しても出ない。電話かけてもつながらない。で、待ってたら外歩ている奴が「あ、僕です」とか言って謝る素振りもなく商品を受け取ろうとする(また愚痴です)。

小さいことかもしれませんが、こういうことから「自己責任論が行き過ぎた結果、もう他人に興味を失った世界だな~」っていつも思うんです。もうなにもかもがどうでもいい。いろんなことがそうなったと思うんですよ。飯は食いたいけど、その奥行きのところはどうだっていいんですから。その「食いたい」と思ってる気がしてる飯も本当はどうでもいいかもしれないし。だってマックとかだもん。

こういうディスコミュニケーションを喰らっているときに「どうでもいいんだな」と思われている屈辱と、「どうでもいいんだな」と思われて安堵する変な気分が押し寄せます。お店の人と客とのコミュニケーションは丸1日働いたところで約2~3分ですからね。基本的に「ウーバーです」だけですから。このディスコミュニケーションのお陰で、極力会話をしたくない私も働けている恩恵があります。で、このディスコミュニケーションによってお店の人も客も配達員もそれぞれが「どうでもいい」ことになるんです。

約3000字書きました。しかも今後、私のラップ部分の具体的な説明を行うつもりなので、まだまだこの文章は更新していきます。それくらいこの楽曲は聴いてほしいし、野暮ったいほど言葉を尽くしたいし、私はこれを読んでいるあなたとコミュニケーションが取りたいのです。聴き心地が悪い曲を作り、読み心地が悪い文章を書く理由はそれだけなんです。なにもかもがどうでもいいから通り過ぎてしまうなかで、「通り過ぎたくない」という思いを感じ取ってほしい。そんなエゴを出したかったのです。

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