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【カンノ音文】ノーナリーブスと「邦ロック」に括られるということ②

①は下記リンクから。

この2000年代の邦ロックを考えるときに大事だと思うのは、「邦ロックバンドのフロントマンはボーカル&ギターでなければならない」という変な先入観があったことです。たまにMONGOL800やLOST IN TIMEのようなボーカル&ベースというフロントマンのバンドもいましたが、基本はボーカル&ギター。前回記した邦ロックバンドのフロントマンはすべてボーカル&ギターを担当しています。そしてもう一つ大事なことは「フロントマンがボーカルのみのバンドはなんかナメられていた」ということです。これはあくまで僕の実感です。というか正直に言うと、僕がナメてました。「バンドなのにフロントマンがボーカルだけかよ。ギターも弾けよ!」って思ってました。中学生のときは特に。ひどいもんですね。ただ、年代が近い友達にこの話をすると「俺もナメてたわ」という意見をもらうことが多いです。なので2000年代を思春期として過ごした身からすると、「邦ロックバンドたるもの、3~5人組でフロントマンは原則ギターのような楽器を持っていなければならない!」という強迫観念めいたものがついて回っていたように思うのです。

また、「邦ロックたるもの『僕と君』の関係性について、少し遠回りに真剣に歌え!」という教えもありました。これは僕からするとASIAN KUNG-FU GENERATIONが邦ロックキッズ信者たちに教え込んだ戒律のようなものな気がします。アジカンの1stアルバム『君繋ファイブエム』がその教科書みたいな内容で、そもそもタイトル自体が「君と繋がる距離が5M(5メートル)」という遠回しの言い方ですからね。

日本語の婉曲表現で「僕」という一人称で「君」という二人称との距離感について歌うこと、3~5人組のギター・ベース・ドラム、たまにキーボードがいても可だが、それ以上はダメであるという縛り、ボーカルは原則ギターのような楽器を持っていなければならない、というのが邦ロックバンドたるべき姿なのだと思います。誰かにそう教わりました。同世代の音楽好きもそうだと思います。こういうバンドを2000年代の邦ロックキッズたちは聴き漁っていたと思います。逆に言うと、この手のものしか聴いてなかったんですよね。で、ノーナはここにまったく当てはまらなかったバンドだと思うんです。

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