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俺も鎌倉に駆けつけたい

一年間、毎週日曜が楽しみでした、という話。

いやー、すごかったですね。

何がって「鎌倉殿の13人」の最新回。

正直、あまりにも劇的な実朝暗殺事件の後は個人的にはトーンダウンしてて、承久の乱に至るまでのストーリーも史実をなぞるような形であったし、このまま型通りの承久の乱、その前後での義時、泰時の和解、見守る政子、という感じでいくのかな、と思っていましたが・・・良い意味で裏切られました。もうね、義時の涙をみるまでもなく、こちらも大泣き。

いままで、この大河では、源氏一族や御家人たちの非業の最期が、三谷幸喜さん一流の脚本術で巧妙かつスリリングに展開されてきました。主要キャラがバタバタ死んでいく展開は、もちろん史実そのものが仁義なきヤクザバトルというのもあるけど、三谷氏のストーリー運びの妙に牽引されて、今までの大河に物足りなさを感じがちだった層にもウケていた、というのがあると思います。

それは結果として最適な行動をとり続けた史実上の勝者であり、かつ世間的なキャラクターイメージもついてこなかった主人公・義時が、多少の矛盾があろうと便利に場を掻き回せることで、より拍車がかかっていたと思います(めちゃくちゃ色がついてる上に常にオチを意識される明智光秀はその点ですごく難しいと思います)

しかし承久の乱序章とも言うべき今回は、まさに主人公義時が名指しで朝敵となった、いままで主人公でありながら「ターゲットとなった誰か」の傍観者だった義時がターゲットになり、その行動を問われる部分でした。かつ、時政追放後の義時は完全に独裁者そのもののムーヴで、視聴者の反感すら買っていた。はたして義時は何を選ぶのか。

その、基本的には史実の出来事を描くストーリーラインに、今まで丁寧に積み重ねてきた別のストーリーライン、期待しつつも対立は激化する一方の泰時、共犯者的でも人質的でもある政子、それぞれとの物語をぶつけてくる、それによって、いままで破滅していった男たちとは別の答えに辿り着くというのは、非常に・・・驚嘆するほど綺麗で上手い展開だと感じました。

先に死んでいった源氏一族や御家人の中にも、悲しくはあれ、一種立派な最期を迎えた登場人物もいました。景時、重忠、ある意味で実朝などは、自分の生き方を曲げず、そこに殉ずることを選んだように見えます。

義時が選ぼうとした自己犠牲の道も、成就していればそれらに準じるものになったと思います。でも、そうはならなかった。「ターゲット」としての行動を問われた義時は、今までに去っていった強い男たち同様のヒロイックな選択をとろうとするも、それは政子と泰時に阻まれます。

その点でも、今回の話は先に死んでいった登場人物との上手い対比になっているように思いますし、視聴者目線からすると、政子と泰時によって義時が救われたことで、今まで悲劇的な死を遂げていった登場人物たちにもまた、ようやく救いがもたらされたような気がしました。一族にも鎌倉にとっても最強の家長となった義時が、対立しつつも庇護の対象としていた家族から救済を得るというのは、一種現代的なテーマにも通底するものを感じます。ただ、古典的な作劇でもあると思います。

まぁ、日々多少なり「強い男」ムーヴを強いられているサラリーマンには響くであろうよ、ぜったい。だから余計泣くのかも。

いよいよ次回は最終回です。宇治川での激戦や数々の伏線的要素を拾いきるには尺が足りない気がしますが、楽しみに日曜夜を待ちたいと思います。

M-1決勝と被ってるのエグいわぁ。

トップ写真は TDM1874 の下北沢タップルームで飲んだ BBB です。相変わらず旨いし、エキチカでフードもビール以外のドリンクも豊富(さすがの母体)、さらに価格もリーズナブルという素敵なお店でした。通うかも。

十日市場も、鎌倉時代からたってたのでしょうかね。

以上

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