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【死刑にいたる病】謙虚に生きようと思った話

※ネタバレ注意

前々から気になっていた映画「死刑にいたる病」を遅いが見に行きました。
結論から言うと、かなり面白い味わい深い作品に仕上がっていました。
演者さんの演技、ストーリー、テンポの良さもバッチリで今年一番の映画と思いました。

あらすじ
この物語は、主人公の大学生に、顔なじみであった元パン屋の店長、現拘留中の男から手紙が届くというところから始まります。
主人公は三流大学に通っている(大学の描写を見る限りかなりの大学w)今の自分に満足しておらず榛村の手紙を読み、榛村が収監されている拘留所へと向かうことにします。
そして面会の時、榛村は衝撃の事実を告げました。
なんと立件された殺人の一つは自分がやっていない、というのです!
榛村は決まった年齢、性格の子しか殺さず決まったルーティン(爪をはがすなど)でしか殺さないというシリアルキラーだったのです。そこから主人公による自力の調査が始まりました。

主人公は使命感に燃え(現実への不満のせいだと思うが)調査を進めていき自分の存在が榛村の息子と判明し、それのせいか所属している大学の生徒たちを軽蔑し始め優越感のようなものを持ち始めました。そんな中で主人公は同じ大学で中学のころ静かだった女の子(大学デビューで明るくなっている)と出会います。そしてこの女の子と、とあることがあり恋に落ちます。
その時、すでにおかしいところがありますが。
そして、なんやかんやあって結局、榛村がやっていないという殺人は榛村がやったもので主人公は榛村の息子ではないと判明ました。(ここの阿部サダヲさん演じる榛村が一番怖い)
榛村は言います。

「君らみたいな普通の凡人は何か自分のことを特別な人間と思いたがる」

ここが一番、何かずっしりと心に残りました。
主人公は自分を榛村の息子と勘違いし(させられたというべきか)ほかのやつらとは違うという意識のもとに行動していました。結局それは榛村が楽しむためのウソで主人公は手のひらの上で踊らされていたからです。

「あぁ謙虚に生きよう、こういうことがあるから」

私はそのシーンを見ている間、そうしみじみ思っていました。
しかしこれで終わりではなかったのです。
最後、主人公は彼女となった中学時代の女の子と家でイチャイチャするのですが、主人公の手を見た彼女は言います。

「爪ってはがしたくなるよねー」

主人公はギクッとしました。彼女が言っていることは榛村の殺害ルーティンのものと一致していたからです。動揺した主人公は彼女のバッグの中身を間違えて散らしました。
そこには
はがきと榛村に殺された子供たちの写真があったのでした。

彼女もまた榛村に依頼され優越感に魅入られ操られている一人だったのです。

榛村の
「君らみたいな普通の凡人は何か自分のことを特別な人間と思いたがる」
というセリフは、特別な存在であるはずの主人公をも否定しているのか!と最後の最後に驚愕させられました。

やっぱり、謙虚に生きよう。

編集後記
色々書きたかったですが、今回は謙虚と優越感からの視点で「死刑にいたる病」を語らせていただきました。


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