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死のカウントダウン

帰りの電車を待つとき、ぼーっと線に従って待つ。
スマホを触る気力もなくなっていて反対側のホームにいる親子連れやペットボトルを咥えたまま歩く女子高生、頭にだけ太陽があたっている会社員をみながら待っていた。
私は思った、待つときというのはスマホを触ることがデフォになっている現在で、ただ突っ立ているのは何か気まずい。
手は迷子になり目線を上に向けたらヤバい奴と思われるのではないか?
そんなことが頭の中によぎり次に見たのは時刻である。
あと二分、その短いようで長い、その時間が見えた私は、どう時間を潰そうか考えカウントダウンを提案した。
120から始めていく、119、118、117・・・
このように数えていると視線が下へと向いて線路が目に飛び込んできた。
何か嫌な感じがした。
というのは、これが自分が電車に飛び込むまでのカウントダウンなのではないかと思い怖く感じてしまった。
私は、すぐにそれをやめて後ろに大きく下がって電車をおとなしく待つことにした。
電車が入り込んでくる、その時、黄色の線を飛び越えて列を移動しようとする男性がいた。
かなり危ない距離だったが、男性は平然として他の列へと入っていった。
私はもしかすると、あの男性の死のカウントダウンをしていたのかもしれない。

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