Episode.Ⅱ モダンの焼け跡

西暦1☓☓3年 夏。

 ベンジャミン・シッバーは先週空爆により焼き払われたグッシオ庭園の片付け作業に追われていた。

そこで、シッバーは偶然焼け跡から、大判サイズのとある活動写真のポスターを見つけた。

「おいおいおい、これ見ろよぉ! これ俺が小学生の頃大好きだった写真のポスターじゃねぇか!!! 焼けてもまだ残ってたんだぁ… んまぁ、東のあいつらも燃やしちゃいけねぇもんは案外分かってんだな!! ハハハハハハッ!!!」
と、シッバーは一人で喜び、久しぶりに声を上げて笑った。

すると、

「ん~?? あっ、あれか連続活劇のやつか」



と、突然どこからともなく後ろから男が現れ、シッバーに話しかけてきた。

「あぁ、そうだよ。昔人気のあった連続活劇で、報復の十字軍って言うんだ」
シッバーは少し戸惑い気味に答えた。

「確かこれ5作目で、前編後編に分かれてたよなぁ…懐かしい」

「そう。ちなみにこれは後編で、副題は最後の黙示録って言うんだ」

「そっか、そういや完結編だったな、当時としてはな。なんか尻切れトンボな続編が戦争の初めに一瞬あったが…」

「えっえっえ??なんだそれ??俺それ知らないぞ???」

「あははは、俺は偶然テレビで見たのさ。S国より先にマルティーダ王国にはテレビがあってな、俺はそこで偶然、その報復の十字軍の糞ほどつまらん続編を目にしたよ」

「マルティーダ王国って、まさか、同盟国のマルティーダ連邦のことか???」

「あぁ、そうだ。俺はそこの生まれだ。まぁ、父親は東洋人なもんで、生粋のマルティーダ人ではないんだけどな」

「東洋人!! いやぁ、分からんもんだなぁ… 俺ゃ、見ためだけじゃ全然わかんなかったぜ。そもそもマルティーダ人だってことも分からなった! 訛りがないもんな!」

「ふっ… そう思われても仕方ないさ。俺の顔は母親譲りだからな。父親から譲り受けたのは、この黒髪だけだ。普通マルティーダ人ってのは金髪でな。皆パスタしか食わねぇから髪が小麦みたいになって、黒髪が出てこねぇんだ。」

「はっはっはっは、いやぁ、面白い話聞いちゃったなぁ。あっ、そういえば自己紹介がまだだったな! 俺、ベンジャミン・シッバー。所属はS国軍陸軍第666部隊で、階級は二等兵、祖先はタカイド系のS国人。よろしくな!」

「タカイド系S国人か… 面白い。 あっ、ではこちらも自己紹介ということで。名はゴウ・ミッツバーン。所属はマルティーダ連合陸軍。階級は一等兵だ。以前までは第178部隊にいたが、今日からここ第666部隊に入ることになった。同志としてこれからよろしく頼む」

と言って、ミッツバーンはシッバーに向けて、手を伸ばした。

「おうよ!! これから頼むぜぇ!!!」


そう言って、シッバーはミッツバーンの手を熱く握り返した。


つづく→

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