山本和則|余白製作所

コミュニティ・フィロソファー。世の中に「余白」をつくる活動をしています。 井口倉庫管理…

山本和則|余白製作所

コミュニティ・フィロソファー。世の中に「余白」をつくる活動をしています。 井口倉庫管理人/九条湯コミュニティマネージャー/まさら屋台はじめました 哲学カフェ・哲学対話のイベント情報はこちらをご覧ください。 https://489mfg.peatix.com/

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最近の記事

「哲学Bar」とはなんだったのか

2024年3月10日、10年以上にわたって続けてきた「哲学Bar」という企画が最終回を迎えた。本記事はこの不思議な試みの記録である。 哲学Barの概要哲学Barは毎回テーマを決めて、集まった人たちで飲みながら自由に話し合うというシンプルなイベントだ。私は普段「哲学カフェ」というイベントを各地で開催しているが、それのBar版というのが一番わかりやすい説明かと思う。 会場は京都の三条にあったBar VOGA Foyerで、2013年10月(当時お店は四条木屋町にあり、その後移

    • 【レポート】「アナログゲーム×哲学カフェ」を試してみた(ANTEROOM TABLE 夏の特別編)

      8月13日に開催した哲学カフェANTEROOM TABLEでは、会場で開催中の「art bit」展にちなみ、参加者とアナログゲームを体験した後に哲学カフェを開催する特別編として開催しました。当日は前半にアナログゲームをみんなで遊んだ後、その体験をもとに問いを決めて後半話すという流れにしました。 当日は10名の参加者だったため、多人数でプレイ可能なアナログゲームとして「ニムト」と「ジャストワン」をチョイス。 ニムト まずは「ニムト」をプレイ。1から104までの数字の書かれ

      • 【レポート】屏風にフレームはあるのか?(ANTEROOM TABLE「フレーム」)

        ホテルアンテルーム京都で毎月開催している哲学カフェ「ANTEROOM TABLE」、今月のテーマは「フレーム」でした。会場で開催されているKYOTOGRAPHIE KG+ 特別展「JAPAN PHOTO AWARD + INTUITION | 2023」に因んだテーマです。 会場にはたくさんの個性的な写真があるのに、どうしてフレームは全て四角なのだろう?という素朴な疑問からはじまったこのテーマ。写真に限らず、仕事の手順や認識の枠組み、性格診断など様々な「フレーム」について考

        • 【レポート】加山雄三は推しになりうるか?(哲学Bar「推し」)

          毎月第3日曜に京都のVOGA Foyerで開催している哲学Bar、今回のテーマは「推し」でした。お店に来られたお客さんからの提案で決まったこのテーマ。今回も多くの方にご参加いただきました。 アーティストなどを「推し」とよぶとき、単に「ファン」というのと何が違うのでしょうか。ファンよりも推しという場合の方が自己主張が強まる気がするというご意見も。何かを推薦する、というその人の主張が表現されているからです。 また推しという言葉を使う対象は新しく活動を始めた人やグループの中にい

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        • 哲学カフェ・哲学対話
          23本

        記事

          【レポート】推しはなぜ尊い?(ANTEROOM TABLE「とうとい」)

          ホテルアンテルーム京都で毎月開催している哲学カフェ「ANTEROOM TABLE」。 ANTEROOM TABLEでは会場のギャラリーでそのときに開催されている展示に合わせて毎月テーマを選定していますが、展示がお休みの際は最近の流行り言葉をピックアップするようにしています。 というわけで、今回のテーマの「とうとい」。参加者の中には「とうといという言葉を口に出したことがほとんど無い」という人もいましたが、一方でZ世代を中心とした若者にはよく使われるようになった言葉でもあります

          【レポート】推しはなぜ尊い?(ANTEROOM TABLE「とうとい」)

          異界に迷い込んだような銀行跡で「余白」について考えたこと(哲学対話@Tetugakuya)

          写真を撮るのが苦手だ。 心動かされる風景に出会っても、スマホを構えた途端に何か「これじゃない」というか、いま見ている風景と違うような気がする。そして結局、いつもシャッターボタンを押さずに終わってしまうのだ。 どうやっても、いま味わっているものは切り取れない。「Tetugakuya」に訪れたときも、そんなふうに感じた。 Tetugakuyaは香川県多度津町にあるサロン型喫茶で、その名に違わず哲学書の読書会や哲学対話なども開催されている。今回、このお店で開催される哲学対話の

          異界に迷い込んだような銀行跡で「余白」について考えたこと(哲学対話@Tetugakuya)

          【レポート】哲学Bar「ユーモア」

          毎月第3日曜日に開催している哲学Bar、今回のテーマは「ユーモア」でした。春の陽気に誘われて?なのか今回は参加者がとても多く、久しぶりに立ち見が出るほど盛況な会になりました。 「ユーモア」というと単なる笑いとは違ったイメージがあったり、欧米的なものを想像するという参加者の意見から、笑いの中でのユーモアの位置付けやユーモアが必要とされる文化について考えていきました。「ユーモアと真面目は両立するのか?」という問いが個人的には興味深かったです。ご参加いただいた皆様、ありがとうござ

          【レポート】哲学Bar「ユーモア」

          【レポート】ANTEROOM TABLE「てざわり」

          レポートが遅くなってしまいましたが、3/12(日)にANTEROOM TABLE「てざわり」を開催しました。 会場では開催されていた「SSS Re\arise」展が開催されていました。(アニメ的な)イラストレーションの展示でありながら、印刷技術への挑戦や伝統産業とのコラボなどある種の「奥行き」を感じさせる展示に触発を受けて「てざわり」というテーマを選びました。 当日は触覚を切り口にオノマトペなどの言葉の関係や、視覚や他の感覚との関係、「手当て」のような東洋的な感覚と西洋の

          【レポート】ANTEROOM TABLE「てざわり」

          【モニター募集】「てつがく観光案内」はじめます

          山本和則と申します。ふだんは「余白製作所」の屋号で哲学カフェの開催やコミュニティスペースの運営など、世の中に「余白」をつくる活動をしています。 このたび「てつがく観光案内」というプログラムを始めてみることにしました。今回このプログラムを体験してくださるモニターの方を募集します。 一味違った旅を楽しみたいという方、ぜひチェックしてみてください! 何をするの?旅先で出会う風景や人との交流は、自分の考えを見直すきっかけになったり、悩んでいることのヒントになったりすることがあると

          【モニター募集】「てつがく観光案内」はじめます

          【レポート】びわこ哲学カフェ「教育」(テーマは当日決めました)

          2月のびわこ哲学カフェはテーマを当日決める形式でした。 テーマを事前に告知しない形式だと参加者が少ない傾向にあるのですが、今回は12名の方にお集まりいただき、先月に引き続き盛況でした。 まずは参加者からテーマ案を募ります。それぞれの方が提案されるテーマを聞くのもとても興味深い時間です。今回は次のようなテーマ案(キーワード含む)が出ました。 世代間の対立について 教育について 葛藤について 普通について マスクの着用義務がなくなったら、マスクを外す? 生きづらさは

          【レポート】びわこ哲学カフェ「教育」(テーマは当日決めました)

          【レポート】哲学Bar「贈る」

          京都/三条にあるBar Voga Foyerで開催している哲学Bar、52回目のテーマは「贈る」でした。 バレンタインデーが近かったため選んだこのテーマ。当日は身近な「贈り物」の例から始まり、なぜ人は何かを贈るのか?それは交換とは何が違うのか?ということについて考えていきました。国同士の外交の話や、ギフトエコノミーなどの経済の話などにも話が及び、さまざまな角度から「贈る」という行為の射程の広さを味合う時間となりました。 次回の哲学Barは3月19日(日)、テーマは「ユーモ

          【レポート】哲学Bar「贈る」

          【レポート】ANTEROOM TABLE:「知らんけど」

          HOTEL ANTEROOM KYOTO で開催している哲学カフェ「ANTEROOM TABLE」。いつもは会場の展示にちなんだテーマにしているのですが、今回は展示がお休みだったので最近流行りの言葉「知らんけど」をテーマにしました。 関西発祥の言葉でありながら、昨年の流行語にも選ばれたこの言葉。 どうして若い人がこの言葉を使うようになったのか。「知らんけど」という言葉の持つ役割や、広がった背景にある時代の文化について考えていきました。 当日ご参加いただいた人にお伺いすると

          【レポート】ANTEROOM TABLE:「知らんけど」

          自分の哲学カフェのルール変遷をまとめてみた

          以前、哲学カフェについての紹介記事を書きました。哲学カフェは全国で様々なスタイルで開催されており、ルールもそれぞれの場によって特色があります。 自分の場合、哲学カフェを開催していくなかでルールや冒頭の説明が少しずつ変わっていきました。今回はその変遷と、せっかくなので現在の説明を掲載しておきたいと思います。 現在(2023年)の冒頭説明 まず、現在はどのような説明をしているのかを先にご紹介します。 ふだんはスケッチブックに項目を箇条書きして参加者に説明していますが、口頭で

          自分の哲学カフェのルール変遷をまとめてみた

          【レポート】びわこ哲学カフェ:「幸福な衰退」は可能か?

          1月29日(日)にびわこ哲学カフェを開催しました。 大津の哲学カフェは普段は多くても7、8名ぐらいの参加者でこじんまりとやっているのですが、年始に京都新聞にご紹介いただいた効果もあり、今回は15名の方がご参加されました。 「幸福な衰退」は可能か?という今回のテーマは、私としては以前の参加者の提案を反映したつもりだったのですが、当人の関心は少し違ったところにあったことが開始後にわかりました。十分に聞けていなかったことを反省。とはいえ、経済成長と幸福の関係、個人と社会の幸福、地

          【レポート】びわこ哲学カフェ:「幸福な衰退」は可能か?

          【レポート】哲学カフェ@優洛庵

          1月29日(土)に、京都のゲストハウス「優洛庵」にて哲学カフェを開催しました。今回ご縁をいただき、大阪電気通信大学 ゲーム&メディア学科のヴィジュアルデザイン研究室、通称「kurarab.(クララボ)」の展示を題材にして対話を行うこととなりました。 会期は過ぎていますが、展示作品はkurarab.のTwitterでも紹介されているのでご覧ください。 先週は京都も大雪に見舞われちょっと心配だったのですが、当日は雪も降らず、無事に開催することができました。 今回は参加者の皆

          【レポート】哲学カフェ@優洛庵

          【レポート】哲学Bar「恐怖心」

          京都/三条にあるBar Voga Foyerで開催している哲学Bar、51回目のテーマは「恐怖心」でした。 当日は恐怖を感じるシチュエーションを挙げながら、恐怖心について考えていきました。未来に何か具体的なことが起こると予測することで生じる恐怖もあれば、暗闇のように何が起こるかわからないため生じる恐怖もあります。また、少し変わった形として「自分は一生このままなのではないか」という現状維持への恐怖、という例も語られました。 恐怖を感じないことの弊害についても話題になりました

          【レポート】哲学Bar「恐怖心」