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息子のお友だちがくれた魔法の言葉

ダウン症のある長男が年中さんの時のお話です。幼稚園に長男とよく遊んでくれるとってもかわいい女の子がいました。

何をするにものんびりしている長男に「今日は何して遊びたい?」と聞いてくれたり、自由遊びの時に人気のブランコをキープして待っててくれたり、同学年だけどとっても面倒見のいいお姉さん的な女の子です。

幼稚園の親子遠足で動物園に行った時のこと。

自由散策の時間になると、その女の子は

「○○○は長男くんとまわる~!」

と手をつなぎに来てくれて一緒に園内散策をすることに。そして

「これはゴリラだよ」とか「次はさるを見に行くよ~」とか手を引き引き解説をしてくれます。

そうして、うしろをついてまわる私に「○○○はね、いつも長男くんの面倒見てるんだよ~」と元気いっぱいに教えてくれました。

その様子がかわいくてうれしくてありがたくて。

「いつもありがとうね」

と伝える私に

「なんで○○○は長男くんの面倒見てると思う?」

と急にクイズが出されました。

えっ、なんでかな?いつもノロノロしてて見ていられないからかな??などと考えていると、私の返答を待たずに答えを教えてくれました。

「それはね~○○○が長男くんのことが大好きだから!」

その場では

「そうなんだ~ありがとう」

と言ってこの話は終わったのですが、このとっても素敵な答えが時間が経つほどにじわじわと心にしみてしみて。

ダウン症のある長男はいつも周りの動きより2テンポも3テンポもゆっくりです。

集団生活のなかで親の私はいつも「すみません」とか「ごめんね」とか、先生はじめ周りの子に対して”手のかかる息子が近くにいる状況”を「申し訳ない」と思って生きてきました。

でも、○○○ちゃんが息子の面倒を見てくれる理由が「大好きだから」だったことに、とても気持ちが軽く、あたたかく、なりました。

この言葉の奥に、親御さんが普段からこういう風に言ってくれてるのかもしれないな、という空気も感じて、胸がいっぱいになりました。

これを超える魔法の言葉を私は知りません。

そして、自分の子どもがお友達に「大好き」って言ってもらうのってこんなにうれしいんだ、とも思いました。

あれから五年。今でも、私は○○○ちゃんのこの言葉を思い出しては噛み締めて、じんわり幸せな余韻をあじわっちゃってます。

不思議なことに、幼稚園、小学校、ご近所の方、引っ越して環境が変わっても、長男のまわりにはいつも必ず「長男くんが大好き」と言って仲良くしてくれる人が現れます。

ダウン症のある子は天使と表現されることがありますが、うちの長男はまったく天使タイプではありません。愛想のいいタイプでもないし、しょっちゅう不機嫌に怒っているし、あいさつされても優しくされても無表情で無言なことが多いので、よく注意します。

なので、なぜ好きでいてくれるのか、親としてはいつも不思議に思っています。ただただ、とても、ありがたいです。

この幸せな状況に本人が気がつくのはもう少しあとのことになりそうですが、いつか気づいて幸せな余韻を堪能してくれたら良いなと思っています。

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