「砦」と2021.12.16日記
塔会員がつどった同人誌「砦」(2021年11月23日発行)を読みました。あとがきを読むと「塔読むキャス」の橋本牧人さん平出奔さんがお声がけした面々だと明かされていました。中田明子さんが好きなのでお名前があって嬉しかったです。
今日は特にいいなぁと思った短歌をすこしだけ引用します✏️
▶︎▶︎▶︎
透けながらあなたの方へめざめたいああ抱擁のたしかな昏さ/帷子つらね「冬の涯(はて)」
実景のない歌のような気もするけれど。だれかの腕の中でぼんやり目を覚ます歌だと読みたくなりました。夢うつつのときの透けたさ、わかるような。
性愛の話題がすこしずつ剥がすあなたの敬語 夜のおやゆび/田村穂隆「口腔前庭」
全肯定の機構に絶えず揺れながら鳩は真昼をのんのん逃げる/同
1首目。あなたは恋愛対象でも、職場の先輩みたいな距離感でもすてき。私は後者の景が好み。ほんのりお酒が入ってるシチュエーションなのかもしれない。2首目は、このさき、鳩に逃げてたら「のんのん逃げてるな」って思い出しそうです。のんのん🐦🐦
わたしだったか桜だったか晴れあがる空いたたまれずに目を閉じたのは/中田明子「Ammonite」
くしゃくしゃのマクドナルドの紙袋 ノー これはでかい落ち葉だ/拝田啓佑「開けなさい」
いくたびも海のむかうはまなざされまなざせる眼のゆたかなほろび/橋本牧人「境(きやう)」
▶︎▶︎▶︎
あと、今日は、2013年に発行された「短歌男子」なる同人誌の話をお聞きして、夢中でエゴサしていました。発行されたころに戻って同時代で盛り上がりたかったなぁ...と寂しい気持ち。
第二弾も出てほしいけれど、買う側からは大きな声で望みにくい。自分が短歌を夢女子的に楽しんでいる自覚があるから、短歌と作者と結びつける表現に手を伸ばすことにうしろめたさを抱くのかなあと思う。noteアカウントつくったときは短歌を夢女子目線で読み解く文章を書きたかったけれど、作者にとっちゃ気持ち悪いかなぁと思って辞めた経緯もあり尚更...。
このことはゆっくり考えます。でも「短歌男子」に関しては探し出してぜったい読みます。