書いた本人に忘れられた作品。就活応援ショートショート「長所問い」
「貴方の長所を200字で書きなさい」
はて、僕の長所はなんだろうか?
就職用のエントリーシートを前に大学生は首をかしげました。
1人で考えていても埒が明きません。
頭の良い友人にに聞きに行くことにしました。
「僕の長所を教えておくれ」
頭の良い友人は笑って答えました。
「はは。君の長所だと?そんなことも人に聞かないとわからないのかい」
「そうなんだ。困っているんだ。助けておくれ」
「はん。君の長所なぞは知らないけれど、短所なら分かる。自分で考えず他人に何でもすぐ聞く所。それが君の短所だ」
大学生はそれを聞いてカチンときました。
「僕は長所を聞いたんだ。なのに短所を言うなんて非道いじゃないか」
「すぐにカッとなる所。それも君の短所だな」
頭の良い友人はケラケラと笑っています。
大学生はプンプン怒ってその場を去りました。
しかし、大学生は困ってしまいました。
長所が分からなければ、エントリーシートは完成しません。
「そうだ。彼女に聞きに行こう」
大学生には付き合って3ヶ月の彼女がいます。
彼女なら大学生の長所を言ってくれるに違いありません。
早速ラインをして、会いに行きました。
「彼女さん彼女さん。僕の長所はなんですか?」
「あら、そんなこともわからないの?」
彼女は微笑んで言いました。
「貴方の長所は実家が地主で金持ちな所よ」
「それは僕じゃなくて、僕の親の長所じゃないか」
大学生はプンプン怒ってしまいました。
それでも彼女は悪びれた様子はありません。
「ふふ、一人っ子なのだから相続すれば同じでしょ。おかしな人ね。でも、短所なら分かるわよ。ずっと考えてばかりで、行動が遅い所」
「聞いてもいないのに、短所を言うなんて非道いじゃないか」
大学生はまた怒ってその場を去りました。
しかし、大学生は本当に困ってしまいました。
長所が分からないとエントリーシートが出来上がらないのに、もう聞く相手がいません。
「そうだ」
大学生はひらめきました。
「知恵袋で聞いてみよう」
早速書き込みをしました。
『僕の長所を教えて下さい』
すると早速答えが帰って来ました。
『僕って誰だよw知らない人の長所が分かるわけ無いだろ。短所なら分かるけどな。短所はアホな所』
「やっぱりネット民は嫌な奴ばかりだ」
大学生はキーボードを叩いて怒りました。
「結局わかった僕の長所は実家が金持ちな事だけだ」
大学生はしょんぼりしてしまいました。
しかし、エントリーシートを書かないわけにはいきません。
仕方がないので
『私の長所は実家が金持ちな所です』
と書いて出しました。
そして金融機関に受かった大学生は、
金持ち相手の営業マンとしてたいそう稼ぐようになりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ところで、
阿部順子が書いたとは思えないでしょう?
そうなんです。
今回は、息子の作品を載せちゃいました。
この作品は、2021/8月
「#2000文字のドラマ」に向けて私が書いていた横で、
息子が「僕も書いてみようかな~」って書いたものです。
最近、
下書きの所にあったのを見つけたので、
私が書いたふりをして、
しれっと、息子に見せたんですよ。
「なかなかよく書けてるじゃん」と
お褒めの言葉をいただきました。
ニヤッとしちゃうよね。
自分の作品褒めてやんの💛
あなた、あの時、書いたでしょうが?
自分で書いたのに忘れちゃうのね?
全部読み終わっても
文体が僕っぽいとか思わないの?
お母さんっぽくないなあとか思わないの?
面白いね。
皆さんも自分の作品を忘れたりしますか?
さて、
ここからは就活生の方にお話しします。
エントリーシートに何を書くか?
さぞ、悩んでいることでしょう。
そうでしょう、そうでしょう。
自分の良さは、自分ではなかなか気付けないものですよ。
一人でも多くの人に聞いてみる事を
本気でお勧めします。
このストーリーの主人公も積極的に聞きまくっていましたね。
実際に、この作品を書いた息子は、
転職の際に、お客様に相談に乗ってもらい、
背中を押されて、転職しました。
梅田支店で、営業に回っていた時のことです。
「この仕事よりやりたいことは無いんか?」って聞かれて
「実は、塾をやりたいと思っています」
「ほう?資本金はあるんか?」
「自宅でやるのでお金はかかりません」
「立地が悪いとダメやぞ、人は集められるんか?」
「大学2年の時にやってみたら10人集まりました」
「ええやんか!そんなもん、今すぐやったほうがええで!」
大阪のお節介おじさんは素敵ですね💛
人生は、いつでも沢山の人に相談して情報収集した中から、
自分で決める!
その繰り返しです。
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2021/5/24にnoteを始めました。
NO.32
書いた本人に忘れられた作品。
就活応援ショートショート「長所問い」
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